中小企業こそCRMを活用すべき理由とは?メリットや選び方を解説


Writer:
山崎雄司
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顧客情報を一元管理し、生産性の向上や業務効率化を実現するCRM。CRMは大企業だけでなく、人材などのリソースが限られている中小企業においても大きなメリットをもたらす。本記事では、中小企業が押さえておきたいCRMのメリットや選定のポイントについて解説していく。


中小企業の現状とCRM導入率


新型コロナウイルス感染拡大の影響で、企業活動のデジタル化は一気に加速した。商工組合中央金庫(商工中金)による「中小企業のIT導入・活用状況に関する調査結果」(2021年)によると、中小企業におけるITの導入・活用状況について、「実施している、または検討中」と回答した企業は全体の約6割を占めたという。
また、中小企業庁の「中小企業白書」(2022年版)によると、中小企業のデジタル化の取り組み状況について「デジタル化による業務効率化やデータ分析に取り組んでいる状態(段階3)」と回答した企業は約46%、「デジタル化によるビジネスモデルの変革や競争力強化に取り組んでいる状態(段階4)」と回答した企業が約10%であった。つまり、何らかのデジタルツールを活用した顧客管理やマーケティングを実施している中小企業は5割を超えていると捉えられるが、有効活用している企業は約10%と、まだまだ発展の余地があるといえるだろう。
CRMは、導入し、顧客情報を一元化してデータ管理することで、中小企業で不足しがちなリソースを補い、業務効率の向上をはじめとするさまざまなメリットを得られる。アフターコロナ時代に突入し、企業のDX化はさらに加速していくと考えられ、今後も中小企業におけるCRM導入はますます進んでいくだろう。


中小企業がCRMを導入するメリット


中小企業がCRMを導入するメリットを以下3点にまとめる。

定型業務を自動化できる


CRMはルーチンワークを自動化するため、人的リソースに限りがある場合でも業務の効率化が期待できる。たとえばレポート作成の場合、CRMに備わっている顧客データの集計やグラフ化、レポート作成などの機能を活用することで手間を削減できる。


属人化から脱却できる


CRMは顧客情報を一元管理し、データをリアルタイムで共有できるため、部門間の連携が迅速化される。顧客や案件の管理方法が担当者ごとに異なると業務が属人化しやすいが、CRMを活用し情報を共有することで、たとえば担当者が不在だった場合でもトラブルの対応等が可能となる。


精度の高いマーケティングができる


多角的な分析機能を有するCRMは、統合された顧客情報をもとに、さまざまな分析を行うことでニーズを汲み取り、顧客一人ひとりに最適なアプローチを実現する。また、施策の費用対効果を分析し、結果をわかりやすくグラフ等で可視化することも可能だ。勘や経験によるマーケティングから脱却し、分析結果に基づいた高精度な戦略を立てることができるようになる。


中小企業がCRMを導入するデメリット


中小企業がCRMを導入する際にデメリットとなりうる点を以下の3つにまとめる。

コストがかかる


CRMの導入にはさまざまなコストがかかる。初期費用や月額利用料など費用だけでなく、人件費や社内研修などに要する時間などが挙げられる。特に、中小企業で人件費や教育にかけられるコストが少ない場合は、必要なCRMの機能と自社のリソースがマッチしたCRMを選定することが重要になる。

運用体制を見直す必要がある


CRMの導入前に、運用体制を見直す必要がある。たとえば社内にエンジニアがいない場合、CRMを導入したとしても使いこなせないリスクも。実際に運用する現場の声を聞いて操作性の確認を行ったり、CRM導入に当たってプロジェクトチームを立ち上げたりするなど、導入前から運用体制を整えることが重要である。また、ツールを選ぶ際には、導入後のベンダーのサポート体制も確認しておきたい。


効果が現れるまで時間がかかる


CRMでは、顧客のデータベースをしっかりと構築してからマーケティング戦略に反映させ、PDCAサイクルを回して効果の検証を行うことで、顧客との継続的な関係を築いていくものである。データを蓄積し、システムが定着するまでには一定の期間が必要となるため、CRMの導入や運用は長期的な目線で検討する必要がある。

