BtoB EC業界におけるCRMとは?現状と活用のポイントを解説


Writer:
山崎雄司
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EC市場規模が拡大し、BtoB業界でもEC事業を手掛ける企業が増えてきています。EC事業の展開にはデジタルツールの導入が不可欠ですが、見込み顧客を含めた顧客データの管理や分析を行い、営業の効率化を図るために必要なデジタルツールの一つとして、CRMが注目されています。
この記事では、BtoB EC業界の現状と、EC事業におけるCRMの重要性を解説し、CRMツールの導入によって成功を収めた企業の実例や、BtoB EC業界が抱えがちな課題とその対策について解説していきます。

目次


1.BtoB EC業界の現状
 1)BtoBとBtoCの違いは?
 2)市場規模及び需要
 3)BtoB EC業界の近年の動向
2.BtoBとBtoCにおける顧客管理ツールの違い
3.BtoB EC業界でCRMが注目される背景
4.BtoB EC業界が抱える課題とCRMを活用した解決法
5.BtoB EC業界でCRMツールを導入する際の注意点・ポイント
6.カスタマーリングスのサービスを紹介
6.カスタマーリングスのサービスを紹介
7.導入の目的を定めてCRMを活用しよう

BtoB EC業界の現状


1) BtoBとBtoCの違いは?


BtoBマーケティングとBtoCマーケティングでは、ビジネスや取引を行う相手が異なります。
BtoBは「Business to Business」の略で、企業が他の企業に対してサービスや商品の提供を行う、企業と企業が取引するビジネスを指します。
一方BtoCは「Business to Customer」の略で、一般の消費者に向けてサービスや商品の提供を行う、企業と消費者間の取引のことを指します。

2) 市場規模及び需要


経済産業省の調査によると、令和4年の日本国内のBtoB-EC(企業間電子商取引)市場規模は420.2兆円(前年372.7兆年、前々年334.9兆円、前年比12.8%増)に増加しました。また、日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は22.7兆円(前年20.7兆円、前々年19.3兆円、前年比9.91%増)となっており、BtoB、BtoCともに商取引の電子化が進んでいることがわかります。
さまざまな業種のBtoB-EC業界で市場規模が拡大していますが、なかでも令和4年の特徴として、消費者の外出機会が増え、外食やホテルの需要が高まったことが挙げられます。それに伴い、業務用食品等の需要が拡大したことが、BtoB-EC業界の市場規模増加につながったとみられます。
同時に、コロナ禍で加速したDX化の動きも継続しており、今後も市場規模の拡大が予想されます。

3) BtoB EC業界の近年の動向


同調査を業種別に見た場合、「情報通信業」の市場規模が18兆2,616億円(前年比9.4%増)、EC化率が22.3%に増加しており、ECによる取引が拡大していることがわかります。なお、2022年におけるBtoB市場全体のEC化率(全ての商取引金額(商取引市場規模)に対する、電子商取引市場規模の割合)は37.5%となっています。
また、業種別のEC化率において、最も高いのが「輸送用機械」で76.7%、最も低いのは「建設・不動産業」で15.2%となっています。

BtoBとBtoCにおける顧客管理ツールの違い


BtoBにおけるCRM


BtoBでは、セールスサイクルが比較的長いため、CRMは見込み顧客との接点を持ち、購買意欲を高めて商談や成約につなげるといったリードナーチャリングの目的で利用されます。


BtoCにおけるCRM


BtoCでは、顧客管理や分析を行い、顧客一人ひとりのニーズに合わせて対応することで、顧客との長期的な関係を構築し、LTVを向上させることを主な目的としています。


BtoB EC業界でCRMが注目される背景


昨今のスマートフォンやSNSの普及に伴い、消費者の購買プロセスは複雑化しています。購買プロセスの変化が起こりにくいとされていたBtoB業界でもその影響を受け、デジタルデータを活用したマーケティングの重要性が増しています。
BtoB EC企業と同様、BtoB EC企業も、電子商取引という販売形態上、デジタル化は必須条件といえます。そのため、CRMなどのデジタルツールを用いた効率的・効果的なマーケティングが求められています。また、BtoB業界はセールスサイクルが長いため、見込み顧客の獲得や育成(リードナーチャリング)を目的にCRMツールを導入するケースが多くみられます。
なお、BtoB EC企業がCRMツールを導入する具体的なメリットとして、属人化の解消や既存顧客のLTV向上、営業活動や営業管理業務の効率化、生産性の向上などが挙げられます。

BtoB EC業界が抱える課題とCRMを活用した解決法


ここからは、実際にBtoB EC業界の企業がカスタマーリングスCRMを導入した事例を基に、BtoB EC業界が抱えるマーケティング課題と、CRMを活用することでどのように解決できるかをご紹介していきます。

課題①無限に出てくる顧客へのアプローチ方法のアイデアを具現化できなかった


解決法:CRMツールには、顧客データに基づくセグメント機能があります。これを活かし、ターゲットごとのニーズに合わせた最適なメール配信を行うことで、パーソナライズされたアプローチができます。
とある企業では、分析を通して、アプローチが不足していた客層や不必要なメルマガ配信が浮き彫りになり、施策の見直しにつながりました。また、自分たちのアイデアをメルマガに落とし込めるようになった結果、メルマガを通した売上が一斉配信の時と比べて200%アップしました。また、さらに、顧客の動向や現状把握などのデータが可視化されるダッシュボード機能によって、データ分析の属人化が解消され、可視化の高速化も実現することができました。


