
ブランドロイヤリティとは?メリットや測定方法、高める方法、ブランドエクイティとの違い

- Writer:
- 山崎雄司
ブランドロイヤリティとは、顧客がブランドに対して持っている愛着や忠誠心、信頼度のこと。
ブランドロイヤリティとは
ロイヤリティ(Loyalty)は英語で忠誠を意味する言葉であり、ブランドロイヤリティとは、顧客が特定のブランドに対して持つ強い愛着や忠誠心、信頼度のことをいう。ブランドロイヤリティが高い顧客は定期的に購入する割合が高い傾向にあり、たとえ他のブランドで同じような商品があったとしても、愛着のある特定のブランドの商品を選択する場合が多い。根強いファンを作るためのブランドロイヤリティは、事業や利益の向上・拡大を目指すために重要な要素として注目されている。
ブランドロイヤリティのメリット
新規顧客獲得のリソース削減
ブランドロイヤリティが高い顧客は、リピート率が高く定期的な購入が見込めるため顧客単価が高い。そのため、新規顧客獲得にかける手間や広告費を削減しやすくなる。また、ブランドロイヤリティが高い顧客は、お気に入りのブランドとして良い口コミを広げてくれる可能性があり、高い宣伝効果が期待できる。
LTVの向上
ブランドロイヤリティが高い顧客は、リピーターとなり継続してそのブランドの商品を購入してくれるため、企業に対する利益貢献度が非常に高い顧客といえる。また、特定のブランドに対して強い愛着があるため、そのブランドを提供する企業が販売している他の商品やサービスに対しても好意的な捉え方をする傾向がある。これまでと異なる商材を模索する場合でも、ブランドロイヤリティの高い顧客は他社ブランドよりもそのブランドを選ぶ確率が高く、結果的にLTVの向上に大きく寄与する場合が多い。
ブランドロイヤリティを形成するポイント
品質の一貫性
ブランドに対する顧客の愛着と信頼度を保つために最も大切なのは、提供する商品やサービスの品質が一貫していることだ。いつでもそのブランドであれば求める品質のものが手に入るという安心感と信頼がブランドに対する愛着となり、ブランドロイヤリティを生み出していく。そのため、常に最新の情報を持てるようアンテナをはりめぐらし、顧客のニーズに応え続ける姿勢が不可欠である。
感情的な結び付き
顧客のブランドに対する親近感や愛着心を高めるためには、そのブランドに対する思い入れを強く抱いてもらうようにすることも大切だ。ブランドが顧客の感情や価値観と結び付くことで強い絆が生まれ、信頼や愛着といったブランドロイヤリティの形成につながる。そのためには、ブランドのイメージ戦略や顧客関係の構築が鍵となる。たとえば、SNSなどを活用し、積極的に情報を発信しながらユーザーの反応をリアルタイムでチェックするなど、気軽にコミュニケーションが取れる環境を整えて顧客が親近感を持てるようなブランド形成をするのも有効だろう。
独自性
ブランドロイヤリティの高い顧客を獲得するには、自社の強みを分析し把握することも重要である。他にはない商品やサービスの特色をしっかりと打ち出すことで、自社のブランド力が強まる。そのためには、アンケートなどを通して、顧客が自社ブランドに対してどのようなイメージを抱いているのかを正確に捉え、ブランドの方向性を定める必要がある。
ファンコミュニティの形成
ブランドロイヤリティの高い顧客は、口コミで自身の周囲に商品やサービスを勧める傾向がある。そのため、参加者同士が情報の共有をしたりブランドについての話ができたりするようなファンコミュニティを形成することも有効だ。たとえば、顧客が交流できるようなオンラインコミュニティの形成や、イベントの実施によって参加したファン同士の交流が生まれ、ブランドに関する知識を共有し合うことで、ブランドロイヤリティの向上が期待できる。
問い合わせ対応やFAQの作成
ブランドロイヤリティを高めるためには、顧客満足度の向上も欠かせない。特に、問い合わせ対応は顧客の感情を大きく左右する。問い合わせる手段は電話やメールだけでなく、SNSやHPの問い合わせフォームなど、顧客が連絡の取りやすいチャネルを選べるようにしておきたい。また、問い合わせをする前に疑問が解消できるようなFAQの作成も有効だ。質問と回答の羅列ではなく、カテゴリーごとに整理し、検索から回答を導き出せるようなわかりやすいフォーマットを用意しよう。迅速で的確な対応は、顧客との関係性を深め、ブランドに対する信頼の獲得に直結しやすい。
ロイヤリティプログラムの活用
ロイヤリティプログラムとは、商品の購入額やサービスの利用回数が多い優良顧客に対して特典を与えるマーケティング施策のことで、ポイントプログラムが代表的である。ただポイントを貯めるだけで終わらないよう、顧客目線に立ってニーズを分析し、次の購入につながるような特典を設けることが大切だ。お得意様限定イベントの開催や、購入金額の多い顧客にだけ特別先行販売を行うなど、顧客が特別感を得ることができ、なおかつ他社と差別化を図れるような内容が望ましい。
ブランドロイヤリティの測定
ブランドロイヤリティの評価に決まった指標はないため、リピート購入率や顧客の推薦意向などさまざまな指標を用いて測定するが、なかでもよく用いられるのがNet Promoter Score®(以下NPS®)である。NPS®は、「他人に薦めたいか」というシンプルなアンケートを取ることで、顧客ロイヤリティ(顧客の企業に対する愛着・信頼の度合い)を数値化するもの。NPS®は、ブランドロイヤリティとの相関性が高い指標といわれており、シンプルな質問で計測できることから管理しやすい手法としても注目されている。付けられている。
ブランドエクイティとの違い
ブランドエクイティとは、形を持たない「ブランド価値」を資産として評価する考え方をいう。エクイティ(equity)とは金融業界でよく使われる言葉で、出資、純資産といった意味をもつ英語である。
ブランドエクイティには2つのモデルが存在するが、ブランドエクイティ提唱者が考案した「アーカーモデル」においては、下記5つの構成要素が挙げられている。
・ブランド認知(ブランドの社会的な認知度)
・ブランド連想(ブランドから連載されるイメージ)
・知覚品質(ブランドが提供する品質に対するイメージ)
・ブランドロイヤリティ(ブランドに対する愛着や忠誠心、信頼度)
・その他の資産(知的財産や特許技術など、ブランド以外の無形資産)
ブランドロイヤリティはブランドエクイティの構成要素の一つであり、最も重要な役割を持つものとして位置付けられている。