中小企業がCRMを選定する際のポイント


中小企業の実状を踏まえ、CRMツールを選定する際に押さえておきたいポイントを以下4点にまとめる。

利用コストは適正か


検討しているCRMツールの利用コスト(初期費用や月額料金など)が適正であるかの確認をしておく。導入しやすい価格帯のプランがあるか、オプションの追加課金がどの程度かなどがポイントとなる。ベンダーによっては柔軟に見積もってくれるサービスもあるので、まずはスモールスタートで実施するのもよいだろう。
なお、CRMツールはクラウド型とオンプレミス型に大別される。クラウド型は基本的に定額制であり、導入費用を抑えられるため、中小企業に適している。一方、オンプレミス型は初期費用がかさむうえ、導入・運用に当たって専門知識のある人材を必要とするため、リソースに余裕のある企業向けといえる。


初心者でも扱いやすいか


中小企業の場合、限られた人員でツールを運用することが多い。操作の難易度が高いと教育コストがかかるうえ、現場に定着しづらいため、初心者でも利用しやすくわかりやすいCRMツールを選択したい。実際にツールを扱う従業員を交えて導入を進めれば、担当者のスキルに左右されない、扱いやすいツールを選定できるだろう。無料トライアルなどを活用し、実際の使用感を確認しておくとスムーズだ。

サポート体制が整っているか


中小企業では人的リソースが限られていることが多く、専属のエンジニアを雇用するのが難しいケースも多いため、サポートの充実したサービスを選択するとよいだろう。CRMのスムーズな運用にはベンダーのサポートが不可欠なので、どのようなサポートを提供しているのか、迅速な対応を得られるのかなど、事前に内容を精査しておきたい。また、セキュリティ対策についても確認しておくと安心だ。


目的達成に必要な機能を満たしているか


導入前に自社の目的や課題を洗い出し、それらの解決に必要な機能を満たすCRMツールを選定する。自社の課題や目的に見合っていないツールを導入しても十分な効果は期待できない。ツールはそれぞれ適性や役割が異なり、多機能であるほど高額になりやすいため、課題解決に必要な機能を洗い出して優先順位を付けるとよいだろう。また、他ツールとの連携により機能を拡張できるケースもあるので、外部連携や拡張性についても確認しておきたい。


中小企業におすすめのCRMツール


ここからは、具体的に、中小企業におすすめのCRMツールを見ていこう。
※以下の料金プラン等については、2023年4月時点の情報で記載しているため、実際に検討および利用する際には各社の公式ホームページ参照。
※価格はすべて税別。
 

カスタマーリングス


運営元:株式会社プラスアルファ・コンサルティング
料金プラン(月額):問い合わせ
初期費用:問い合わせ
カスタマーリングスは、CRMとMAツールから進化した顧客実感型マーケティングプラットフォーム。「誰でも」「すぐに」データ抽出やレポート作成、アクション実行が可能で、単純作業を削減しクリエイティブな業務にシフト出来るツールである。目的に合わせた柔軟な見積もりが可能で、サポート体制も手厚い。
 

Hubspot CRM


運営元:HubSpot Japan株式会社
料金プラン:無料(有料プラン:月額3,600円~※年契約の場合)
初期費用:無料
Hubspot CRMは、使いやすさと機能性を追求した無料のCRMツール。ユーザー数やデータ容量に関わらず無料で、営業・マーケティングに活用できる機能を豊富に搭載し、940種類以上の外部サービスとAPI連携できる。SFA、MA、カスタマーサポートの各機能は、有料の他プラン(「Marketing Hub」など)を契約することで拡張が可能。

Zoho CRM


運営元:ゾーホージャパン株式会社
料金プラン(月額)※年契約時
スタンダード:1,680円/1ユーザー
プロフェッショナル:2,760円/1ユーザー
エンタープライズ:4,800円/1ユーザー
アルティメット:6,240円/1ユーザー
初期費用:無料
Zoho CRMは、豊富な機能とわかりやすいUIを備え、幅広い分野に対応できるCRM/SFAツール。高性能ながら初期費用がかからず料金プランも比較的低コストなため、中小企業も導入しやすい。また、別のプランを契約したり、同社提供の業務アプリと連携したりすることで、機能の拡張が可能。

より多くのCRMツールを比較・検討したい方は、以下の記事も参考にしてほしい。


まとめ:中小企業こそCRMツールの活用を


日本の産業において企業数全体の99%を占め、あらゆる経済を動かしている中小企業。CRMは、一人ひとりが効率よく多数の業務をこなさなければならない中小企業こそ導入すべきツールといえるだろう。重要なのは、自社の目的や課題解決に必要な機能を備えたCRMを選定すること。CRMのメリットやデメリット、ツールを選ぶ際のポイントや注意点を事前に把握し、自社に最適なツールを選定しよう。

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