リピート通販の先進企業が実践しているデータ分析戦略と、その11の分析手法を徹底解剖


Writer:
山崎雄司
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消費者の生活にECサイトが定着し、利便性の高さから定番の購買手段の一つとなっているリピート通販。リピート通販は、サブスクリプションを含め、今や世代を問わず幅広い商材で広まりを見せています。
リピート通販においては、新規顧客の獲得と、獲得した顧客による継続的な購入が重要であり、効果的な施策を立てるには顧客を深く理解する必要があります。そこで欠かせないのが、データの活用です。
本記事では、CRMツール「カスタマーリングス」を提供し、750社以上のCRM施策を見てきたプラスアルファ・コンサルティングが、リピート通販におけるデータ活用にフォーカスし、データ活用の役割や先進企業が実践しているデータ分析手法について解説します。さらに、データから「生きた顧客像」に迫るために重要な「顧客理解」とその手法もご紹介します。

目次


1. リピート通販におけるデータ活用の重要性
 1) なぜデータ活用が重要視されるのか
 2) データ分析部門の業務と役割
2. リピート通販におけるデータ活用の役割
 1) 市場・対象顧客を知り、最初の戦略仮説を立案する
 2) 継続的に潜在顧客・既存顧客全体の状態を把握し、戦略全体を見直す
 3) 個々の施策の効果を測定する
3. リピート通販の先進企業が実践する11の分析手法
 1) 継続状況分析(LTV分析)
 2) 稼働顧客数推移と休眠顧客数推移
 3) RFM分析(またはRF分析)
 4) 休眠・離脱顧客分析
 5) バスケット分析/相関ルール分析
 6) 購買パターン分析
 7) 引き上げ分析
 8) 獲得月別・媒体別CPO
 9) 出稿広告分析
 10) Web広告分析
 11) CRM施策分析(アクション分析)
4. 顧客理解を深め「生きた顧客像」に迫るデータ活用
 1) 生きた顧客像が思い浮かぶ「顧客理解」とは
 2) KPI思考と顧客理解思考の違い
5. 顧客理解を深めるための2つの手法
 1) カスタマージャーニーの見える化
 2) テキストマイニング技術を活用した「顧客の声」分析(VOC)
6. 深い顧客理解を支援するCRM/MAツール「カスタマーリングス」

リピート通販におけるデータ活用の重要性


デジタルシフトの加速に伴い、顧客に関するデータも急増している今、マーケティング担当者が見なければならない情報量は急激に拡大しています。こうしたなかで、企業はデータを活用するための環境を整備し、自社にとって有効な活用方法を確立していくことが求められます。ここでは、リピート通販におけるデータ活用の重要性について、その背景や役割について解説していきます。

1.なぜデータ活用が重要視されるのか


通販ビジネスが発展してきた背景には、顧客との直接の取引を通じてさまざまなデータを蓄積し、分析してきたことが挙げられます。最近は消費者もデジタルシフトが進み、企業との接点や購買方法を含め、デジタルのコミュニケーションを求めるようになっています。そのため、リピート通販事業においても、データ活用の重要性が高まっているのです。
リピート通販におけるデータ活用の具体例としては、顧客の購買行動や購買に至るまでの経緯、購買後の口コミや感想といった顧客からのフィードバックを得て、商品・サービスの質の向上や新商品の企画、今後の販売戦略・事業計画に活かしていくことが求められます。このようなデータ活用の重要性については、シニア層を含めたあらゆる年齢層に対して当てはまるといえます。

2.データ分析部門の業務と役割


リピート通販ビジネスのデータ分析部門は、データ収集から施策の社内提案に至るまで、幅広い業務を担っています。データを分析して施策を立案するだけでなく、意思決定者に近い存在として、社内の関係部署と連携しながら施策を進めていく役割が求められます。そのため、データ分析部門は、組織横断的にリピート通販事業の業務プロセスの中にしっかりと位置づけられていることが大切です。

さらにデータ分析業務では、自社のビジネス構造や関連部署の業務内容に精通していることが重要です。たとえば、自社の主力商品とクロスセル商品の両方を買ってもらわないと新規顧客を獲得するコストを回収できない事業構造であった場合、そのことを理解しておくことで、いつ、どのようなチャネルで提案し購入してもらえば、F2CPO(広告コスト÷F2転換(2回目購入)した顧客数)を抑えつつLTVを最大化できるのか、という分析の必要性が分かるはずです。そして、このような分析結果を施策に落とし込み、実践へとつなげるためには、当該部門における実施難易度や実施期間を想定して提案する必要があります。本質的な価値を生む施策を提案するためには、各部門の業務内容を十分に理解しておくことが大切なのです。

