活用事例インタビュー
さくらフォレスト株式会社

分析の工数削減と顧客の見える化を実現。全社横断で取り組む“ともに豊かに”を目指したデータ活用

さくらフォレスト株式会社
宮原氏

  • 分析、レポートに最大1.5ヶ月かかっていたのが、誰でもタイムリーにデータを把握できるように
  • データに加え顧客属性が把握できるようになり、戦略や施策の優先順位が立てやすくなった
  • データをもとにコールセンターから顧客に直接ヒアリングし、さらにお客様の声を商品に反映

福岡を中心に通信販売事業を行うさくらフォレスト株式会社は、“ともに豊かに”をコンセプトに掲げ、2009年より自社通販ブランド「さくらの森」を展開してきた。扱うのはオリジナルの健康食品やサプリメント、ヘアケア、化粧品、食品と多岐にわたり、現在40商品ほどがECサイトに並ぶ。主力商品は、DHA・EPAサプリメントの「きなり」やブルーベリー&ルテインを主成分としたアイケアサプリ「めなり」、天然由来成分100%のハーブガーデンシリーズのシャンプー&コンディショナーで、40〜50代の女性を中心にファンを持つ。

商品開発まで行うコールセンターの凄腕メンバーたち

通販事業の激戦区と言われる九州エリアにおいて、同社が数あるECサイトと一線を画しているのは、ただモノを売るのではなく、顧客と信頼関係を築き上げる“ファン作り”を大切にしてきた点があげられる。5年前には、LTVの最大化をミッションに掲げ、CRM企画室が立ち上げられた。現在は、顧客属性に応じた商品別の施策考案や再販率の強化、クロスメディア施策、休眠施策のゴールデンルートの確立などを主に行っているという。同企画室の宮原氏は、組織の仕組みについてこう話す。

「現在EC業務に携わっているのは、コールセンター、新規企画、CRM企画、デザイン制作、システム開発の5部署ですが、商品を作る際は、1つの商品に対して全部門が横断的に関わる形でプロジェクトを進めています。特に商品開発部を設けているわけではないので、デザイナー発信の商品や、日頃からお客様の声を耳にしているコールセンターのメンバーのアイディアによって商品化が実現するというパターンも多いですね」

宮原氏が話すように、同社の在り方がユニークなのは、何と言っても“さくらコンシェルジュ”と呼ばれるコールセンターのスタッフの立ち位置だろう。入社時には希望部署を問わず、全員がまずコールセンターに配属され、そこでお客様とのやりとりを経験する。そこには“お客様のニーズを知らない者が、マーケティングなどできるわけがない。分からなくなったらお客様に伺え”という同社の考え方があるからだ。

「コールセンターに受け身のメンバーはいません。能動的に施策を考え、時には商品開発にまで関わります。そもそもコールセンターにはマニュアルがなく、特に用事がなくてもお客様に様子伺いのお電話をしたり、中には個別で手紙を書くスタッフもいるほどです。その根底には、弊社の“ともに豊かに”というコンセプトが深く関わっています。“ともに”というのは、お客様はもちろん、取引先様も私たちスタッフもみんなで豊かになる生活を築いていこう、という想いが込められてます。ですから、何か企画を立ち上げる時も、メンバーの誰かから“それは共に豊かになっているの?”という質問が来ることも多々あります」

さくらフォレスト株式会社 CRM企画室 宮原様

さくらフォレスト株式会社 CRM企画室 宮原様

定期的に行うお客様参加型企画の数々

さくらフォレストでは、長らくECサイトを中心に販売を行ってきたが、近年はオフラインにも目を向けるようになり、2020年初め頃からは雑誌や紙媒体での広告もスタートさせた。注文は基本的にWebが全体の9割を占めるが、そこにコールセンターのオフラインとオンラインを連動させ、同社独自の唯一無二のものを作ろうとしている。その代表的なものが、顧客の声から生まれた商品の数々だ。

また、同社ではお客様参加型企画も定期的に行っており、商材の名前を用いた川柳を募る川柳大会を開催したり、毎月発行している会報誌“さくらもち”に掲載されたスタッフお手製の刺繍を抽選でプレゼントするなど、これまでさまざまな企画を展開してきた。それについて宮原氏は「Webから注文する方は電話を好まないイメージがあるかもしれませんが、弊社はコールセンターのメンバーがアフターケアをしていくことで関係性を構築することができ、参加型企画にもご協力いただけるようになっています」と話す。ここでもやはりコールセンターの存在は大きいのだ。では、そもそもコールセンターではどのようにお客様と接しているのだろうか。

「現在は80名ほどの体制で業務を行っていますが、コンシェルジュたちは顔も名前もすべて会報誌で公開しています。中には通信販売に対して不信感を抱かれるお客様もいらっしゃるので、顔と名前を出すことによって少しでも安心していただければと、オープンに接するように心がけています」

カスタマーリングス導入前は、レポート作成・分析に最大1ヶ月半のタイムラグが発生

一見順調そうに見える同社だが、実はカスタマーリングスを導入するまでは、どの商品がどのぐらい売れているのかということしか分からず、どの施策や媒体からお客様が来ているのか分からずに苦労していたという。ECシステムからCSVデータを抽出し、AccessやExcelで集計してレポートを作ったり、他社の分析用ツールを導入していた時期もあったそうだが、それでも全商品のLTVしか見ることができなかった。しかも細かく手動で編集してデータ加工していたため、当然対応も遅く、顧客と紐付けることもできない。最大1ヶ月半ほどのタイムラグが出るような状況で、ひたすら平均値を見るしかなく、結果的にPDCAが回しづらかった。

