リードナーチャリングとは?意味や背景、プロセス、メリット・デメリット
- Writer:
- 山崎雄司
リードナーチャリングとは、まだ購入に至っていない見込み顧客(リード)との関係を深化させ、最終的に製品やサービスの購入につながる成熟したリードに育て上げる活動のこと。
リードナーチャリングとは
リードとは、「手がかり」や「きっかけ」という意味を持ち、営業やマーケティングの世界では見込み顧客のことを指す。そのリードの購買意欲を高め、商談や受注へとつなげるためのマーケティング活動を、リードナーチャリング(Lead Nurturing)と呼ぶ。リードナーチャリングは、主にBtoBの状況で用いられるマーケティングや営業の戦略の一つである。
なお、営業やマーケティングのプロセスでは、リードナーチャリングの前に、見込み顧客や潜在顧客を獲得するためのマーケティング活動である、リードジェネレーションというステップがある。その後、獲得したリードを購入につなげるべく育てるリードナーチャリングを経て、最終的には購入意欲の高い層を選別するリードクオリフィケーションを行う。
リードナーチャリングが注目される背景
購買プロセスの変化
デジタル技術の発展に伴い、消費者の購買プロセスは大幅に変化した。特にBtoBの購買プロセスでは、営業を受けなくても消費者が自分で情報を集め、企業に初めてコンタクトを取る段階まで進むことが増えている。こうした変化により、見込み顧客との関係を初期段階から構築し支援するためのリードナーチャリングが重要になっている。
データ利用の進化
デジタルマーケティングのツールとテクノロジーが発展し、企業は見込み顧客の行動を詳細に追跡し、その情報に基づいてパーソナライズされたメッセージを送るという方法を追求し始めている。これはリードナーチャリングの重要な要素であり、より効果的な戦略につながる。
コンテンツマーケティングの重要性の高まり
近年、コンテンツマーケティングの重要性が増しており、見込み顧客に価値ある情報を提供し、信頼関係を構築することで見込み顧客を購入に導く戦略が増えている。リードナーチャリングはこのコンテンツマーケティングの効果を最大化する役割を果たしている。
競争の激化
今日ではどの市場の競争も激化している傾向にあり、単に製品やサービスを提供するだけではなく、パーソナライズされたアプローチと継続的なエンゲージメントが求められている。リードナーチャリングはこれに応え、顧客ロイヤリティを構築し、長期的なビジネスの成長を支えている。
リードナーチャリングのプロセス
1.リード情報を整理する
まずは自社がもつ顧客のデータを一元化する。名刺や必要な情報の抜け漏れを防ぎ、リストの重複をなくす。
2.リードをセグメントする
一元化された顧客情報を基に、性別や住所、年齢、職業、過去のやりとりなどで、顧客を分類(セグメント)する。セグメントごとに最適なアプローチをすることで、効率的な顧客獲得につなげる。
3.コンテンツ作成
セグメントした顧客の見込み度合いに合わせて、ニーズに合わせた適切なコンテンツを用意し、アプローチする。
4.クロージング
リードが育ったら、営業担当と連携してクロージングへ。連携の際には、今までの経緯やリードの特徴、現状を詳細に伝えることが大切になる。
リードナーチャリングのメリット
売り上げの向上
リードナーチャリングは、見込み顧客をより成熟させ、購入可能なリードに育て上げることで、顧客単価の向上が期待でき、売り上げの向上につながる可能性が高い。
顧客関係の強化
パーソナライズされたメッセージングを通じて、企業は顧客との関係を強化し、長期的な信頼関係を構築することができる。特にサブスクリプション商品の場合、顧客関係を築くことで解約の阻止につながることも。
購買プロセスの加速
リードに対して、彼らのニーズに応じた情報を提供することで、購買プロセスを効率化し、加速させることができる。
顧客理解の深化
リードの反応と行動を追跡することで、企業は顧客の興味、行動、優先事項をより深く理解することができ、これが今後のマーケティング戦略の改善につながる。
無駄の削減
リードナーチャリングは、より適切なタイミングで見込み顧客にコンタクトを取ることを可能にし、企業のリソースのより効率的な使用を助ける。同時に、購入に至らないリードへの投資を最小限に抑えることができるのもメリットの一つ。
顧客満足度の向上
リードナーチャリングは、見込み顧客に「自分たちのニーズが理解され、個々の問題解決に役立つ情報を提供されている」と感じさせることができる。これにより、顧客満足度を向上させ、ブランドの評判や価値を高めることにつなげられる。
リードナーチャリングのデメリット
時間がかかる
情報収集をしている段階にある見込み顧客に対し、時間をかけて情報を提供することで見込み度合を高めていくため、成果が出るまでに時間を要する。
専用のリソースが必要
リードナーチャリングには、リードの集客や顧客情報の管理、コンテンツ作成、メルマガ配信、SNSなどの運用など、さまざまな施策を行うため、専属のメンバーが必要になる場合が多い。ITツールを導入し、作業の効率化を図るとよいだろう。