また、データ分析業務を外部の専門機関に委託する方法もありますが、内製化で対応すると、自社に即したデータ分析・活用のノウハウが着実に蓄積するだけでなく、分析結果に基づきスピーディーに施策を見直すことが可能となります。たとえば、製品のコンセプトやキーメッセージを製造部門や管理部門と調整し、データ分析部門から社内関連部署へと働きかけるといった組織横断的な連携ができるのも、内製化のメリットです。

リピート通販におけるデータ活用の役割


リピート通販におけるデータ活用の最大の目的は、自社商品の潜在顧客と既存顧客を正しく理解することで、新規顧客の獲得および既存顧客のLTVの最大化を実現することです。
リピート通販は、継続的な新規顧客の獲得と同時に、いったん受注した顧客から2回目、3回目と受注を獲得し続けるという継続性を前提としています。そのため、データ活用においてもPDCAサイクルを回し続けることが求められます。さらに、市場や既存顧客の状態を見て(「See」)、戦略・施策の全体像を考える(「Think」)というステップを加えた「ST+PDCA」サイクルが必要と考えます。
「ST+PDCA」では、まず「S」で顧客を把握し、「T」で気づきを得たうえで、「P」で再現したり、改善の施策を検討したりする流れに入ります。「S」と「C」は一見似ていますが、「S」は各施策を個別に分析・評価するものではなく、実施したすべての施策の結果や顧客の変化を全体的に見るものです。
通常のPDCAに「S」と「T」を加えることで、顧客に対する気づきを加えることができ、深い顧客理解へとつながります。



このサイクルにおいて、データ分析の役割は多岐にわたりますが、特に重要な役割として以下の3つが挙げられます。

1.市場・対象顧客を知り、最初の戦略仮説を立案する


戦略仮説には、「広告戦略」と「CRM戦略」の2つがあります。「広告戦略」では、市場(潜在顧客)の基本的なセグメント仮説を立てるための分析を行い、「CRM戦略」では、獲得した顧客のセグメント仮説を立てるための分析を行います。初期の戦略仮説を立案するために最初に実施する分析であり、「ST+PDCA」における1回目の「ST」に位置づけられます。

2.継続的に潜在顧客・既存顧客全体の状態を把握し、戦略全体を見直す


各施策を実践したあとは、顧客全体の状態の変化を把握するための分析を行います。「ST+PDCA」の2回目以降の「ST」に位置付けられ、顧客セグメントの見直しや予算配分の判断材料となるものです。
ここでは、一連の施策を実践する前の顧客全体の状態と、実践後の状態を見比べる分析が中心となります。加えて、私たちは一人ひとりの顧客に注目し、各施策への反応から購買に至る経緯や期間、その間の心情の変化などを時系列で追う「カスタマージャーニー」的な見方を重視しています。これが、深い顧客理解へとつながっていくと考えています。

3.個々の施策の効果を測定する


実践した個々の施策について、顧客の反応と成果を分析します。施策の効果測定を行い、改善を図るためのもので、「ST+PDCA」の「CA」に位置付けられます。
たとえば、CRMにおけるF2転換(2回目購入)を促すためのメール施策であれば、顧客セグメントごとのメール開封率、文中のリンク経由のWebサイトのアクセス率、最終的に購入となったコンバージョン率の分析を行います。そして、メールのセグメントや、未開封層に対するLINE配信などのアクションを見直しにつなげます。

リピート通販の先進企業が実践する11の分析手法


ここでは、先進企業のリピート通販企業で用いられている分析手法を11種類ご紹介します。


1. 継続状況分析(LTV分析)


新規に顧客を獲得した月から、その顧客からの売上を継続的に見ていき、一定期間を経過するまでの合計購入金額を基に継続購入の状況と売上貢献度を分析する手法です。
リピート通販事業においては、獲得した顧客からの継続的な売上、すなわちLTVが極めて重要な指標であり、最も基本的な分析の一つといえます。なお、一般にリピート通販事業では年間LTVを見ていくことが多く、事業開始から複数年経過したら、年単位での継続率の把握が重要になってきます。継続率が安定してくると、次年度以降の売上維持に必要な新規顧客獲得数を精度高く想定できるようになります。
また、将来の事業拡大を見据えて投資コストの回収機関を数年単位で見込む場合も、年単位での継続率が重要です。

