マーケティングインサイトとは？意味や必要性、見つけ方、ニーズとの違い

マーケティングインサイトとは

インサイト（insight）の直訳は、洞察や直観、発見といった意味がある。マーケティングにおけるインサイトとは、「顧客の隠れた動機や欲求」を指し、顧客自身もまだ気づいていない潜在的な心理状態を意味する。「顧客インサイト」「顧客インサイト」「ユーザーインサイト」などと呼ばれることがある。

マーケティングインサイトが必要とされる理由

顧客の潜在的なニーズの把握

マーケティングインサイトを把握することによって、隠れた顧客のニーズや嗜好に応えることができる。それにより、顧客から「私たちの気持ちを理解している企業」として信頼感や親近感を得られ、結果として商品やサービスの価値を最大化できる可能性がある。

競争優位性の確立

マーケティングインサイトにより、顧客の潜在ニーズに応えられることはもちろん、新たな価値を創出したり、競合他社とは違う価値提案やブランドイメージを構築したりすることが可能に。これにより、自社のブランドの認知度の向上や、市場でのポジションの強化も期待できる。

マーケティング戦略の最適化

マーケティングインサイトは、マーケティング戦略の改善や最適化にも役立つ。マーケティング活動をより効果的に行うために、どのターゲット層に焦点を当てるべきか、どのようなメッセージが効果的かなどを理解するのに役立つ。

顧客維持とロイヤリティの向上

マーケティングインサイトを反映した商品やサービスを適切にタイミングよく提供できれば、顧客の企業に対する満足度が上がり、ロイヤリティの向上に繋がる可能性がある。顧客の潜在的なニーズに合った価値を提供することで、自社の商品やサービスに対して、愛情や好意を抱いてくれることも。顧客がファン化していくことによって、商品をリピート購入してくれたり、第三者に勧めてくれたりといったロイヤリティの向上が期待できる。

ROI（投資収益率）の向上

ROIとは企業が投資をした金額に対して、どのくらいの利益や効果が得られたかを指す指標である。マーケティングインサイトを活用することで、顧客に対する投資がより効果的に行えるため、収益の最大化が見込める。

マーケティングインサイトの見つけ方

1．データ収集

マーケティングインサイトの把握には、定量的、または定性的なデータを収集することから始める。収集方法には以下のような方法がある。
 
・マーケットリサーチ：顧客の行動パターン、購買傾向、競合情報などを把握する。
・インタビュー：1対1、あるいは複数人からインタビューすることで情報を収集する。直接、生の声を聞くことで、顧客から表面的ではない深い情報が得られる。
・ソーシャルメディアモニタリング：SNSを中心に顧客の投稿やコメントをモニタリングする。商品と違った角度からも、ユーザーの直感的な感想や意見が得られる。
・行動観察調査：特定の期間内に参加者が自分の行動や感想、体験などを日記形式で記録して、企業側に提供する。これによって、企業は参加者の日常生活や行動パターン、消費行動などを細かく把握できる。
・サーベイ調査：ある物事について、現在どのような状態や傾向なのか、全体像を把握するのが目的で、条件を指定せず大規模に行われる。

2．データ分析

集めたデータを分析し、消費者のオンライン行動を理解する。ホームページやECサイトなどのトラッキングデータはアクセス解析ツールを利用して分析する。また必要に応じてCDP、DMPなどの顧客分析ツールを活用する。

3．洞察

データの分析結果をもとに、ペルソナを設定する。ペルソナとは、商品やサービスのターゲットとなるユーザーを体現する人物像のこと。これにより顧客目線に立って、ニーズを検討できるだけでなく、商品企画に携わるメンバー間による「理想の顧客像」の相違をなくすことができる。また、「共感マップ」の作成も効果的で、ターゲットとなる顧客が見ているものや聞いていること、考えていることなどを可視化したり推測したりすることができる。こうしたフレームワークにより、マーケティングインサイトを可視化していく。

インサイトとニーズの違い

ニーズは、需要や欲求を意味し、アンケートやインタビューなどでヒアリングすると「～をしたい」「～が欲しい」など、言語化が可能であるもの。一方インサイトは、ニーズよりも深いところにあるため、顧客自身ですら漠然とした無意識の領域にあるものである。インサイトは、ヒアリングしても言語化に至らない状態のものを指す。