パーソナライズドマーケティングとは?意味やメリット、施策例、手法


Writer:
山崎雄司
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パーソナライズドマーケティングとは、顧客一人ひとりの属性やニーズ、行動履歴、好みなどに合わせて最適なメッセージや商品・サービスを提供するマーケティング手法のこと。


パーソナライズドマーケティングとは


パーソナライズドマーケティングとは、全ての顧客に同じ内容のアプローチをするのではなく、個人の属性や興味、購買行動の履歴などから顧客のニーズを把握し、顧客一人ひとりに対して最適な情報やサービスを提供することである。
英語のpersonalizeは、「(物やサービスなどを)個人向けにする」という意味があり、マーケティングにおいては、顧客一人ひとりに合わせて最適な商品やサービス、情報を提供することを意味する。


パーソナライズドマーケティングが重要視される背景


デジタル技術の進化

インターネットやモバイルテクノロジーの発展に伴い、顧客はオンライン上での個人の活動が増え、多種多様のデジタルデータが生成されるようになった。こうしたデータを基に、企業は顧客の行動や好みをより詳細に把握できるようになり、それを活用したパーソナライズドなマーケティングが可能になった。


顧客ニーズの多様化

IT技術が進化し、インターネットが普及した現代では、顧客自ら情報を得られるようになっている。そのため、ニーズも多様化しており、顧客に同じ情報や商品を一律に宣伝するという従来のマスマーケティングでは、顧客の期待に応えることが難しくなってきた。そこで、企業は顧客の個別ニーズに対応するために、個別に最適化(パーソナライズド)されたアプローチが求められているのである。


競争の激化

多くの業界で市場に参入する企業が増え、飽和状態である現在は、新規顧客を獲得し維持していくことがますます困難になってきている。そこで、競合他社との差別化を図るためには、パーソナライズドされた顧客体験が鍵となる。個別に最適化された顧客体験の提供によってカスタマーロイヤルティを獲得することは、競争力を維持するための有効な手段である。


データ分析の進歩

ビッグデータや人工知能(AI)などの技術の進歩により、企業は顧客データをより効果的に収集・分析し、そのデータを基に潜在ニーズ(インサイト)を取得することができるようになった。これにより、顧客の行動パターンや嗜好をより正確に把握できるようになり、パーソナライズドなマーケティング戦略を展開しやすくなった。


パーソナライズドマーケティングのメリット


CVの増加

パーソナライズされたアプローチを行うことで、顧客の購買意欲を高めることが可能になる。顧客一人ひとりの要望にマッチした商品や情報を、最適なタイミングで提供し、購買行動を促進することによって、「会員登録」などのコンバージョン(CV)達成につながりやすくなる。


潜在顧客へのアプローチ

顧客インサイトを把握できることで、潜在顧客へのアプローチへとつなげられる可能性も。顧客が自身のニーズをまだ把握や認識していない段階で情報を届け、潜在的なニーズを把握することで、潜在顧客を見込み顧客化し、新規顧客の獲得につなげることが可能だ。すぐに売上にはつながらない場合が多いが、長期的な効果が期待できる。


ブランドロイヤリティの向上

パーソナライズドマーケティングにより、顧客は自分のニーズや好みに合わせた情報や提案、または期待を越える体験を受けることができる。これにより、顧客はより満足度の高い体験を得ることができ、ブランドロイヤリティが高まる。


顧客とインタラクティブな関係を構築できる

パーソナライズされたコンテンツや提案は、顧客の関心を引きつけやすい。顧客が自分の興味や好みに合った情報を見つけやすくなるため、ブランドとの関与や参加率が上がり、顧客とのインタラクティブ(双方向)な関係が構築される。


ブランドの信頼性と認知度の向上

パーソナライズされたコミュニケーションやサービスを発信し続けることで、顧客に対する誠実さや関心を示すことができる。顧客が自分に対して特別に配慮されていると感じると、ブランドへの親近感や信頼性が向上するため、ポジティブなブランドイメージが構築される。さらに、好意的な口コミや情報拡散による認知度向上も期待できる。



パーソナライズドマーケティングの施策例・手法


レコメンド

レコメンドとは、Webサイトやアプリ内でよく見かける「おすすめ」のこと。顧客の過去の購買履歴や閲覧履歴に基づいて、顧客一人ひとりに合った商品やサービスをおすすめする。具体的には、Amazonの「おすすめ商品」機能などが代表的である。


メールマーケティング

メールマーケティングでは、顧客の属性や居住地域、購買履歴や興味・関心などのデータに基づいて、個別のメールを送信する。これにより、その顧客にとって関心のある情報や特典だけを提供することができる。また、メールを送るタイミングも、顧客一人ひとりに合った時間帯に行う。


Webコンテンツ

Webサイトで、顧客の属性や行動に合わせてコンテンツを動的に変化させる方法もある。たとえば、顧客の地域や言語に応じて表示言語を切り替えたり、顧客の過去の行動に基づいて関連するコンテンツを表示したりすることなどが挙げられる。


ソーシャルメディア広告のターゲティング

個人情報を登録することの多いソーシャルメディアのデータを活用すると、広告を打つ際に、顧客の属性や興味関心に基づいた高精度なターゲティングを行うことができる。これにより、特定の顧客セグメントに向けて効果的な広告を配信することが可能だ。


チャットボット

Webサイトやアプリ内に導入されたチャットボットは、過去のやりとりから属性に合わせた会話の流れをつくり、適切なサポートを提供する。顧客の質問内容や過去の行動に基づくため、顧客一人ひとりにあった応答を生成することができる。


カスタマイズやレコメンドとの違い


パーソナライズドマーケティングは、企業側が顧客一人ひとりのニーズに合わせて提供する内容を最適化する手法のことである。一方、カスタマイズとは、顧客自らが、欲しい情報や商品・サービスをニーズに合わせて調整すること。レコメンドとは、上述の通り「おすすめ」を意味し、企業側が顧客情報や購買履歴に基づいて、関連性の高い情報や商品・サービスを提示することである。 


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