2. 稼働顧客数推移と休眠顧客数推移


稼働顧客数と休眠顧客数の2つの軸で推移を見る分析です。日々の新規顧客獲得のための活動およびCRMの成果を測るものでもあります。
リピート通販事業では、顧客全体の状況を捉えることで、当月の売上金額の着地予測や、翌月以降の新規顧客獲得のための出稿計画、休眠顧客を掘り起こすための施策などをいち早く検討することが大切です。また、全体の稼働顧客数の推移だけでなく、継続的に売上に貢献している「優良顧客」の継続状況をあわせて見ることもあります。
なお、休眠顧客については、どのような状態の顧客を「休眠顧客」と定義づけるかによって異なり、企業によってその条件もさまざまです。

3. RFM分析(またはRF分析)


RFMとは、最終購入日からの経過日数(Recency)、累計購入回数(Frequency)、累計購入金額(Monetary)のことで、この3つの指標を掛け合わせて顧客の分布を把握します。分布の動態を定点的に観察することで、CRM施策全体の効果検証に利用します。また、RFM分析を顧客のランク付けの定義とする企業も多く、セグメントなどに利用されます。
ちなみにリピート通販事業においては、1回あたりの客単価が大きく変動しない商材やサービスが多いため、「M」は「F」に比例するものとみなし、「R」と「F」の2つの軸で分析する「RF分析」を実施することもあります。
なお、RFM分析では、顧客の獲得・維持にかかるコストが考慮されていない点に注意が必要です。


4. 休眠・離脱顧客分析


顧客の基本属性や購入回数ごとに、休止や解約の理由を分析するものです。リピート通販事業の場合、解約までの購入回数が多い顧客と、購入を早期にストップした顧客とでは解約の理由が異なると考えられるため、解約理由を分析し、それを解消して継続してもらうために必要な情報を提供するといった対応策を検討します。
なお、休止・解約の理由を深掘りするだけでなく、休眠復活後の年間LTVを把握することも重要です。というのも、休眠復活後の年間LTVは、解約未経験の顧客と比較して6割から7割程度に留まるケースが多いため、休眠顧客を掘り起こし施策のコストを見極める必要があるからです。

5. バスケット分析/相関ルール分析


ある商品を買った顧客が次に買うであろう商品を予測する分析手法です。特定の商品を購入した顧客に対し、アップセルやクロスセルで提案する商品を見極めるのに有効です。具体的には、ある商品(x)の購買が他の商品(y)の購買とどの程度相関しているかを“リフト値“という指標で示します。


6. 購買パターン分析


顧客のさまざまな購買パターンから、自社にとっての優良顧客がどのような順番で商品を購入しているかというパターンをたどる分析です。LTVが高い顧客の過去の購買パターンを分析し、別の顧客をそのパターンに導くような施策の提案が可能となります。たとえば、新規顧客を優良顧客へと育つきっかけとなった商品・サービスを把握し、その商品をまだ購入していない顧客に対しておすすめする、といった施策が考えられます。

7. 引き上げ分析


お試し(トライアル)商品から本商品への引き上げ状況を見る手法です。たとえば、顧客がお試し商品を購入してからどのくらいの日数で本商品の購入のピークが訪れるかを確認すると、本商品の購入のタイミングが把握できます。本商品の購入のタイミングが想定よりも遅い場合は、本商品への引き上げ施策の改善を検討します。ただし、引き上げ日数は広告媒体がオンラインかオフラインかで異なる場合があります。
引き上げ分析は、引き上げ施策のテスト時、またはお試し商品および本商品の価格変更時、さらには購入特典(オファー)の変更時などに実施します。商材によって違いはありますが、引き上げ率40%前後が一つの目安になります。

また、引き上げ分析と並行して、一定期間内に同一商品が再購入された割合を見ることもあります。再購入率から消費サイクルを確認し、再購入に至らなかった割合(離脱率)や顧客の特性を把握することで、本商品への引き上げや再購入を提案するタイミングを見極めることができます。

8. 獲得月別・媒体別CPO


新規顧客を獲得した月や媒体といった切り口で購買パターンやCPOの変化を把握します。媒体にはそれぞれ特性があるため、CPOやLTVにも差が生じます。そのため、媒体ごとに目標CPOを設けることがあり、それらを月別に集計して分析すると、全体としての新規顧客獲得の効率の変化を確認できます。

9. 出稿広告分析


出稿した広告の効果・効率を見ることで、今後の広告媒体や訴求ポイント、表現方法の見直しにつなげる分析です。具体的には、Web広告で獲得した新規顧客のうち、どの広告媒体で獲得した顧客の継続率が高いか、LTVがよいのか、自社の商品・サービスと相性がよい媒体はどれかなどを見極め、広告に充てる予算配分の最適化を図ります。

