リスティング広告とは?特徴やSEOとの違い、広告費、掲載順位決定の仕組み
- Writer:
- 山崎雄司
リスティング広告は、ユーザーが検索エンジンで検索したキーワードに連動して表示される広告のこと。「検索連動型広告」や「PPC 広告(Pay Per Click)」とも呼ばれる。
リスティング広告とは
リスティング広告は、現在最も多く利用されているインターネット広告媒体である。日本では2002 年9 月にGoogle がサービスを開始した。低予算で、興味・関心をもつユーザーにダイレクトに訴求でき、費用対効果が高いことが特徴。国内では Google 広告とYahoo!広告が提供するサービスであるため、広告はGoogle とYahoo!の検索エンジン及び提携サイトの検索結果ページに掲載される。
リスティング広告の特徴
リスティング広告は検索結果の上部または下部の目立つ場所に表示される。URL の左側に「広告」と表記されるため、自然検索(通常の検索のこと。オーガニック検索)とは区別されている。
SEOとの違い
SEO は、Search Engine Optimization(サーチ・エンジン・オプティマイゼーション)の略で、「検索エンジン最適化」を意味する。自社サイトを検索結果の上位表示をねらうという点で似ているが、SEOは広告枠ではなく自然検索で上位表示させるマーケティング手法である。掲載料はかからないが、表示順が検索エンジンのアルゴリズムに左右されやすくコントロールしにくい、といった点でリスティング広告とは異なる。
リスティング広告に適している商品・サービス
リスティング広告は、検索ニーズが高く単価の高い商品・サービスにおいて効果を発揮するため、一般的に、知名度の高い商品や、配信対象がはっきりしている商品、不動産などとの相性が良い。また、単価は高くなくてもリピーターが見込めるもの(健康食品、化粧品など)や、期間限定でニーズが高まる傾向にあるもの(季節商品・お歳暮など)、コンプレックス商品(育毛剤など)に適すといわれている。
リスティング広告のメリット
リスティング広告のメリットを挙げる。
関心の高いユーザーをターゲティングできる
知りたい情報や欲しいものが明確なユーザーをターゲットとした広告配信ができるため、CV(コンバージョン)率の向上が見込める。
速効性が高い
費用を払えばすぐに広告配信を始められ、上位表示させることが可能。また、運用内容も柔軟に変更可能で、リアルタイムでの広告改善ができる。
予算に合わせて少額から運用が可能
リスティング広告の広告費は平均20~50 万といわれる。中には10 万円以下の少額で運用しているケースもあり、他施策の予算と調整しながら運用することができる。
リスティング広告のデメリット
ニーズが明確なユーザーに向けて効果を発揮するリスティング広告だが、デメリットもある。
コストがかかる
リスティング広告を外部委託する場合、広告費の他に運用代行費や代行手数料(初期費用)などが発生する。また、ユーザーが広告をクリックすることで料金が発生する仕組みのため、不正なクリックによって無駄なコストがかかってしまうことも。除外キーワードの設定や、ターゲティングを徹底するといった対策が必要である。
「広告」の表示によって避けられやすい
リスティング広告には広告文の上部左側に「広告」の文字が表示される。ユーザーの中には「広告」のついたリンクを避ける人も多く、クリックされにくい要因となっている。
不正クリックのリスク
上記でも触れたが、不正クリックとは、業者等からの悪意ある大量クリックやユーザーの誤クリックなど、サービスの利用を目的としていないクリックのこと。対策ツールによる無効化や、対象ユーザーの除外設定を行うなどの対策が必要。
潜在層に届きづらい
具体的な商品イメージをもっていないユーザーからは検索されにくいため、潜在層に対しての認知拡大には向いていない。ディスプレイ広告との併用や、各種SNS を活用して興味・関心を集めるなどの工夫が必要。
リスティング広告の費用について
リスティング広告における広告費の仕組みは以下の通り。
クリック課金制
広告が表示されるだけでは費用は発生せず、クリックされることで課金されるシステム。リスティング広告はクリック数によって費用が変動するため、PPC 広告(Pay Per Click)とも呼ばれる。
オークション制
上記のクリック課金の単価(クリック単価)はオークション方式で決まるが、入札価格だけでなく、広告の品質が大きく影響する。そのため、クリック率の実績や広告の関連性などによって測る品質の評価(Google の場合「品質スコア」、Yahoo!の場合「品質インデックス」と呼ぶ)を高める必要がある。
リスティング広告の掲載順位が決定する仕組み
リスティング広告の掲載順は、「広告ランク」(Google)や「オークションランク」(Yahoo!)という指標で決定する。このランクは、入札価格と品質スコア・品質インデックスの高さから算出される。
品質スコア及び品質インデックスは、広告の品質を評価するもので、推定クリック数や、キーワードと本文の関連性、キーワードと遷移先LP との関連性といった要素が評価対象である。また、Google の場合は「広告見出し」「説明文」「リンク先のURL」の3 つで構成される「広告フォーマット」の利用状況によっても評価が変わる。
リスティング広告の掲載までの流れ
リスティング広告の主要プラットフォームはGoogle とYahoo!である。Google は若年層を中心として幅広い世代にアプローチでき、Yahoo!はミドル・シニア世代のシェアが高い。ターゲットに最適なチャネルで効果的に広告配信を行う。
Google広告に出稿する場合
アカウント作成 キャンペーン設定(作成目的、予算、ターゲットなど) → 広告グループとキーワードの設定 → 広告文の登録 → 審査 → 配信
広告グループは複数設定可で、それぞれのグループごとにキーワードを入れる。
Yahoo!広告に出稿する場合
アカウント作成 配信の条件を設定(キーワードやターゲティング)→ 広告文の登録 → 審査 → 配信
なお、初期設定は無料代行サービスの利用が可能。
リスティング広告の運用
自社で運用するほか、広告代理店に依頼する方法や、広告運用自動化ツールの利用などがある。いずれにしても、成果目標を立て、出稿後に得られたデータを基に PDCA サイクルを回し続けることが大切である。
リスティング広告を成功させるポイント
リスティング広告を運用する際のポイントを3点挙げる。
キーワードの最適化
CV(コンバージョン)しやすいキーワード選びが重要。Yahoo!広告の「キーワードアドバイスツール」Google 広告の「キーワードプランナー」などを活用するとよい。また、無駄なクリックを防止するため、除外キーワードも設定しておきたい。
品質スコア・品質インデックスを高める
広告の品質を上げるには、LP(ランディングページ)の利便性や推定クリック率の向上、キーワードと広告の関連性の改善がポイント。クリック率にとらわれすぎず、ユーザー目線でのサイト作成を行うことが大切である。
適切な予算設定
目標CPA(顧客獲得単価)を設定し、獲得したいCV数から1か月の予算を算出する。
ここでも、Yahoo!広告の「キーワードアドバイスツール」や Google 広告の「キーワードプランナー」が活用できる。
リスティング広告の注意点
他社が商標登録しているサービス名や商品名を使った広告は、商標権侵害に該当し、罰則を受ける可能性がある。また、「世界初」「日本一」など、虚偽・誇大広告につながる表現も避け、広告ポリシー違反がないかどうかをよく確認した上で出稿する。