コンテンツマーケティングとは?意味や手法、事例、メリット・デメリット
- Writer:
- 山崎雄司
コンテンツマーケティングとは、有益なコンテンツ(情報)を用いて潜在顧客のニーズを育成し、最終的に購入や、ファンの定着を目指すマーケティング活動のこと。
コンテンツマーケティングとは
コンテンツマーケティングとは、2000年頃にアメリカで生まれたマーケティングコミュニケーションの考え方で、日本でも2014年頃から浸透してきた。企業が消費者に向けて一方的に発信するマス広告による情報と、消費者の知りたい情報とのギャップを埋めるために、消費者にとって有益なコンテンツを用いながら双方向のコミュニケーションを図っていく手法である。最終的に、見込み顧客を顧客化し、ロイヤルカスタマーの醸成を目的とする。
コンテンツマーケティングの事例
コンテンツマーケティングの方法は幅広く、その手法はさまざまだ。たとえば、ある調理家電メーカーが商品を使った料理の作り方をSNSで配信したり、健康食品メーカーがウェルネスをテーマにした冊子を配布したりするといった事例のほか、化粧品メーカーが実施するメイクアップセミナーなどもコンテンツマーケティングに含まれる。また、企業がWebサイトなどに展開するホワイトペーパーもコンテンツマーケティングの一つ。こうした活動は、顧客が自社の商品やサービスに興味を持つようになるまでは直接的な売り込みをしない「インバウンドマーケティング」の手法であり、いかに顧客が求める情報を発信できるかがポイントとなる。
コンテンツマーケティングの手法
1.ターゲットを設定する
顧客のペルソナ(自社の商品やサービスを利用する象徴的な顧客像)を設定することで、情報を届けたいユーザー像が明確になり、コンテンツの方向性を具体化することができる。
2.カスタマージャーニーマップを作成する
設定したペルソナのカスタマージャーニーマップを作成する。自社を好きになってもらい、購入に至り、ファンで居続けてもらうまでの道筋を可視化することで、各顧客接点に必要なコンテンツを検討する。
3.コンテンツマップを作成する
カスタマージャーニーマップに沿って、どのコンテンツをどのメディアでいつ発信するかを検討。ユーザー(ペルソナ)のサイト内導線を意識して作成する「コンテンツマップ」を用いながら、サイト内のコンテンツ構成を可視化する。そして、作成が必要なコンテンツを整理してリストを作成し、コンテンツ制作のスケジュールを立てていく。このとき、購入に近い段階で配信するコンテンツを優先するとよい。
4.コンテンツを制作する
コンテンツマーケティングでは、発信するコンテンツの内容が肝となるため、その制作は慎重に行いたい。コンテンツ制作には時間やマンパワーを費やすため、予算に応じて専門的なノウハウを持つ外部の制作会社に依頼するのも効率的だろう。
5.コンテンツを発信する
コンテンツが完成したら、SNSやメルマガなどを用いて積極的に発信していく。一度発信したら終わりではなく、あらゆるタイミングやさまざまなプラットフォームで複数回発信し、認知度を高めていく。なお、同時にKPIを設定し、発信後に効果測定を行うことも忘れないようにしたい。
コンテンツマーケティングのメリット
長期的なコストパフォーマンスが高い
コンテンツマーケティングは、一度作ったコンテンツが蓄積され、長期間にわたって繰り返し活用することができる。そのため、継続期間が長期になるほど効果的である。リスティング広告やディスプレイ広告といったWeb広告と比較しても、長い目で見たときに費用対効果が高いといえる。
顧客ロイヤリティや業界でのプレゼンスを高められる
顧客の目線で有益なコンテンツを制作し、発信し続けることで、顧客は自然とその企業に愛着を持つ。また、その分野の専門的な内容をコンテンツ化することで、「○○といえばこの企業」といったプレゼンス(存在感)を定着させることができ、ニーズが生じた際にまずその企業を思い出してくれることも期待できるだろう。売り込みではなく、自然な形で自社を認知してもらい、信頼を得ることで顧客の自社への愛着を醸成し、生涯を通じて自社の商品やサービスを利用してくれるようになれば、収益の安定化にもつながる。こうしたLTVの観点からも、コンテンツマーケティングは大きなメリットがあるといえるだろう。
コンテンツを資産にできる
ホワイトペーパーなどのコンテンツは、営業資料として活用したり、新人研修に利用したりと、社内での活用も可能。制作したコンテンツが会社の資産となり、あらゆるシーンで汎用できるのもメリットだ。
コンテンツマーケティングのデメリット
リソースを確保する必要がある
良いコンテンツを制作しようとすると、その分時間と労力がかかる。また、外部に制作を委託する場合はより時間や費用がかかる可能性も。ただし、一度有益なコンテンツを制作すれば、上述の通りあらゆるシーンで活用できるため、費用対効果を考えたうえで制作を検討したい。
成果がすぐに出ない
コンテンツを使ったマーケティングは、そのコンテンツを発信したからといってすぐにファンが増え、収益があがるというわけではない。このマーケティング手法は、あくまでもコンテンツをきっかけにして自社に好意的な印象を持ってもらい、口コミやSNSなどによる顧客の自発的な拡散により少しずつファンを増やしていくことが目的である。即効性のあるWeb広告に比べると、コンテンツマーケティングでは中長期的な視野が不可欠になる。