CRMの現在位置と顧客との関係性 - オンラインコミュニケーション全盛の今、改めて考える


Writer:
山崎雄司
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「CRM」という言葉が提唱され始めてから20年以上。今日では顧客とのコミュニケーションの多くが“対面”から“オンライン”にシフトしているが、そうした変化のなかでもCRMの重要性は変わらないものとなっている。 ここでは、改めてCRMについて理解するとともに、そのキーとなる「顧客」について考えてみよう。

CRMとは


CRMとは、Customer Relationship Management(カスタマーリレーションシップマネジメント)の略称のことで、顧客との関係を構築・管理する経営手法、およびマネジメント手法を指す。本来は経営戦略の概念として使われていた言葉で、「顧客満足度やロイヤリティの向上を通して、企業収益を拡大する経営戦略」を意味する。やがてインターネット環境の進化に伴い、この経営戦略の実現にもITツールが必要になり、現在では、顧客との関係を管理するためのシステムやツールそのものを、「CRM」や「CRMシステム」と呼ぶようになっている。

このシステムは、既存顧客の購買履歴や個人情報など、顧客に関する情報を集め一元管理するというもの。常に顧客の動向・満足度を分析することにより、顧客一人一人のニーズに応じた商品を効率的に提供し、顧客との継続的な取引を図る(=リピーターやファンを獲得する)ことが最終的な狙いである。企業と顧客双方に利益のある関係性を創ることができるツールであり、既に多くの企業が導入している。
 

CRM提唱の背景


ひと昔前は、高品質で、かつリーズナブルな価格のものであれば売れるという時代だった。また、顧客と直接対面でコミュニケーションを取ることができたため、店舗側は顧客の顔を見るだけで「お得意様」「新規のお客様」などを把握することが容易であった。

その頃は、いわゆる”三河屋さん”のような御用聞き(ルートセールス)が得意先を回り、既存顧客のフォローアップや商品の提案、または顧客のリクエストへの対応などを行っていた時代である。

しかし、インターネット環境の進化やスマートフォンなどの普及に伴い、消費者は自ら情報収集をするようになった。また、”オンラインショップ”など、直接顧客の顔を見ることのない事業の発展に伴い、実店舗以外での顧客接点が増加。こうした背景から、企業は顧客の情報やニーズを細かく把握し、それを基にマーケティングや営業を行うことで顧客をつなぎとめる必要が生じた。このような”距離感のつかみにくい顧客”との関係性をより良く持ち続けるための手法として、特に通販事業を展開する企業を中心に、改めて「CRM」が注目されているのだ。
 

「顧客」とはそもそもどのようなものか


上記で述べたような背景から、時代に応じたさまざまなCRMシステムが誕生した。それらを導入したら全てうまくいくかというと、もちろんそうではない。CRMツールが各社によって内容や価格が異なる点もその理由の一つだが、何よりもまず考えなければならないこと。それは「顧客」である。

顧客とは、自社の商品やサービスを販売する対象のこと。世の中に数多くの似たような商品があるなかで、その商品が顧客に「選ばれる理由」とは何か。それを把握するためには、購入してくれた顧客がどのような人物なのかを知る「顧客分析」が必要である。

「顧客分析」は、自社商品を購入してくれた顧客のあらゆる情報を集めることから始まる。居住エリアや年齢層、どのチャネルからたどり着いたのか、購入履歴の確認、購入金額の変化など、入手可能な限りの情報を集めることが肝心。まずは「顧客」を知ることが、リピーターやファンを獲得するための第一歩と言えよう。

次のステップとして、販売データを基にした顧客の分類に取り組む。顧客理解における基本的なデータ(年齢、性別、住所、職業、年収など)からざっくりと分類し、これに販売履歴(単価、回数、利用頻度、キャンペーンへの反応など)を当てはめることで顧客セグメントを細分化。この組み合わせによって、顧客像や行動パターンが浮かび上がり、顧客の傾向を掴むきっかけになりうる。大分類→中分類→小分類の3ステップを踏んで分析することで、自社における「顧客」という存在をより深く理解できるのだ。
 

コミュニケーションがオンラインにシフトし、再び重要性を増すCRM


CRMは1990年代頃に米国から紹介された経営手法であり、コンピューターで専用のシステムが作られるようになったのも同時期である。そして最も流行したのは、1990年代の後半から2000年代にかけてという、いわゆる「ITバブル期」だ。しかし、昨今再びCRMの重要性が増し、注目を集めている。

その理由は大きく分けて2つあり、一つが、マーケティング活動に関わるデータ量の飛躍的な増加、そしてもう一つは顧客接点の多様化に伴うコミュニケーション手段の増加だ。



データ活用の重要性は誰もが理解しているものの、顧客のニーズが多様化しデータが急増するなかで、取得可能なデータが膨大になり、データの取捨選択や、分析の作業が追いつかない、そしてPDCAが継続できないといった課題も生じている。また、ツール自体が使いこなせないなど、企業側がテクノロジーの進化についていけていないというケースも少なくないようだ。そしてその結果、データに基づく施策の実行や意思決定を行うことが出来ないというジレンマに陥っている企業が非常に多くなってきている。


 

大量のデータに溺れずCRMを成功するために


せっかく得た大量のデータに振り回されるばかりで、真の顧客理解につなげられなくては意味がない。そのため、企業には、CRMのための環境を構築すること(データの使える化)、時代に合わせた顧客分析を行うこと(データの見える化)が求められている。また、見込み顧客獲得の営業段階からMA(Marketing Automation/マーケティングオートメーション)を用い、作業の自動化、及び効率化を行うのも効果的だろう。一元化した顧客のあらゆるデータを、部門を超えて「共有」することは、会社全体で傾向を把握することにつながるからだ。



 

CRMの現在位置と顧客との関係性を理解すること


自社の顧客は一体誰なのか。その属性や傾向を特定できれば、自ずと今後の戦略も明確になってくるものである。CRMとは、データ収集・分析を基に、顧客を中心とした商品開発や、顧客に合わせたアプローチを可能にするもの。しかしながら、大量のデータに振り回されているだけでは無意味である。顧客一人一人と向き合い、その上で、自社に合った適切なCRMの導入方針を考えたいものだ。

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