カスタマーコミュニケーションとは?手法、強化するメリット、CCM
- Writer:
- 山崎雄司
カスタマーコミュニケーションとは、企業や組織が顧客とのコミュニケーションを通して、信頼関係を築くマーケティング施策のこと。
カスタマーコミュニケーションとは
カスタマーコミュニケーションとは、顧客との接点を持ち、適切なコミュニケーションを図っていくマーケティング施策のことで、「顧客コミュニケーション」とも呼ばれる。適切なツールを用いて顧客とコミュニケーションを図ることで、顧客ニーズの把握や、顧客との信頼関係の構築に役立つ。
コミュニケーションを図る方法は、電話やチャット、ソーシャルメディアといったリアルタイム性の高いツールと、メールやWebサイトのようなリアルタイム性が低いツールに大別される。
カスタマーコミュニケーションを強化するメリット
カスタマーエンゲージメントの向上
顧客との定期的なコミュニケーションを図ることで、顧客は企業に対して強い関心を寄せるようになり、関係が強化される。自身のニーズが理解され、適切に対応されていると感じることができた顧客は、企業に対し信頼感を抱くようになり、カスタマーエンゲージメントが向上。結果として、売上の増加にもつながる。
顧客のニーズや要望に応じたサービス提供
カスタマーコミュニケーションによって得た情報をもとに、顧客のニーズや要望を把握することができる。また、施策に対する顧客からの反応(フィードバック)を得ることも可能に。このフィードバックは、提供する商品やサービスの質の向上に役立つと同時に、フィードバックへの対応が顧客中心の行動と捉えられることで、顧客満足度の向上にもつながっていく。
顧客のブランドに対するイメージ向上
良好なカスタマーコミュニケーションによって顧客理解を深めることで、顧客の期待を超える商品やサービスを提供できるようになる。顧客を感動させることで、顧客はその企業に対して信頼や愛着を抱くようになるため、ブランドイメージの向上にも寄与する。また、企業が社会的責任を果たしていることや、顧客に対する真摯な取り組みを示すことも、ブランドイメージ向上の重要な要素となる。
カスタマーコミュニケーションの手法
電話
電話は、古典的なカスタマーコミュニケーションの手法であり、カスタマーサポートや問い合わせ対応などに広く利用されている。企業側は、顧客の反応や温度感を声色で読み取りやすく、顧客にとっては、直接担当者と話すことができるので、リアルタイムで問題を解決することができる。
メール
メールは、商品やサービスに関する情報提供をはじめ、注文確認、問い合わせ対応などに使用される。長文や画像の添付、一斉送信が可能であり、自動化されたメールマーケティングも一般的である。比較的低コストで運用できる点も大きなメリット。密なコミュニケーションではなく、適度な距離を保ちつつ、必要な情報を提供したい場合に向いている。
ソーシャルメディア
ソーシャルメディアは、ユーザーとの対話を通した双方向のコミュニケーションが可能である。企業は商品やサービスに関する情報を共有するだけでなく、DMやコメント欄を使用し、ユーザーの質問やフィードバックに速やかに対応することができる。また、第三者に見えるもの(コメント欄など)もあるので、良い対応をした場合、投稿を見ている人へ好印象を与え、信頼性やブランドイメージの向上が期待できる。
チャット
チャットは、リアルタイムでのカスタマーサポートや問い合わせ対応に使用される。企業のWebサイトやアプリ内にオンラインチャット機能を搭載することで、ユーザーと手軽で簡単にコミュニケーションを図れる。チャットはスマートフォンでも使いやすく、パーソナライズされたやり取りが可能であるため、ユーザーと親密な関係を築くことができる。
Webサイト
Webサイトは、企業とユーザーとの間で情報の提供を行うプラットフォーム。Webサイトに掲載するコンテンツを通してユーザーの求める情報を継続的に提供しながら、双方向のコミュニケーションを図っていく。ユーザーにとっては、商品やサービスの情報を得る重要な情報源であり、その内容を参考に購買の意思決定を行う。また、顧客が疑問や課題を解決するためのリソースとしても機能する。FAQやヘルプ、サポートページ、問い合わせフォームなどを提供することで、ユーザーが必要な情報を見つけやすくなる。