課題②アンケートや定量データを自分たちで抽出・加工していたため、集計にかなりの手間がかかっていた


解決法:データ集計を自分たちで行うと、時間がかかるうえに効果測定も不十分になりがちです。しかし、CRMツールを導入すると、たとえば顧客ごとの平均購入周期やメーカーごとの継続率が把握できるようになります。こうした集計結果を具体的な施策に落とし込むことで、データに基づく最適なアプローチが実現できます。とある企業では、ポイント失効や会員ランク切れ、平均周期切れ、クーポン未利用者に対して、LINEとメールを併用したきめ細やかなアプローチをすることによって、顧客体験価値(CX)向上へとつなげることができました。


課題③データに隠れている課題点が不明確


解決法:データを自分たちで加工・抽出しなければならない場合、時間がかかるため分析結果から気づきを得るタイミングを失ってしまうことも。とある企業では、データから見えてくる課題を把握できずにいましたが、CRMツールの導入により、顧客ごとの平均購入周期やメーカーごとの継続率が把握できるようになりました。こうしたデータから顧客一人ひとりの購入周期を把握し、離脱タイミングに対して迅速にメール等でアプローチすることで、離脱率が10%改善されています。


課題④既存顧客ばかり優先していまい、見込み顧客に対してアプローチができなかった


解決法:とある企業では、人件費や効率化を求めるあまり、既存顧客にのみ営業し、見込み顧客へのアプローチができていなかった現状がありました。成約になかなか結びつかない顧客は営業リストから除外してしまうことも。すぐに取引できる可能性の高い顧客にターゲットを絞り込んで営業していました。
しかし、CRMツールを導入することで、ローコストで見込み顧客管理の作業効率アップに成功し、ただ追いかける営業だけではつながることのできなかった見込み顧客との関係を継続できるようになりました。


BtoB EC業界でCRMツールを導入する際の注意点・ポイント


繰り返しになりますが、BtoB EC業界の購買プロセスや業務プロセスに合わせた最適なマーケティングを実施するためには、CRMツールの活用が有効です。ここでは、CRMツールを導入する際の注意点やポイントについて解説します。

・名刺管理がしやすいか
名刺管理の効率化や、これまで対応した履歴の可視化など、名刺管理がしやすいと顧客ごとに最適なアプローチを実現しやすくなります。

・自社の目的に合致しているか
企業によってCRMツールの導入目的は異なります。自社の目的を確認し、必要な機能を絞り込んで、予算と目的にあった最適なツールを選ぶことが重要です。

・操作性に優れているか
操作性が悪いことで、CRMツールを導入したのに社内で浸透しない、という結果になってしまっては元も子もありません。社員が操作しやすく、相性の良いツールを選びましょう。

・連携機能があるか
CRMツールは、他のツールとの連携により、さらに高い効果を発揮します。たとえば、ERPなどの基幹システムと連携すれば、経営戦略を考える際に顧客情報を活用しやすくなります。導入の際は、自社の既存ツールとどのように連携できるかを確認しておくとよいでしょう。


カスタマーリングスのサービスを紹介


CRM/MAツールにはさまざまな製品がありますが、顧客理解を深めるなら「ITreview Best Software in Japan 2022(※)」に BtoC向けマーケティングオートメーションとして唯一選出され、BtoBの実績も豊富な「カスタマーリングス」をおすすめします。


※ITreviewユーザーが支持した日本のSaaS・ソフトウェアのTop50製品を選出する、1年に1度の企画。ビジネスの最前線で注目を浴びているSaaS・ソフトウェアの中でも、特に満足度・認知度がともに優れた製品が選出されます。

データ統合から分析、メールやLINE、アンケート等の配信・管理までノーコードで実行でき、ECサイトやBtoCサービスを中心に11年・750社への導入を通じて進化を続けています。

「使いこなすのが難しそう…」という場合でも、きめ細かな導入・活用支援メニューをご用意しています。伴走型の充実したサポートで自走までご支援しますので、ご安心ください。


また、本記事ではいくつか具体的な事例をご紹介しましたが、まだまだ豊富な事例がございます。
「他社の活用事例が知りたい」「自社に合った活用方法を提案してほしい」という場合は、お気軽にお問い合わせください。


導入の目的を定めてCRMを活用しよう


顧客の動きを多方面から把握していくために、CRMの導入が効果的であることをおわかりいただけましたでしょうか。
BtoB EC業界でCRMを導入すると、長期的に高い利益を生み出す企業体質を作っていくことができるでしょう。そのためには、「オンラインと実店舗の顧客データの統合をしたい」といった手段ではなく、なぜデータ統合が必要なのか、データ統合を行った先にどのようなCXを提供することができるかなど、目指すべき目的を具体的に定めてから実行プランを構築していくことが大切です。
顧客との関係性を効率的に維持し、発展させていくために、ぜひCRMの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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