顧客分析の目的および基本手法とその使い分け方


Writer:
山崎雄司
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マーケティング担当者のなかには、「顧客分析を行いたいが何から始めるべきかわからない」「顧客分析を行っているが思ったような効果が出ない」というような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
顧客のニーズを把握してアプローチをするBtoB営業や、膨大な顧客情報を管理してアプローチをするBtoC営業にとって、顧客分析は有効なマーケティング手法です。顧客分析は正しく戦略を定め、最適な形で活用することで効果が発揮されます。本記事では、顧客分析の目的と基本手法の解説に加え、顧客分析に有効なCRMツールの活用方法と導入事例をご紹介します。

目次


1.顧客分析とは
2.顧客分析を行う4つの目的
3.顧客分析でおさえるべき3つのポイント
4.顧客分析を行う手順
5.顧客分析の基本手法9選と使い分け方
6.顧客分析に役立つCRM
7.顧客分析を行うことで売り上げが向上した事例
8.まとめ
9.データから顧客を“感じる”CRM/MAツール「カスタマーリングス」

顧客分析とは


一般的に顧客分析とは、自社の商品やサービスを利用したことのある既存顧客や、まだ購入に至っていない潜在顧客について、集めた各種データを分析することです。顧客の属性や利用金額、利用頻度といった情報をもとに分析し、顧客について理解を深めていきます。
この顧客データの分析にはさまざまな方法がありますが、特に既存顧客の分析にはCRMを用いた方法が適しているといわれています。


顧客分析を行う4つの目的


ここでは、顧客分析を行う主な目的について、「ターゲットを絞り込む」「顧客を理解する」「施策を評価する」「施策のヒントを得る」の4点に絞って解説します。

1.ターゲットを絞り込む
顧客分析では、顧客層をセグメントし、ターゲットを絞り込むことができます。コンバージョンにつながりやすい層を抽出することで、効率的なアプローチが可能です。

2.顧客を理解する
顧客分析の目的として、市場や顧客を理解することは大きな目的の一つです。顧客に関するデータを表面的に捉えるだけではなく、あらゆるタッチポイントやさまざまな顧客情報を複合的に捉え、顧客一人ひとりを「生きた顧客像」として実感することが、深い顧客理解へとつながります。

3.施策を評価する
自社の取り組みの成果を測定し、評価することができます。たとえば新規顧客をどれほど得ているか、リピーターは育っているかなど、施策の結果が顧客分析によって明らかになります。

4.施策のヒントを得る
顧客分析では、数値の集計がゴールではありません。分析の目的は、数値というきっかけから気づきを得ることです。この気づきは今後、施策の効果を最大化するためにはどうすれば良いかを検討する際の重要なヒントとなります。

顧客分析でおさえるべき3つのポイント


顧客分析でおさえるべき主なポイントは、「分析対象を明確にする」「顧客ニーズに関する仮説を立てる」「市場の規模を調査する」の3点です。

1.分析対象を明確にする
分析の精度を上げるためには、どのような顧客をターゲットとするかを明確にする必要があります。アクセス情報、行動履歴などの顧客データを収集し、分析結果から典型的な顧客像となるペルソナを設定する方法などが有効です。

2.顧客ニーズを把握する
顧客のニーズを把握することは、顧客分析の目的でもあり、重要なポイントです。顧客のニーズを把握するには、顧客からのフィードバックを収集する方法が有効です。たとえばアンケートやSNS、口コミを用いたり、顧客の購買履歴や行動データから読み解いたりします。

3.市場の規模を調査する
顧客分析によって、自社が参入している、あるいは参入を検討している市場規模を把握することも大切です。市場規模に関する情報は、行政ホームページから収集したり、調査会社のデータを購入したりする方法などがあります。また、過去の顧客データから今後の動向や将来性を分析し、事前に対策を立てることも、安定的な事業の継続のための重要なポイントといえます。

顧客分析を行う手順


目的とポイントを押さえたうえで、以下の手順で分析を進めます。ただし顧客分析をする際には、事前にいくつかのステップを踏む必要があるため、万全を期して準備を進めましょう。

