検索エンジンやSNSなど、あらゆるデジタルチャネルを駆使した「デジタルマーケティング」。そのテクノロジーにはさまざまなツールが存在する。今回はそのなかでも、近年マーケティング業界トレンドワードのひとつになった「Web接客ツール」の活用方法に注目したい。「Web接客ツール」について、あなたは説明できるだろうか。また、すでに導入済みという人も、自社データを連携させた利活用ができているだろうか。ここではITツールの効果的な組み合わせ方について考えてみよう。
目次
そもそも「Web接客ツール」とは
Web接客ツールが注目される背景
Web接客ツールのメリット
Web接客ツールの種類や機能
1. チャット型(タイプ)
2.ポップアップ型(タイプ)
Web接客ツールの選び方
おすすめのWeb接客ツール
1. KARTE
2. Flipdesk
3. チャットプラス
4. Zendesk
5. GENIEE CHAT
6. Sprocket
7. Repro
8. ecコンシェル
9. TETORI
10. Freshdesk
11. SYNALIO
Web接客ツール活用のポイント
CRMとWeb接客ツールを掛け合わせたWeb接客事例
まとめ
カスタマーリングスのサービスを紹介
そもそも「Web接客ツール」とは
ECサイトなどを訪れたユーザーに対し、実店舗と同様に、Web上で接客を行うことを「Web接客」という。また、そのためのツールを「Web接客ツール」という。この「Web接客ツール」の導入には、タグを埋め込むだけなど導入者側の負担も軽いことから、実際にマーケティングに活用している企業も増加傾向にあるようだ。
Web接客ツールが注目される背景
Web接客ツールが注目される背景には、Webサイトで購入する顧客層の増加や、IT技術の進歩がある。
Webサイトで売上を上げるためには、実店舗での接客に限りなく近い、ユーザー一人ひとりに合わせたきめ細やかなサービス(おもてなし)が有効である。しかし、IT技術の進歩によって、顧客が自ら情報を得ることが容易になり、ユーザーニーズも多様化している。このような変化の中で、パーソナライズされたオンラインサービスを叶える手段の一つとして、Web接客ツールの導入を検討する企業が増えている。
Web接客ツールのメリット
Web接客ツールは、既存のWebサイトデザインを変更せずにツールを追加できるため、比較的導入が容易であり、CVR改善にも有効である点がメリットの一つ。たとえば、チャットボットでユーザーの問い合わせに回答したり、ユーザーのニーズに適した商品をポップアップで提案したりすることで、Webサイトからの離脱を防ぎ、申し込みや購入へと導くことができる。
また、リアルタイム性も大きなメリットである。スムーズな問題解決や商品購入への導線は、サポート業務の効率化と顧客満足度の向上につながる。
Web接客ツールの種類や機能
Web接客ツールは、「チャット型(タイプ)」と「ポップアップ型(タイプ)」の2種類に大別できる。
チャット型(タイプ)
「チャット型」は、Webページ上にチャット画面を表示し、リアルタイムで対話による接客を行うツールである。チャット画面でユーザーが入力した情報に対して自動返答を行うほか、リアルタイムでオペレータと対話することも可能。顧客データを把握していれば、リアルタイムでの対話の際に、ほぼ実店舗と変わらない対応ができるだろう。特に利益の大きい顧客や来訪回数の多い優良顧客に対して、効果的なツールといえる。
代表的なツールに、SYNALIOなどがある。
なお、「チャット型」は、「シナリオ型」と「AI型(AIチャット)」に分類できる。「シナリオ型」は、あらかじめ想定したシナリオに沿って、チャットボット側が用意した選択肢をユーザーが選んで進行していき、課題解決を図る形式。一方AI型は、ユーザーが入力した質問文に対し、AIが解析して回答を提示する形式であり、より柔軟で高度な対話が可能な点が特徴である。
ポップアップ型(タイプ)
「ポップアップ型」は、訪問ユーザーの属性や行動や閲覧履歴、購入履歴などをもとに、最適な接客を画面上のポップアップで行うツールである。たとえばクーポンやキャンペーン情報等のメッセージ、購買データ等に基づくレコメンドなどの表示が挙げられる。CRMと掛け合わせることでより精度の高い訴求が期待できるもので、代表的なツールとしてはSprocketやecコンシェルなどが知られている。
これらのツールは、企業の目的、すなわち新規顧客の開拓をしたいのか、既存顧客の保持(リテンション)をしたいのかによって使い分けるのが理想的だ。たとえば、チャットに特化したZendeskやGENIEE CHAT、クーポン機能に優れたZenClerkなど、特定の機能を特化させたさまざまなツールが存在する。
また、「Web接客ツール」には、「チャット型」もしくは「ポップアップ型」のみならず、双方の機能を併せ持つものも存在。マーケットを牽引しているのはこのような総合的なツールで、KARTEやFlipdeskが代表的だ。
Web接客ツールの選び方
Web接客ツールを選ぶにあたり、まずは導入の目的を明確にしておきたい。導入と運用にかかる費用が、その目的に見合っているかを考慮することが重要だ。同時に、導入後の効果検証の機能についても確認する必要がある。