「何か施策をやったとしても、当時はステップメールの開封率すら見れていなかったので、お客様の反応を捉えながら改善策を考えるというところになかなかたどり着けずにいました。また、施策をやろうにも分析で時間を取られてしまい、確実にリソースが足りない。ろくに分析もせずただ闇雲にやっていて、当然それでは結果も出せませんでした」

それがカスタマーリングスを導入したことによって、状況は格段に改善された。商品別、プロモーション別に細かくデータを把握できるようになったのはもちろん、あらゆる数値が見える化した。

また、カスタマーリングス導入前から会報誌にお客様アンケートのハガキを同封し、届いた声は公式サイトや会報誌で取り上げてきたが、そこでも相対的な回答しか見ることができなかったという。誰がどう回答しているのか、その回答をした方にどのような購入履歴があるのかといったことは一切分からない。たとえポジティブなことを伝えてくれる顧客がいても、どの商品をどのぐらい買っているかは把握することができなかった。それでも同社は、アンケート回答者の顧客属性調査に時間を割いていたという。

その理由について宮原氏は「普通はそこに時間をかけるのであれば違うことをやるのかもしれませんが、弊社は“ともに豊かに”という想いに加え、“お客様の声を形にしよう”ということも掲げています。お客様の声をいかに拾って形にしていくかが私たちの役割だと思っているので、そこは大事にしていました」と話す。

ステップメールでは、商品の強みやお客様からよくお問い合わせいただくもの、例えばサプリメントを飲むタイミングや他の商品と併用しても問題ないか等、問い合わせの多いものを載せていたというが、基本的には購入後1ヶ月は他の商品をあまり案内せず、セールスはしないというスタンスを取る。宮原氏は「ステップメールも商品の啓蒙がメインなので、販促はあまり行っていません」と話す。

アンケートを取るという行為すらなかなか一歩を踏み出せない企業も多い中、同社は長らく顧客と向き合ってきた。“ともに豊かに”や“お客様の声を形にしよう”といったコンセプトが浸透していたため、現在のコールセンター中心の考えはある種自然だったのだろう。

導入後は様々なデータや顧客を把握できるようになり、具体的な施策が立てやすくなった

現在は、カスタマーリングスの導入によって媒体ごとの特徴や数字の変化が見えやすくなったため、媒体を選別できるようになったという。また、顧客属性を把握できるようになったため、戦略や優先順位も立てやすくなり、何よりコールセンターがより詳しく顧客にお伺いの電話をできるようになった。「そこで得たお客様のお声を商品に反映させられることがまたありがたいですね」と宮原氏は話す。逆に数字で細かく裏付けを出すようになってからは、売上が落ち続けると予想していた商材が翌月蓋を開けたら戻っていたり、ひどいものでは再販率がゼロになってしまったものもあるなど、予想外のことが数多くあったそうだ。

データは現在ダッシュボードに組んでいるため、どの部門のスタッフもタイムリーに数字を見ることができる。気になるものはデイリーで、少なくとも週1でチェックしているそうだが、気付いたことがあれば各々が声を掛け合いその場で解決する。それに加えて、宮原氏が属するCRM企画室がLTV目線で数字を見ながら、課題を見つける度にプロモーション側にフィードバックしているという。ただし、クリエイティブに寄りすぎるとお客様の意図と反する場合も出てくるので、そういった時はコールセンターのメンバーも交えてミーティングを行うそうだ。

DXのような取り組みが当たり前に出来ている同社の強みを活かし、今後もさらなる飛躍を

通販事業部は組織や役割こそ分かれているものの、各部門がうまく連携しながらそれぞれの課題を解決していくというやり方が浸透している同社。商品は企画段階から内部のデザイナーが入るため、ディレクションは日常会話の中で進めることができ、当然デザイナーが抱く商品に対する想いや顧客理解もより深くなる。デザイナーもコールセンターの声を聞きながら、どの見せ方がお客様にとって最善なのかを一緒に作っている形だという。そのため、冒頭で述べたように1つのプロジェクトに全部署が絡むのだ。同社では、世に言うDXのような取り組みが当たり前にできていると言っても過言ではない

DXはどうしても組織の縦割り感が出て、組織という存在が問題になりがちだ。しかしさくらフォレストでは、例えば、LTVから見た時に新規のプロモーションを改善するという流れを、組織的に全員で行えているのだ。それが同社の強みであり、成長する原動力の1つになっているのだろう。

現在同社は、施策の1つとして、クロスセル向けの商品を出すという戦略を行っている。これまでは、新規顧客の獲得用に作った商品を無理やりクロスセルに活用していたため、どうしてもターゲット層が合っていなかった。しかし来期にかけてクロスセル用の商品を発売するとともに、より販促に使えるデータの分析を行っていきたいという。宮原氏は最後に「PDCAを回していきながら、仮に新規の広告が止まったとしても、これまでお付き合いのあるお客様だけでやっていける体制に持っていきたい」と結んだ。