1.データの収集項目を決める
まずは、どのようなデータを活用して顧客分析を行うか検討します。たとえば顧客アンケートや顧客データ、購買データ、ヒアリング情報、Webサイトのアクセス解析などが挙げられます。

2.ターゲットを決める
日本全国に広げるか地域限定にとどめておくかなど、分析すべき集団を決めます。

3.効率的な調査方法を選定する
分析すべき対象集団が決まったら、その集団に応じた最適な調査方法を検討します。調査方法は、オンライン形式から対面形式まで考えられます。

4.集めたデータを整理して、顧客分析を行う
顧客データを収集したら、スムーズに分析を行えるようにデータを整理します。完了したら、実際に顧客分析を行います。分析ツールには多くのフレームワークや分析手法があるので、自社の目的や課題に応じて適切なものを選びましょう。

顧客分析の基本手法9選と使い分け方


顧客分析は、目的によって利用する方法やフレームワークが異なります。まずは、代表的な分析手法9つをピックアップし、簡単に紹介します。

1.セグメンテーション分析:各市場における顧客層とニーズを把握したいとき
2.デシル分析:顧客をランク分けし、アプローチの優先順位を決めたいとき
3.RFM分析:収益につながる優良顧客を抽出したいとき
4.NPS®:商品・サービスに対する愛着や信頼の度合いを計りたいとき
5.LTV分析:貢献度の高い顧客層の抽出やコストの見直しをしたいとき
6.行動トレンド分析:シーズンごとの顧客行動や売れ筋を把握したいとき
7.決定木分析:顧客行動の傾向を分析し、見える化を図りたいとき
8.CTB分析:顧客の購入動向を予測したいとき
9.相関ルール分析:同時に売れる商品・サービスを把握したいとき

ここからは、各分析方法の使い分け方について詳しく見ていきます。

1.セグメンテーション分析
セグメンテーション分析とは、さまざまな指標に基づいて市場を分類する分析手法です。マーケティングにおいて代表的な分析手法である「STP分析」のS(Segmentation)に該当し、自社を取り巻く市場の全体像を把握することを目的としています。また、市場を細分化することで、市場の顧客層およびニーズを把握でき、自社のターゲットとなるペルソナをイメージしやすくなるため、深い顧客理解につながります。
市場の顧客層のニーズを正確に把握したい場合や、絞り込んだターゲットに効率的なアプローチを行いたい場合に有効です。


2.デシル分析
デシル分析とは、全顧客の購入金額に応じて全体を10等分に分け、各グループの購入比率や売上高構成比などを算出し、どのグループがどのぐらい売り上げに貢献しているか分析する手法です。自社の顧客の概要を把握するのに適しており、とてもシンプルな方法なので、顧客分析に初めて挑戦する場合は、まずデシル分析を取り入れることをおすすめします。

3.RFM分析
RFM分析とは「Recency(直近購買日)」、「Frequency(購入頻度)」、「Monetary(購入金額)」の3つの指標で顧客を分類する方法です。顧客の流動性が高い業種やマーケティング施策の優先順位の決定の際に有益です。
分析の指標が購入金額のみではなく、購入頻度や直近購買日と複数あるため、購入金額のみを指標とするデシル分析でカバーしきない部分を補うことができます。デシル分析に慣れたら、RFM分析に取り組むとよいでしょう。

4.NPS®
NPS®(Net Promoter Score®)は、顧客が商品やサービス、企業ブランドに対してどの程度の愛着心や信頼度を持っているかという「顧客ロイヤリティ」を数値化した指標です。顧客に対し「他者にどのぐらい薦めたいか」という内容の質問を実施し、顧客に0~10点の点数を付けてもらうというシンプルなアンケートから算出します。
低い点数から高い点数まで、さまざまな立場の顧客からの意見をより詳しく分析することで、具体的かつ有益な情報を得ることができます。自社の課題を見つけたい場合や、顧客体験との相関を捉えたい場合に有効です。


