KGIとは?意味やメリット、SMARTの法則、関連ワード、設定方法と注意点、具体例


Writer:
山崎雄司
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KGIとはKey Goal Indicatorの略称で「重要目標達成指標」と訳され、ビジネスで目指す最終的な数値目標のことを指す。売上高、販売数、利益率などのように、客観的かつ明確に数値化できるものを指標とする。

KGIとは?


冒頭で述べた通り、KGIとは、企業やビジネス戦略において達成すべき最終的な数値目標のことである。重要なのは達成可能な数値を設定することであり、「売上を伸ばす」といった定性的かつ漠然とした目標や、実現不可能な数値目標はKGIに適さない。
KGIの設定によって明確にされた経営目標を共有することで、従業員は組織としてのビジョンや目標を理解することができる。そして、KGI達成に向けて従業員のモチベーションアップが図れると同時に、業務効率化も期待できる。

KGIのメリット 


KGIを設定することで、以下のようなメリットが考えられる。

従業員の士気向上につながる

曖昧な目標は従業員の混乱を招きかねないが、明確な数値目標の下、ビジネスの方向性や意図を共有することで、社内の士気向上につなげられる。また、企業が示したKGIに対し、従業員一人ひとりが目標意識をもって仕事に取り組むことで、企業と従業員双方向での信頼関係を高められる。

業務の優先順位を整理できる 

KGIは数値化・定量化された最終目標であり、進捗状況も客観的かつ適切に把握できる。目標に向けたプロセスをわかりやすくすることで、具体的なタスクを逆算して計画を立てることができる。

外部ステークホルダーに自社を理解してもらえる 

何を最終目標にしているのかを明示できることから、外部のステークホルダーに対しても自社の方向性や目標に関する進捗状況を説明しやすく、理解を得やすい。

SMARTの法則 


KGIの運用には「SMARTの法則」を活用することが大切だ。「SMARTの法則」は目標設定方法の一つであり、下記の5つの要素から構成される。

明確性・具体性〈Specific〉

顧客数やクリック率など、主観が入り込まず客観的に評価できる明確な基準であること。

計量性〈Measurable〉

回数、件数、率など、定量的な目標(数値目標)であること。

達成可能性〈Achievable〉 

従業員がモチベーションを維持しながら目標に向かって取り組むことで達成することができる、現実的な目標であること。

関連性〈Result-oriented or Relevant〉

最終的な目標のKGIと、中間目標であるKPI(重要業績評価指標)などに関連性があること。

期限〈Time-bound〉 

具体的な達成期限が設定されていること。

KGIの関連ワード

 
KGIと似た言葉であるKPI、KSF、OKRについて解説していく。

KPI  

KPIとはKey Performance Indicatorの略称で、「重要業績評価指標」と訳される。KGIはゴールを示す指標であるのに対し、KPIは目標達成のための中間的な指標のことで、KGIを達成するために行った施策が機能しているかどうかを判断するためのもの。施策のゴールとなるKGIは設定時からしっかりと固定すべきものであるが、KPIは定期的な検証と見直しを行うなど、自由度をもたせた運用が求められる。

KSF   

KSFとはKey Success Factorの略称で、「重要成功要因」と訳される。KGIを達成するために必要な要因であり、ひとつのKGIに対し複数設定する。市場や競合他社の動向などの外部要因と、自社の強みや資金力といった内部要因に分けられ、定性的な内容が多いことが特徴といえる。

OKR 

OKRとはObjectives and Key Resultsの略称で、「目標と主要な成果」を意味する。60~80%の達成率 を目指し、ハイレベルな目標に向かって長期的にモチベーションを保つ手法。事業部ごとに目標値を設定するKGIやKPIとは異なり、会社全体から個人レベルまでの目標を管理するフレームワークである。一般的に、四半期ごとに見直しを行う。

KGIの設定方法とポイント


KGI設定におけるポイント3点を解説する。

現実的な数値目標を設定する 

売上高や利益、成約率などの客観的に把握できる数値を設定することでKPIも管理しやすくなる。さらに、PDCAを回しやすくなるため、結果的に達成率が上昇する。ただし、高すぎる目標を設定してしまうと継続性に欠け、従業員のモチベーションの低下につながるため注意する。

KPIを単純明快なものに 

KGIの達成にはKPIの達成が不可欠だが、細かすぎるKPIの設定は逆効果。誰が見ても達成度合いが判断できるような、シンプルなKPIを設定し、KGIの達成を目指す。

KPIツリーを作成する 

KGIを達成するために必要な各プロセスを図式化したものを「KPIツリー」と呼ぶ。KPIツリーの作成によって、KGI達成のために実現可能な目標をKPIに細分化し、KGI達成までの道筋をツリー型に可視化する。このとき、KPIがKGIの目標達成に関係しているかどうかをしっかり見極めて設定することがポイント。 

あわせて読みたい:デジタルマーケティングでの行き過ぎた「数値」のみのKPI管理への警鐘~実感をベースにしたKPIこそ重要~ (customer-rings.com)

KGI設定の具体例 


営業部門、マーケティング部門のKGI設定例を紹介する。

営業部門の例

KGIは「売上30%アップ」「成約件数300件」「成約率5%アップ」など。また、BtoBにおけるセミナーやウェビナーの場合は、参加者数やリード獲得数、受注数、受注金額などを設定する。 
営業担当個人レベルでKSFとKPIを設定すれば、適切な業務の評価にもつながる。

マーケティング部門の例

KGIは「CV100件」「CVR10%アップ」「セッション数10,000件」など。ただし、CVの具体的な内容は、商品・サービスの購入数や問い合わせ数、資料請求数など多岐にわたる。 営業のような個人レベルでのKGI設定は難しいため、業務内容を数値化して表現するなどの工夫が必要。

あわせて読みたい:コンバージョン(CV)とは?意味やマーケティングにおける活用方法

KGIのよくある失敗例 


KGIを設定する際に、SMARTの法則から外れてしまうと、下記のような失敗につながることも。

明確性と計量性の欠如  

「顧客満足度の向上」「認知度を高める」「従業員満足度の向上」といった具体性に欠ける目標をゴールに設定してしまうケースがある。これではKGIの細分化やKPIの抽出が難しくなるため、必ずデータに基づく明確かつ定量的な数値を用いる。顧客数やクリック率のように、回数や率などで定量化することが重要である。

現実性の欠如  

努力しても到底達成できない数値をKGIに設定してしまうと、従業員のモチベーションの低下につながることも。KGIは任意で設定する数値目標であるため、このようなミスが起こりやすい。目標達成のプロセスがイメージできるような現実性のある数値を設定する必要がある。また、KPIが順調だからという理由でKGIの値を上げてしまうなど、最終目標を安易に変えてしまうと従業員の迷走を招くため、避けるべきである。

関連性の欠如  

KGIとKPIは関連している必要があるが、因果関係のないKPIの設定や、関連はあっても具体化しすぎた(インパクトが低い)KPIを設定してしまうと効果が現れにくい。目標と手段を混同した場合に起こりやすいミスであり、KPI抽出の精査のやり直しが必要となるため、本来のゴールとなるKGIを見失わないよう慎重にKPIを設定することが重要である。

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