カスタマーコミュニケーションを強化する方法
顧客のニーズの理解
カスタマーコミュニケーションにおいて、顧客のニーズや要望を正確に理解することは非常に重要である。定期的な顧客インタビューやアンケート調査などを通してフィードバックを得て、顧客の購買行動を分析することで、顧客自身が気づいていない潜在的なニーズ(インサイト)を把握できる。
インタラクティブなコミュニケーション
顧客とのやり取りに双方向性(インタラクティブ性)を持たせることも、カスタマーコミュニケーションの強化につながる。たとえば、パーソナライズされたやり取りを通して顧客の愛着心を育んだり、顧客からの発信に耳を傾けることで信頼を獲得したりするなどの効果が期待できる。また、ユーザーレビューやデータを定期的に分析することで、顧客に合わせたコンテンツ展開や提供する情報の見直しにも役立てられる。
一貫したブランドメッセージの提供
カスタマーコミュニケーションは、ブランドイメージを形成し、良い印象を定着させるのに役立つ。その効果を高めるには、企業が自社ブランドの価値観や姿勢を顧客にわかりやすく伝えることが重要であり、企業はあらゆるチャネルやプラットフォームを通じて、一貫したブランドメッセージを提供する必要がある。こうしたブランドコミュニケーションによって、顧客はブランドに対して忠誠心を抱くようになり、LTV向上につながる。
カスタマーサポートの強化
顧客からの発信にどのように対応できるかが、良好なカスタマーコミュニケーションの重要なポイントであり、顧客満足度にも影響する。カスタマーサポートを充実させ、商品やサービスに関する課題や疑問を迅速に解決できるようになると、より顧客との信頼関係が深まる。カスタマーサポートの品質を向上させるためには、顧客対応を行うスタッフ一人ひとりがカスタマーコミュニケーションの重要性を認識することが大切である。また、技術的なインフラの改善、たとえばコールセンターをコンタクトセンター化するといったことも重要になってくる。
パーソナライズされたアプローチ
顧客一人ひとりのニーズや好みに応じてパーソナライズされたアプローチを採用することで、カスタマーコミュニケーションをより強化することができる。顧客の購買記録や行動データを活用し、顧客がどのツールでのやり取りを好む傾向にあるか、コミュニケーションの頻度は適切かなどを把握することで、個別に最適化されたコミュニケーションを提供できる。
フィードバックの反映
顧客の声をしっかりと聞き、施策にフィードバックを反映させることで、顧客からの信頼獲得につながり、良好なカスタマーコミュニケーションが図れる。そのためには、フィードバックを積極的に収集して、それを基に改善策を検討し、実行することが重要だ。顧客は自分の意見が反映されていると感じることで、顧客満足度が向上し、愛着心や忠誠心がより強化される。また、顧客のニーズや要望に合致した商品やサービスを提供することで、ブランドの競争力も強化することができる。
カスタマーコミュニケーション管理(CCM)
企業が顧客に対し、パーソナライズされたコミュニケーションを一般して提供するためのツール及び手法を、カスタマーコミュニケーション管理(Customer Communication Management/CCM)という。
顧客とのコミュニケーションを一つのプラットフォームで管理し、一貫性のあるサービスとして提供することで、顧客との間に信頼関係を構築することができる。具体的には、上述のWebサイト、メール、ソーシャルメディアなど、複数のチャネルで用いられる要素の作成から配信までを一括して管理できるツールである。これにより、顧客にとってはチャネルを問わずシームレスなサービスを受けることができ、企業はコミュニケーションの自動化によって生まれた分のリソースをより効果的に活用できる。
CCMは、複数チャネルを統合的に連携させ、シームレスな購買体験を提供するオムニチャネルマーケティングへの移行に役立つ。一貫したサービスの提供によって、顧客はより満足度の高い体験を得ることができ、カスタマーロイヤルティが向上する。そして、収益性も高めていき、長期的な成功へと結びつくことが期待できる。