マーケティングプランとは?メリット、作成手順、マーケティング戦略との違い


Writer:
山崎雄司
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マーケティングプランとは、企業のマーケティング戦略に基づいて、目標を達成するために実施する具体的なアクションプランを可視化したもの。

マーケティングプランとは


マーケティングプランとは、マーケティング戦略に基づき、具体的にどのような行動をすべきかを可視化したものである。マーケティング戦略とは、一般的に「誰に」「どんな価値を」「いくらで」「どのように」提供するかを軸として戦略を立てることを指す。
マーケティングプランは、たとえば、商品・サービスの販売促進やブランド構築、さらには競合の中でいかに選ばれるかといった目標を達成するために、具体的にどのような施策を実施するかを計画し、全体像を文書化・図式化していく。


マーケティングプランのメリット


目標の明確化

マーケティングプランの作成では、自社の商品・サービスの分析を通して市場の状況や競合の存在、自社商品・サービスの強みや弱みが明確になる。その過程で自社の方向性を確認することができ、目標の明確化につながる。

リソースの最適化

マーケティングプランを作成する際、予算やリソースをあらかじめ把握することでそれらの効果的な配分につながる。マーケティング予算のプラン策定をし、必要な予算や人材を明確にしておくことで、予算の確保と無駄なコストの削減が実現する。

プロモーション活動の効果的な実施

マーケティングプランによって、目標達成のための具体的なアクションが明確化されるため、マーケティングプロモーションの計画および実施にも役立つ。マーケティングプロモーションとは、商品やサービスの認知度を高め、需要を喚起し、顧客に購買や利用を促すことを目的として行われる活動を指す。たとえば、広告やセールスプロモーションなど、プロモーション活動における具体的な行動を明確化し、効果的に実施できる。


チームの統一

マーケティングプランは、マーケティングチームや関係するメンバー全員の意識を統一する指針となる。明確化された目標のもとで、チームが一体となって効率的に取り組むことができる。

評価と改善

マーケティングプランは、一連の流れが終わったら当初の計画と成果を振り返って、評価して改善するための基準となる。数値化できる指標を中心に、さまざまな分析を通じてプランの効果を評価し、PDCAサイクルを回し続けることで改善を繰り返し、マーケティング戦略の最適化を図ることができる。

マーケティングプランの種類


プロダクトマーケティングプラン

製品(プロダクト)に特化したマーケティングプラン。自社の商品・サービスを市場に浸透させるため、プロダクトごとに価格設定やプロモーション方法などを検討し、認知度を向上させつつ売り上げ拡大を図る計画。

コンテンツマーケティングプラン

高品質なコンテンツ配信を中心としたマーケティングプラン。有益な情報や、一貫性のある信頼度の高いコンテンツを用いて、潜在顧客や見込み顧客のニーズを育成し、最終的に購入やファンの定着につなげるための計画。


ソーシャルメディアマーケティングプラン

ソーシャルメディアを通して、ブランドや商品・サービスの宣伝やユーザーとの関係構築を行うプラン。双方向のコミュニケーションや拡散力を活かしてブランドや商品・サービスの認知度を向上させ、最終的に購入へとつなげ、カスタマーエンゲージメントの促進を図る計画。


SEOマーケティングプラン

SEO対策を中心としたマーケティングプラン。SEOは、検索エンジンでユーザーが特定のキーワードで検索した際に、自社サイトの表示順位を上げ、サイトへの訪問を増やすための一連の取組みのこと。自社サイトへの流入数を増やし、コンバージョン(CV)の達成および最終目標(商品購入など)につなげるための計画。


メールマーケティングプラン

メールを通じたコミュニケーションを行うマーケティングプラン。たとえば、最新の情報や特典、セールスプロモーションを提供するメールマガジンを、あらかじめ用意した配信リストに対して配信し、集客や販売促進につなげるための計画。


ペイドメディアマーケティングプラン

Web広告やマスメディア広告といったペイドメディア(広告主が費用を支払って広告出稿するメディア)を活用するマーケティングプラン。費用をかけることでより広いターゲットにリーチし、見込み顧客を獲得するための計画。


マーケティングプランの書き方・作成手順 


1.目標の設定

この事業(あるいはプロジェクトやキャンペーン)を通して、どのようなことを実現したいかといったビジネス目標を設定する。その際、事業を進めることで会社や市場にどのような影響があるか、ユーザーからの印象はどうかなど、多角的な視点で進めていくことが大切である。

2.自社の商品・サービスの市場分析

3C分析を使って、顧客・市場(customer)、競合(competitor)、自社(company)の視点から自社を取り巻く業界環境の現状を把握し、自社およびブランドのビジネス主要成功要因(Key Success Factor/KSF)を見つけ出す。


3.戦略の策定

次のステップでは、マーケティング戦略を策定する。たとえば、STP分析を用いて自社を取り巻く市場の全体像を把握し(セグメンテーション)、自社の商品やサービスを求めている顧客層を導き出し(ターゲティング)、競合他社との差別化を図り位置関係を決定する(ポジショニング)ことで、効果的なマーケティング戦略を具体化することができる。


4.具体的な戦略を立てる

分析・戦略結果をもとに4P分析(マーケティングミックス)を行い、策定したマーケティング戦略を実行するための手段や施策を決める。4Pとは商品(Product)、価格(Price)、プロモーション(Promotion)、場所(Place)を指し、これら4点をもとに、「何を」「いくらで」「どこで」「どのように」売るのかを具体的に導き出す。


5.評価する

設定した評価項目に基づいて目標達成度を定期的に評価し、プランを見直して改善していく。たとえば、Webサイトの行動履歴(トラフィック)、ソーシャルメディアのエンゲージメント、リードジェネレーション、コンバージョン率、売り上げなどのように、数値化可能なKPIを設定し、過去のデータも参考にしながらプランニングしていく。設定して終わりではなく、目標として管理しつつ、PDCAサイクルを回して定期的に振り返ることが大切だ。


マーケティング戦略との違い

マーケティング戦略は、顧客分析を通してニーズを明確にし、自社の状況をみながら「商品を市場(顧客)にどうアプローチし、購買につなげていくか」を策定するプランのこと。一般的には「誰に」「どんな価値を」「いくらで」「どのように」提供するかを軸として計画を立てることを指すものであり、長期的かつ大局的な目標の設定と方向性を示すものであるといえる。
一方、マーケティングプランは、マーケティング戦略に基づいて計画される短期的(通常は1年間)な行動プランであり、戦略の内容について具体的に何を行うかを決定するものである。
なお、マーケティング戦略とマーケティングプランはセットで考える必要があり、マーケティング戦略の策定とともに、その実行に焦点を当てた具体的なアクションプランやスケジュールを確認しておくことが重要である。

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