5.LTV分析
LTV(Life Time Value)とは、顧客との取引開始から終了までに得られる利益や売上の総額を表す指標で、「顧客生涯価値」と訳されます。LTV分析は、平均的な購入回数や頻度、購入期間などから、新規顧客の”顧客獲得単価(CPA)”を算出します。この結果を基に広告予算を検討したり、既存顧客のアップセルやクロスセルを図ったりといった施策に応用できます。主にリピート商材を取り扱う通販事業者で活用されることが多い手法です。


6.行動トレンド分析
行動トレンド分析とは、顧客の属性ごとにセグメントし、時系列での購買行動を分析する手法です。分類軸は、時系列(季節単位、年単位、月単位、日単位、分単位など)と顧客属性(居住エリア、年齢、購入場所など)が基本であり、分析結果からシーズンごとの売れ筋を把握することができます。主にアパレル業界や旅行業界などで採用されている手法です。

7.決定木分析
決定木分析とは、顧客データを段階的に分割して振り分け、分析結果をツリー構造で可視化する手法です。顧客行動を予測したり、特定の事象の原因を探ったりする際に活用されます。アンケート等を用いた設問方式で調査を進めることが多く、YesかNoの分岐のみで目的変数を予測することが最大の特徴です。汎用性も高く、分析結果をわかりやすく可視化したい場合に効果的です。

8.CTB分析
CTB分析とは「Category(分類)」「Taste(デザイン、サイズなど)」「Brand(キャラクター、ファッションブランドなど)」の3つの指標で顧客の購入動向を分析する手法です。現状の分析ではなく、未来を予測する目的で用いられます。
顧客の嗜好や好みは変化しやすいため、定期的にデータを収集する必要がありますが、幅広いカテゴリーの商品に対して適用が可能な分析手法です。ECサイトや小売店舗などの企業が取り入れやすい手法といえます。

9.相関ルール分析
相関ルール分析は、ある商品と同時に売れる商品は何かを発見する分析手法です。顧客の購買履歴を基に相関関係にある商品の組み合わせを分析し、その商品を含む購買パターンを把握します。その結果を基に、商品のセット販売や、陳列方法の改善に役立つ施策を講じることができます。
上述したCTB分析と似ていますが、相関ルール分析のほうがより具体的な商品間の関係性を分析することが可能です。


顧客分析に役立つCRM


顧客分析には多くの情報や集計作業が必要となるため、CRMツールの利用が便利です。CRMツールを導入することで、顧客情報が一元管理でき、顧客との関係をより強化することができます。また、業務の効率化が図られ、売り上げだけでなく顧客ロイヤリティの向上など、さまざまなメリットが期待できます。
CRMツールの運用は中長期に及ぶため、明確に使用目的を定めてからツールを選ぶことが重要です。選び方のコツについて、以下に解説します。

1.顧客データを統合、分析、活用できるか
企業が持つ顧客情報や行動履歴など、顧客に関するデータを統合することによって業務の効率化を図ることができます。さらに、顧客を詳細に分析・抽出(セグメント)することで、効果的な施策をスムーズに講じることが可能です。

2.顧客一人ひとりの行動や感情を見える化できているか
現在では、顧客体験(CX)の重要性が高まっています。良質なCXの提供には、顧客理解が最も重要です。顧客接点のデジタル化が進んでいる今、顧客のリアルな心理や購買行動をいかにデータから把握できるかがポイントとなります。自社の持つ定量データや定性データを最大限活用し、顧客の行動や感情を見える化できるCRMツールを選びましょう。

3.セキュリティ体制は万全か
CRMツールは顧客情報を扱うため、セキュリティは特に重要な要素となります。セキュリティの不備によって外部に情報が流出した場合、自社の信用を大きく損ないかねません。セキュリティの内容について、ベンダーの公式サイトなどから確認しておきましょう。