商品同梱の広告のように、受注までの期間が長い媒体については、一定期間を経た段階の成果に基づいて着地を予測します。また、テレビCMのような、瞬間呼量(単位時間あたりの注文受付電話量)が多くなるような媒体においては、事前に呼量を予測してコールセンターの体制を最適化しておくと、機会損失を回避できます。なお、オペレーターに対し、媒体確認を徹底するよう促すことで、媒体評価の信頼性を保つことにつながります。

10. Web広告分析


下記の表は、Web広告の改善を図る際に見るべき代表的な指標です。



Web広告においても、新規顧客の獲得コストであるCPAの重要度が最も高いですが、広告のクリック数、さらに広告の表示回数、といった形でさかのぼって広告効果を検証することが大切です。

11. CRM施策分析(アクション分析)


CRM施策分析とは、一つひとつのCRM施策について、それぞれに対する顧客の反応やアクションを観察し、各施策の成果を評価して次のターゲット、メール・LINE配信のタイミング、訴求ポイント、表現方法の改善につなげるための分析です。
分析の際は、媒体によって取得可能なデータから行います。



たとえばメール施策の場合、開封されやすいメールの件名についてA/Bテストを行い、開封率やコンバージョン率を見ながら、購入までの導線を変更するといった改善に取り組みます。

以上、リピート通販事業における代表的なデータ分析手法をご紹介しました。リピート通販の施策の目的である「新規顧客の獲得」「既存顧客の継続」のためには、まずは事業収益に直結するCPOとLTVを正確に追い続けることが重要です。その上で、CPOやLTVの目的との乖離や変化の要因を掘り下げる手段として、ご紹介した分析手法を用いると効果的です。
なお、リピート通販事業では多くのデータを取得できるため、ついやみくもに分析したくなりがちですが、分析だけで終わってしまい、具体的なアクションまで至らなければ意味がありません。目的が明確でない分析に時間を費やすのではなく、施策に直結した分析に絞ることで、効果の最大化が期待できるでしょう。

顧客理解を深め「生きた顧客像」に迫るデータ活用


データを正確に扱い、活用することはもちろん大切であり、定量分析で得られる数値の客観性についてはブレがないものです。ただし、そこから具体的な施策へと落とし込む段階では、分析結果からさらに踏み込んで「生きた顧客像」に迫ることが求められます。特にリピート通販においては、分析結果から顧客の情報を深掘り(ドリルダウン)し、顧客理解を深めることが大切になってきます。

ここからは、「顧客理解」とは何か、そして「生きた顧客像」に迫るために知っておきたいデータ活用の手法について解説していきます。

1. 生きた顧客像が思い浮かぶ「顧客理解」とは


「顧客理解」とは、顧客が求めているものや課題を理解することです。顧客を理解するには、市場調査や顧客データの活用、アンケートなど、さまざまな方法が考えられますが、いずれも顧客視点に立って分析を行うことが重要です。その際、一部の情報だけではなく、あらゆるタッチポイントやさまざまな顧客情報を複合的に捉え、顧客一人ひとりを「生きた顧客像」として実感することで、より深い顧客理解へとつながります。



たとえば、先に紹介したデータ分析では、あらかじめKPIを設定し、その多寡や変化を追う定量分析が中心となります。この視点のみで顧客を捉えた場合、顧客一人ひとりではなく、すべての顧客の全体像を漠然と見ているにすぎません。また、企業側が設定したシナリオ通りのアクションを起こした顧客については把握できますが、シナリオから離脱した顧客の体験価値をつかむことは難しいでしょう。このような想定外のアクションを起こす顧客を含めて、顧客一人ひとりについて実感を伴って把握することが重要なのです。

2. KPI思考と顧客理解思考の違い


ここで、KPI思考と顧客理解思考を比較してみましょう。



KPI思考では、顧客をセグメントやファネル単位で考えます。一方、顧客理解思考では、一人ひとりの顧客単位、行動ステップ単位で顧客を捉えるため、顧客の解像度が上がります。
顧客分析については、KPI思考では基本属性や単発の行動、購買履歴が対象となるのに対し、顧客理解思考では属性と行動を組み合わせ、単発ではなく購買前からの一連の行動が対象となります。さらに、テキストマイニング技術(後述)などを用いて定性データを活用し、行動の理由や心情の変化、決定要因といった背景を探ります。

データ分析のビジュアルについては、KPI思考では数値・表・グラフの情報から読み取るのがメインです。一方、顧客実感思考は、数値・表・グラフだけでなく顧客の行動全体を可視化します。図示をはじめ、動画やアニメーション、サイネージなどを活用し、社内で共有することで顧客の体験価値を実感しようとする姿勢を育むことも大切です。