また、導入後の運用体制を踏まえ、サポート体制も確認しよう。ツールそのものの操作のしやすさも重要だが、ツールの導入しやすさや使いやすさは、ベンダーのサポート体制でも違ってくるからだ。
なお、自社ですでに導入しているツールがある場合は、導入したいツールとの連携が可能かどうかも必ず確認しておこう。
おすすめのWeb接客ツール
ここからは、具体的に、おすすめのWeb接客ツール11選を紹介していく。
※以下の料金プラン等については、2024年8月時点の情報で記載しているため、実際に検討および利用する際には各社の公式ホームページ参照。
※価格はすべて税別。
1. KARTE
運営元:株式会社プレイド
料金プラン
初期費用:問い合わせ
月額費用:問い合わせ
特長・強み
「KARTE」は、国内最大級のファーストパーティーカスタマーデータ基盤を提供する、CX(顧客体験)プラットフォーム。Web接客のプロダクト「KARTE Web」を提供しており、訪問ユーザーの行動を理解し、パーソナライズされた最適なWeb接客を行うことでCVR改善や収益の向上を実現する。確かな実績に基づくシナリオも多数用意されており、ノーコードでWebサイトに反映することが可能である。
2. Flipdesk
運営元:株式会社マテリアルデジタル
料金プラン
初期費用:50,000円~
月額費用:50,000円~
特長・強み
「Flipdesk」は、訪問ユーザーの状況に応じた販促と接客でCVRを改善するWEB接客ツール。サイト訪問者のデータを蓄積し、ユーザー一人ひとりに最適化された自動接客をWebサイトに実装し、CX向上を実現する。同社提供の、24時間対応可能なチャットボット「Cross Talk」(別途料金)との連携もできる。
3. チャットプラス
運営元:チャットプラス株式会社
料金プラン
初期費用:0円
月額費用(年契約)
ミニマム:1,500円〜
ビジネスライト:9,800円~
プレミアム:28,000円~
AIライト:50,000円~
オートAI:80,000円~
AIチャットボット:150,000円~
特長・強み
「チャットプラス」は、リーズナブルな価格帯での運用が可能なチャットツール。直感的で使いやすいインターフェースが強み。有人・AI・シナリオのいずれの形式にも対応しており、さまざまなツールとのAPI連携も可能となっている。
4. Zendesk
運営元:株式会社Zendesk
料金プラン
初期費用:0円
月額費用(年払い)
Support Team:$19〜
Support Professional:$55~
Support Enterprise:$115~
特長・強み
「Zendesk」は、電話・メール・SNSなどの問い合わせを一元管理し、顧客ニーズに対応したサービスを提供するカスタマーサポートソフトウェア。あらゆるチャネルをまたいで対話できるメッセージング機能に加え、問い合わせに自動対応するAIエージェントを導入することで、カスタマーサービスの拡大が可能となっている。
5. GENIEE CHAT
運営元:株式会社ジーニー
料金プラン
初期費用:問い合わせ
月額費用:問い合わせ
特長・強み
「GENIEE CHAT」は、訪問ユーザーの行動すべてを見える化し、一人ひとりのニーズに合わせたオンライン接客を行うことができるチャット型Web接客プラットフォーム。ユーザーニーズに先回りして、顧客に合わせた最適なメッセージを出し分けることができ、マーケティング強化とカスタマーサポート強化を同時に実現する。
6. Sprocket
運営元:株式会社Sprocket
料金プラン
初期費用:問い合わせ
月額費用:問い合わせ
特長・強み
「Sprocket」は、顧客体験を改善するために必要なWeb・アプリ接客とデータ分析機能を備えたCX改善プラットフォーム。ユーザーの行動をリアルタイムに計測する機能と、実店舗での「声かけ」や「案内」のようなきめ細やかなアプローチを実現する機能を備えている。
7. Repro
運営元:Repro株式会社
料金プラン
初期費用:問い合わせ
月額費用:問い合わせ
特長・強み
「Repro」は、Webとアプリの売上を最大化するためのツールであり、Web接客ツール「Repro Web」を提供している。顧客の行動データや属性データに基づいてメッセージを出し分けることが可能。ノーコードのためエンジニアではなくマーケターでも高速なPDCAを実現できる。
8. ecコンシェル
運営元:株式会社NTTドコモ
料金プラン
初期費用:0円
月額費用
フリープラン:0円
スタンダードプラン:問い合わせ
エンタープライズプラン:問い合わせ
特長・強み
「ecコンシェル」は、「NTTドコモ」と「PKSHA Technology」が共同開発したAI技術を搭載したWeb接客ツール。シンプルでわかりやすいUIで操作しやすく、細かいセグメントにも対応可能。訪問ユーザーに合わせてバナーを出し分け、高性能AIによって接客を最適化することで、KPI改善サイクルの高速化を実現する。
9. TETORI
運営元:グルービーモバイル株式会社
料金プラン