4.サポート体制が充実しているか
CRMを導入した直後は、これまでの手法とのギャップから、思わぬトラブルが発生することがあります。導入時から現場に定着するまでしっかりフォローしてくれるベンダーを選ぶと安心です。


CRMツールにはさまざまな製品がありますが、ECサイトBtoCサービスでCRMツールを導入するなら、「ITreview Best Software in Japan 2022(※)」に BtoC向けマーケティングオートメーションとして唯一選出された「カスタマーリングス」をおすすめします。

データ統合から分析、メール、LINE、アンケート等の配信・管理までノーコードで実行可能。ECサイトやBtoCサービスを中心に、11年・750社への導入を通じて進化を続けています。

※ITreviewユーザーが支持した日本のSaaS・ソフトウェアのTop50製品を選出する、1年に1度の企画。ビジネスの最前線で注目を浴びているSaaS・ソフトウェアの中でも、特に満足度・認知度がともに優れた製品が選出されます。

「使いこなすのが難しそう…」という場合でも、きめ細かな導入・活用支援メニューをご用意しています。伴走型の充実したサポートで自走までご支援しますので、ご安心ください。


顧客分析を行うことで売り上げが向上した事例


データの統合から分析、アクション、管理までスピーディーにこなせるCRMツールなら、ゴールとなる業務の効率化や施策の立案の実現がしやすくなります。ご紹介したCRMツール『カスタマーリングス』はさまざまな多機能を備えており、スムーズな顧客分析が可能です。
ここでは、『カスタマーリングス』を導入していただいた企業のなかから、成果を上げた事例を2つ ご紹介します。


1.株式会社J-オイルミルズ


J-オイルミルズは、食用油脂事業を中心にさまざまな商品を展開企業です。顧客の声を商品開発やサービスに生かしたいと考える一方、リソース不足を課題と感じ、CRMツールの導入を検討していました。
『カスタマーリングス』を導入し、指標のダッシュボード化やフォローメールの自動化によって、リソース不足が解消しました。また、注文履歴から得た「定量データ」と、アンケートから得た「定性データ」を活用した取り組みを実施。お客様アンケートによる定性データから自社の送料に課題があることを発見し、お試し商品による検証からCPOが33%に改善しました。さらに、CRMツールによる分析から購買頻度に関する課題も明らかになり、顧客フォローの改善へとつなげています。


2.株式会社TAT


TATは、ネイル用品の卸や開発を手掛ける企業で、ネイリストやネイルサロン、スクール、専門学校に向けたBtoBビジネスを展開しています。
『カスタマーリングス』導入以前は、アンケートや定量データを自分たちで抽出し加工していたため、分析に時間がかかり効果測定も不十分だったとのこと。CRMの導入によって、顧客ごとの平均購入周期や継続率が把握できるようになったほか、LINEとメールを併用したきめ細やかなシナリオ設計によって、CX向上へとつなげることができました。さらに、顧客一人ひとりの購入周期を把握し、離脱タイミングに応じてスピーディーなアプローチを実施し、離脱率が10%改善されました。


より多くの事例について知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。


まとめ


本記事では、顧客分析のフレームワークや、顧客分析の目的と手法、データの分析に役立つCRMツールについて解説してきました。顧客ニーズの把握や、商品・サービスの改善、新商品の開発のためには顧客分析が不可欠であることがおわかりいただけたと思います。
顧客分析にはさまざまな手法がありますが、それを手助けしてくれるのが「CRMツール」です。CRMツールを用いて顧客データを統合し、さまざまな切り口から分析を行うことで顧客の深い理解へとつながり、継続的な顧客関係を構築することができます。

データから顧客を“感じる”CRM/MAツール「カスタマーリングス」


CRMツールにはさまざまなものがありますが、深い顧客理解につながるデータ活用を行うなら『カスタマーリングス』がおすすめです。本記事ではいくつか具体的な事例をご紹介しましたが、まだまだ豊富な事例がございます。「他社の活用事例が知りたい」「自社に合った活用方法を提案してほしい」という場合は、お気軽にお問い合わせください。

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