Web接客ツールをどのように活用することでCRMの成果を最大化することが出来るのか


Writer:
山崎雄司
  • facebook
  • Twitter
  • LINE

検索エンジンやSNSなど、あらゆるデジタルチャネルを駆使した「デジタルマーケティング」。そのテクノロジーにはさまざまなツールが存在する。今回はそのなかでも、近年マーケティング業界トレンドワードのひとつになった「Web接客ツール」の活用方法に注目したい。「Web接客ツール」について、あなたは説明できるだろうか。また、すでに導入済みという人も、自社データを連携させた利活用ができているだろうか。ここではITツールの効果的な組み合わせ方について考えてみよう。

そもそも「Web接客ツール」とは


ECサイトなどを訪れたユーザーに対し、実店舗と同様に、Web上で接客を行うことを「Web接客」という。また、そのためのツールを「Web接客ツール」という。この「Web接客ツール」の導入には、タグを埋め込むだけなど導入者側の負担も軽いことから、実際にマーケティングに活用している企業も増加傾向にあるようだ。

Web接客ツールの目的


では、Web接客を行う目的は何か。それはズバリ「Web上での売上を上げる」ことだ。そのためには実店舗での店員の接客に限りなく近い、ユーザーひとりひとりに合わせたきめ細やかなサービス(おもてなし)が有効になってくる。しかし、Webを利用する人々の多様化に伴い、サイトに流入してくる顧客ひとりひとりに最適化することがどんどん難しくなっているのが現状。それでも、予測しきれないニーズになるべく柔軟に対応していきたいという発想が「接客」という考え方につながっている。このような背景のもと、Web接客ツールが登場した。

Web接客ツールの分類


Web接客ツールは、「チャット型(タイプ)」と「ポップアップ型(タイプ)」の2種類に大別できる。


チャット型(タイプ)


「チャット型」は、Webページ上にチャット画面を表示し、リアルタイムで対話による接客を行うツールである。チャット画面でユーザーが入力した情報に対して自動返答を行うほか、リアルタイムでオペレータと対話することも可能。顧客データを把握していれば、リアルタイムでの対話の際に、ほぼ実店舗と変わらない対応ができるだろう。特に利益の大きい顧客や来訪回数の多い優良顧客に対して、効果的なツールといえる。
代表的なものにSYNALIO やsincloなどがある。

ポップアップ型(タイプ)


「ポップアップ型」は、訪問ユーザーの属性や行動や閲覧履歴、購入履歴などをもとに、最適な接客を画面上のポップアップで行うツールである。たとえばクーポンやキャンペーン情報等のメッセージ、購買データ等に基づくレコメンドなどの表示が挙げられる。CRMと掛け合わせることでより精度の高い訴求が期待できるもので、代表的なツールとしてはSprocketecコンシェルなどが知られている。
 
これらのツールは、企業の目的、すなわち新規顧客の開拓をしたいのか、既存顧客の保持(リテンション)をしたいのかによって使い分けるのが理想的だ。たとえば、テモナ社のヒキアゲールなどはリテンションに強いツールとして認知される。他にも、チャットに特化したZendesk Chatチャモ、クーポン機能に優れたZenClerk、離脱防止に強いVeJapanなど、特定の機能を特化させたさまざまなツールが存在する。

また、「Web接客ツール」には、「チャット型」もしくは「ポップアップ型」のみならず、双方の機能を併せ持つものも存在。マーケットを牽引しているのはこのような総合的なツールで、プレイド社のKARTEやフリップデスク社のFlipdeskが代表的だ。

CRMと掛け合わせることで「あなただけ」に向けたアプローチを


ポップアップ型やチャット型のWeb接客ツールのデメリットとして、訪問ユーザーに対して鬱陶しさを感じさせてしまう点が挙げられる。たとえば、同じ広告を何度も表示していたり、古い情報を提示していたりするケースだ。これではせっかくの接客が逆効果になってしまいかねない。しかし、適切なタイミングで適切な接客を行うことができれば、ユーザーにとって心地良い経験を提供することができ、商品やサービスを販売する側としても有効な打ち手になり得る。そのためには社内のCRMデータと組み合わせた運用が必要不可欠だ。実店舗と同様の接客を行うには、顧客ごとにアプローチを変える必要があり、その際にCRMのシステムがWeb接客ツールをサポートする役割を担ってくれるのである。

CRMとWeb接客ツールを掛け合わせたWeb接客事例


ここでは、実際に行われているWeb接客ツールでのアプローチについて、ITツールを導入した具体的な事例を見ていきたい。
まず、アクセスログに記録されるデータ情報のひとつである「リファラ」を使用し、流入広告別に接客を行なった例がある。特定のページを訪れた人のみに向けた接客や、CVのログが1回の顧客(新規顧客)にのみリピート促進の接客を行うといった、ユーザーの行動履歴に基づく接客も行われている。他にも、CX(顧客体験)プラットフォームKARTEと連携している企業の場合、定期コース解約済みの顧客をMAツールカスタマーリングスでセグメントし、定期コース再開を促す接客を行った。

まとめ


Web接客ツールはただ単に導入するだけではその真価を発揮させることは難しいことが理解いただけただろうか。Web接客ツールはCRMの情報と組み合わせて活用することで、サイトを訪れるユーザーひとりひとりに合った接客を行うことが可能となるもの。MAツールなどとの連携も考慮しながら、企業の課題に応じた最適なツールを選択したいものである。

メルマガ登録
  • facebook
  • Twitter
  • LINE