初期費用:問い合わせ
月額費用:10,000円〜
特長・強み
「TETORI」は、WebサイトのCVR向上、離脱防止、チャットボット施策に強みをもつWeb接客ツール。100種類以上の業種別テンプレートをベースにシナリオ作成が可能であり、初心者でも使いやすいのが特徴。顧客一人ひとりに最適化された接客アクションで、CVR向上を図れる。
10. Freshdesk
運営元:OrangeOne株式会社
料金プラン(為替変動の影響を受けるため参考価格)
月額費用:0円
初期費用(年間払い)
FREE:0円
GROWTH:2,200円~
PRO:7,200円~
ENTERPRISE:11,500円~
特長・強み
「Freshdesk」は、使いやすさと多機能に強みをもつ問い合わせ対応ツール。多様なユーザーからの、さまざまなチャネルからの問い合わせを一元管理し、チームや組織で共有することで、問い合わせへの対応品質を向上させることができる。顧客サポートはもちろん、社内のヘルプデスクでも活用することができる。
11. SYNALIO
運営元:株式会社ギブリー
料金プラン
初期費用:1,000,000円〜
月額費用
マーケティングプラン:150,000円〜
エンタープライズプラン:200,000円~
特長・強み
「SYNALIO」は、「会話データ」を活用したオンライン接客プラットフォーム。ビデオチャット、有人チャット、チャットボット、ポップアップの4種類の接客が可能。ユーザーの「行動データ」に加えて「会話データ」を収集することで、顧客インサイトを可視化し、実店舗と同様な接客・営業を可能にする。
Web接客ツール活用のポイント
ポップアップ型やチャット型のWeb接客ツールのデメリットとして、訪問ユーザーに対して鬱陶しさを感じさせてしまう点が挙げられる。たとえば、同じ広告を何度も表示していたり、古い情報を提示していたりするケースだ。これではせっかくの接客が逆効果になってしまいかねない。しかし、適切なタイミングで適切な接客を行うことができれば、ユーザーにとって心地良い経験を提供することができ、商品やサービスを販売する側としても有効な打ち手になり得る。そのためには、定期的に効果検証を行い、PDCAを回して改善していく必要がある。
また、Web接客ツールを運用するにあたっては、訪問ユーザーのWeb上のリアルタイムな行動データに加え、顧客データや購買情報の活用など、CRMのデータと掛け合わせると効果的だ。実店舗と同様の接客を行うには、顧客ごとにアプローチを変える必要があり、その際にCRMのシステムがWeb接客ツールをサポートする役割を担ってくれるのである。
CRMとWeb接客ツールを掛け合わせたWeb接客事例
ここでは、実際に行われているWeb接客ツールでのアプローチについて、ITツールを導入した具体的な事例を見ていきたい。
まず、アクセスログに記録されるデータ情報のひとつである「リファラ」を使用し、流入広告別に接客を行なった例がある。特定のページを訪れた人のみに向けた接客や、CVのログが1回の顧客(新規顧客)にのみリピート促進の接客を行うといった、ユーザーの行動履歴に基づく接客も行われている。
他にも、CX(顧客体験)プラットフォームKARTEと連携している企業の場合、定期コース解約済みの顧客をCRM/MAツール「カスタマーリングス」でセグメントし、定期コース再開を促す接客を行った。
まとめ
Web接客ツールはただ単に導入するだけではその真価を発揮させることは難しいことが理解いただけただろうか。Web接客ツールはCRMの情報と組み合わせて活用することで、サイトを訪れるユーザーひとりひとりに合った接客を行うことが可能となるもの。MAツールなどとの連携も考慮しながら、企業の課題に応じた最適なツールを選択したいものである。
カスタマーリングスのサービスを紹介
CRMツールにはさまざまな製品がありますが、Web接客ツールの活用を成功に導くなら、「ITreview Best Software in Japan 2022(※)」に BtoC向けマーケティングオートメーションとして唯一選出され、BtoBの実績も豊富なCRM/MAツール「カスタマーリングス」をおすすめします。
※ITreviewユーザーが支持した日本のSaaS・ソフトウェアのTop50製品を選出する、1年に1度の企画。ビジネスの最前線で注目を浴びているSaaS・ソフトウェアの中でも、特に満足度・認知度がともに優れた製品が選出されます。
データ統合から分析、メールやLINE、アンケート等の配信・管理までノーコードで実行でき、ECサイトやBtoCサービスを中心に11年・750社への導入を通じて進化を続けています。
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また、本記事では、CRMとWeb接客ツールを掛け合わせたWeb接客事例をご紹介しましたが、まだまだ豊富な事例がございます。「他社の活用事例が知りたい」「自社に合った活用方法を提案してほしい」という場合は、お気軽にお問い合わせください。
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