セグメントマーケティングとは?意味や分類方法、4R、ターゲットとの違い


Writer:
山崎雄司
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セグメントマーケティングとは、市場を地理的条件や購買行動、心理的特徴などの基準で分類し、それぞれのグループに対してマーケティング活動を行うことである。

セグメントマーケティングとは


セグメント(Segment)とは、「部分」や「区分」のことであり、分類する作業のことをセグメンテーションと呼ぶ。
セグメントマーケティングは、何らかの指標に基づいて市場を細分化(セグメンテーション)し、それぞれの区分(セグメント)に対して、個別に最適なマーケティング活動を行うことを指す。
顧客のニーズが多様化・複雑化する現代においては、ターゲットを絞って効率的にアプローチを行うことが重要だ。そのための方法として、セグメントマーケティングが重要視されている。

セグメントマーケティングの分類手法


デモグラフィックセグメンテーション(人口動態変数

顧客の年齢、性別、所得、ライフステージ、家族構成などといった人口統計学的な要素をベースに分類する方法。アパレル業界であれば年齢や性別、学習塾であれば学歴や家族構成など、業種によって使い分けるのが一般的である。
例:「40代女性、共働き、子ども1人」「30代男性、会社経営者」「年収〇円以上」

ジオグラフィックセグメンテーション(地理的変数)

国、居住地域、自治体の規模、気候、宗教、慣習などといった地理的な要素をベースに分類する方法。顧客ニーズには地域差があることが多いため、今後進出していく地域を検討する際に重要となる指標である。
例:「〇〇区に勤務」「西日本地域在住」「〇〇地域の受験生」

ビヘイビアルセグメンテーション(行動変数)

利用頻度や買い替えのタイミング、情報収集の方法、使用用途などといった、顧客の購買行動をベースに分類する方法。顧客セグメンテーションにおいて最も重要な指標といわれており、顧客の行動追跡データなどから導き出す。
例:「特定の商品の購入履歴があるユーザー」「特定のブランドを定期購入」

サイコグラフィックセグメンテーション(心理的変数)

ライフスタイル、性格、価値観、興味、意見、趣味などといった、顧客個人の心理に基づいて分類する方法。定量データから推測したり、アンケートを集計したりして導き出す。他の方法と比べて、時勢や経済状況、世論などの影響を受けやすい点に注意したい。
例:「海外旅行が趣味」「ソロキャンプに興味がある」「インドア派」

セグメンテーションの指標「4R」


セグメントマーケティングを実施する際には、セグメントが施策の対象として適切であるかを評価する必要がある。そのための指標として以下の4つが挙げられ、それぞれの頭文字をとって「4R」と呼ばれている。

Rank(優先順位)

顧客の優先度を判断する指標。顧客層の分布情報や男女比率、興味分野などの把握を基に、市場ごとに優先順位を付ける。

Realistic(市場規模の有効性)

市場規模を表す指標。十分な売上が見込めるかなど、自社の経営戦略が有効な市場であるかどうかを調べる。市場の成長率や競合他社の状況なども考慮することが重要である。

Reach(到達可能性)

自社のサービスやプロモーションがターゲットに的確に届けられるかどうかを判断する指標。物理的・地理的要因を分析し、検証する。

Response(測定可能性)

マーケティング施策の効果を明確に測定できるかを判断する指標。正しく行うことで、費用対効果の把握やコストコントロールを効率的に実施できる。市場を絞り込む時点で、効果測定が可能か確認しておきたい。なお、効果測定の指標は施策ごとに設定することが望ましい。

セグメントマーケティングとSTP分析


セグメントマーケティングをさらに効果的に活用する手法が、STP分析である。
STPとは、セグメンテーション(Segmentation)、ターゲティング(Targeting)、ポジショニング(Positioning)のそれぞれの頭文字をとったもの。セグメントマーケティングによって自社を取り巻く市場全体を把握し、その後に自社の商品・サービスを必要としている顧客層の絞り込み(ターゲティング)を行う。そして、競合他社と差別化できる強みを導き出し、市場における立ち位置を決め(ポジショニング)、という手順で分析を進めていく。


セグメントとターゲットの違い


セグメントとは、一つの集団(市場)を、類似した特性やニーズといった属性ごとに分類することである。ターゲットは、一つのセグメントの中から優先すべき対象を絞り込み(=ターゲティング)、抽出された結果を指す。
セグメントはターゲットを導くための属性を細分化するという意味合いが強い。そのため、STP分析の手順で説明した通り、セグメントをしたあとにターゲティングを行い、自社が狙う顧客層を抽出するという流れが基本となる。
なお、STP分析の各項目は連動しているため、どれから始めても結果が大きく変わることはない。分析の過程で各要素を往復しながら、各項目についての理解を深めていくことも大切だ。

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