顧客理解を深めるための2つの手法


顧客理解を深めるさまざまな方法の中から、リピート通販に有効な2つの手法について解説します。

1. カスタマージャーニーの見える化


リピート通販事業におけるカスタマージャーニーとは、顧客が「どのように商品・サービスを認知したのか、興味・関心を抱き、購買に至ったのち、どのような理由でリピートへつながったのか、といった流れのことを指します。この一連のプロセスを「旅」になぞらえ、行動や心情の変化とともに可視化しますが、その際のポイントについて下記に例示します。

・どこで商品・サービスを知ったのか
・そのとき、何を感じたのか
・購買前のWeb上での行動履歴
・決定要因と、購入までの過程
・最終的に購入したものは何か、検討したが購入に至らなかったものはあったか、それはなぜか
・同時に購入した商品・サービスは何か。それはなぜか
・購入した商品・サービスを使用して、どのような感想をもったか

このような情報を収集する手段として、たとえばWeb画面上で購入した際に、簡単なアンケート画面をポップアップ表示し、その場で回答してもらうといった方法も有効です。そして、顧客をファンへと育成していくために、上記のようなポイントから一連のコミュニケーション全体を設計することが求められます。

2. テキストマイニング技術を活用した「顧客の声」分析(VOC)


テキストマイニング技術とは、大量のテキストデータを単語や文節に分割し、コンピュータが処理しやすいように加工したうえで、その出現頻度や相関関係を分析する技術です。数値化の難しい「顧客の声」(VOC/Voice Of Customer)など、定性データの分析に力を発揮し、アンケートの自由記入欄などに書かれた内容の多様性や強弱をスピーディーに可視化することができます。



顧客一人ひとりを深く理解するためには、購買の理由や心情の変化、購買後の感想など、KPIには表れないような顧客の個人的・主観的なところを把握することが重要です。そのためには、アンケート記入されたコメントやコールセンターに寄せられた声などの定性情報を捉え、顧客の体験価値を実感し、施策に反映させることが有効です。テキストマイニングを活用すると、こうした施策の精度とアクションに至るまでのスピードを大幅に向上させることが可能となります。

また、コールセンターでの会話内容から、顧客の関心事や悩みを把握し、その解消につながるような情報をメールマガジン等で提供するといった施策も有効でしょう。商品・サービスに関する直接的なPRだけでなく、顧客の悩みに寄り添い、役に立つ情報を提供することで、長期的にファンを育成するアプローチです。
なお、こうした定性データは、定量データと重ね合わせて見ることで、より「生きた顧客像」に迫ることが可能です。

では具体的に、商品の解約に関する「顧客の声」をテキストマイニングで活用する例を以下に紹介します。

商品:健康食品
課題:定期コースの解約率を改善したい

ステップ①:解約理由を可視化する
「顧客の声」のテキストマイニングにより、解約理由を可視化。
例;ドクターストップ、価格が高い、効果がない、飲み余り など

ステップ②:具体的な仮説を立てる
ステップ①の結果を基に、解約に至る道筋について具体的な仮説を立てる。顧客と解約理由を関連付け、定量情報と重ね合わせて分析を行う。
リピート通販の場合、商品の継続期間などによって解約理由の順位が変わることがある。たとえば、継続期間が長いほど「飲み余り」による解約が相対的に増加傾向である。

ステップ③:改善のためのアクションを実行する
具体的な改善策を打ち出し、実行する。解約理由によって改善策は異なる。
たとえば、「飲み余り」が解約理由として増加するタイミングより前に、継続的に飲んでもらうための習慣付けを意識してもらえるような情報提供をフォローシナリオに加える。

深い顧客理解を支援するCRM/MAツール「カスタマーリングス」


リピート通販を成功させるには、適切なデータ分析・活用で顧客理解を深め、「生きた顧客像」を把握し、よりよい顧客体験を提供するのが重要です。そのためには、顧客理解に強みを持つツールを導入することが必要となります。

CRM/MAツールにはさまざまな製品がありますが、リピート通販で顧客理解を深めるなら、「ITreview Best Software in Japan 2022(※)」に BtoC向けマーケティングオートメーションとして唯一選出された「カスタマーリングス」をおすすめします。

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本記事ではリピート通販における分析手法や顧客理解を深めるポイントについてご紹介しましたが、まだまだ豊富な事例がございます。「他社の活用事例が知りたい」「自社に合った活用方法を提案してほしい」という場合は、お気軽にお問い合わせください。

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