プライベートDMPを活用してCRMを加速せよ


Writer:
山崎雄司
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企業のマーケティング予算がオンラインに次々にシフトしている中、デジタルマーケティングに関するテクノロジーも日々進化しており、さまざまな活用方法が存在している。今回は、オンラインマーケティングの申し子ともいうべき「プライベートDMP」に焦点を当て、ITツールとの効果的な組み合わせ方や、その活用方法について考えていき、企業のCRMをどのように加速していくことが出来るのか考えていく。

企業のマーケティング予算がオンラインに次々にシフトしている中、デジタルマーケティングに関するテクノロジーも日々進化しており、さまざまな活用方法が存在している。今回は、オンラインマーケティングの申し子ともいうべき「プライベートDMP」に焦点を当て、ITツールとの効果的な組み合わせ方や、その活用方法について考えていき、企業のCRMをどのように加速していくことが出来るのか考えていく。

そもそもDMP とは?


DMPとはData Management Platformの略で、さまざまな顧客データを一元管理できるプラットフォーム(基盤)のこと。DMPには2つの種類があり、外部サイトのデータを扱うものを「パブリックDMP」、自社内のデータを扱うものを「プライベートDMP」と呼ぶ。最近では「CDP(Customer Data Platform)」と呼ばれる言葉も出現しているが、「プライベートDMP」とほぼ同様の概念と捉えてよいだろう。

パブリックDMPとプライベートDMP


ここで一度、パブリックDMPとプライベートDMPについて整理しよう。


パブリックDMPは「オープンDMP」とも呼ばれ、自社以外の第三者が所有する“3rdパーティーデータ”を一元管理するツールである。主にweb広告のターゲティングに活用され、広告を利用した新規顧客へのアプローチに適しているといわれている。見込み顧客の性別や年代、嗜好性、外部サイトの行動データなど、自社にないものや分野の違うデータを扱うため、自社の顧客に近い見込み顧客を探すことが可能なツール。Yahoo! DMPなどが代表的なサービスだ。

それに対し、「プライベートDMP」は自社サイトにある顧客情報や購買履歴(オンラインデータ)のほか、サイト訪問者のアクセスログやオフラインのデータ(実店舗で集めた情報)といった“1stパーティーデータ”を一元管理するツールである。顧客の属性データにさまざまなトランザクションデータを結び付けることで、データの山から顧客の顔を見極めることができる仕組みといえるだろう。例えば、最近サイトへのアクセスがない顧客や、問い合わせフォームの途中で離脱してしまった見込み顧客を選別し、Eメール等を使ってキャンペーン情報を送ったり、興味を引きやすい言葉を使った広告を配信したりするなどの活用方法が考えられる。Rtoasterなどが代表的なサービスだ。

DMPでできることとは?


先に述べた通り、DMPはさまざまなデータを統合して管理し、マーケティングに応用するツールである。主な機能はデータの収集、データの管理・分析、データの活用の3つに大別されるが、どの領域に特化しているかはツールによって異なる。

プライベートDMPには、用途を問わず多くの情報を溜めるタイプのもの(データレイク型)や、広告配信などのアクションに使うデータを重視したもの(アクション型)がある。なかでも後者は、短いサイクルでアクションを回すため、PDCAサイクルの高速化が可能だ。また、最近は顧客接点が多様化しているが、各チャネルで得たデータを一元化することによって、より顧客一人一人のニーズへの対応がスムーズになることが期待できるだろう。

しかし、DMPツールだけでOne to Oneマーケティングを実現できるかというと、そうとは限らないのが現状。最近は、分析した結果を踏まえたうえで顧客や見込み顧客に対してのアクションまでを実行するサービスも提供されている。いずれにしても、MAツールやCRMなどとの連携が鍵になるといえよう。

DMPによって加速するCRM


DMPとCRMの目的は、顧客データの活用から顧客LTV(顧客生涯価値)の最大化を狙うという意味で、ほぼ同様のものと捉えてよいだろう。相違点は、扱うデータの種類である。

CRMでは主に既存顧客に関するデータを扱う一方、DMPではWeb上の履歴や広告データ、および自社外の外部データ(CRMでは管理が難しいもの)を扱う。これらを組み合わせることによって、DMPはCRMで取り扱えないデータを補完してくれる存在となるのである。つまり、DMPの活用によってより精度の高いCRMの構築が進むというわけだ。

DMPの活用例


プラスアルファ・コンサルティングが提供するCRMシステム『カスタマーリングス』は、パブリックDMPツール『Yahoo! DMP』と連携。それにより、自社内のデータとヤフージャパンのビッグデータを掛け合わせて効果的な広告配信が可能となっている。

プライベートDMPについては『Rtoaster』との連携実績も。自社の顧客ID(1stパーティーデータ)でセグメントすることで、対象顧客への広告配信の強化や、対象以外の顧客に対しても広告の配信を強化した。具体的には、複数回のメールを配信後、いずれも開封されていない顧客を“メールアドレスが無効”と判断し、それをもとにDSP広告を使い追客する方法が一つ。ほかにも、初回購入のみで2回目購入に至っていない顧客にのみDSP広告やキャンペーンバナーの出し分けで追客するといった活用も行っている。

DMPの活用事例について、まずはYahoo!DMPを導入した例を紹介しよう。株式会社ニッピコラーゲン化粧品では、サンプル配布から購入に至った顧客の属性を分析し、サンプル配布の対象を選定。それにより、サンプル配布後の購買率が2倍以上に引き上がったそうだ。また、ANAカードを提供している全日本空輸株式会社は、カード発行を促す広告をどの顧客に対しても表示していたが、データを活用し、顧客に合わせてカードのランクアップ広告を配信するように。顧客に最適化した広告表示を実施した結果、コンバージョン数を大幅アップさせたという。

次に、Rtoastorの導入事例をいくつか紹介しよう。株式会社JTBパブリッシングは、チケット予約サイトとWebメディアの2点から得た顧客情報を一元化。それによって顧客のニーズにマッチしたリコメンドを実施したという。さらに、新たなコンテンツの制作や商品開発にも生かせているそうだ。また日本航空株式会社では、導入当初はIPアドレスに応じたリコメンドを行っていたが、閲覧履歴や属性情報といったデータをプラス。2012年頃からは、さらに自社のもつビッグデータを用いた予測分析を組み合わせ、顧客一人一人に合わせたバナーの出し分けを実現させることで、クリック数が2?3倍に増加したという。

プライベートDMPは、データ統合、顧客の可視化、PDCAの効率化、施策の最適化などに欠かせないツールであることがご理解いただけただろうか。プライベートDMPで様々なデータを統合することでマーケティングに活用できる情報量が飛躍的に増える。情報量が増えれば増えるほどより正確なレコメンドを行えるほか、新しい施策や顧客一人一人に応じた接客へと繋げることも可能だ。しかし、無目的に導入しても意味がない。大切なのは、データをまとめる目的を明確にし、どこで、誰が、どれぐらい購入したか、自分たちの顧客像を把握することだ。そうすることで、顧客がどこから訪れても、またどこにいても最適なカスタマーエクスペリエンスを提供できるようになるのではなかろうか。プライベートDMPの持つポテンシャルを最大限に発揮するとともに、相乗効果による「おもてなし」の最大化を実現するためにも、ぜひ活用したいものである。

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