
マーケティングテクノロジーとは?カオスマップ、6つの領域、アドテックとの違い

- Writer:
- 山崎雄司
マーケティングテクノロジーとは、企業の営業活動やマーケティング活動全般を支援するさまざまなテクノロジーの総称である。
マーケティングテクノロジーとは
マーケティングテクノロジーとは、マーケティング活動全般の効率化・最適化を図るための取り組みを支援するテクノロジー(ソリューションやシステム、またはサービス)の総称である。マーケティングテクノロジーは、略してMarTechと表記されることから、「マーテク」「マーテック」とも呼ばれる。
消費者の価値観が変化し、マーケティングプロセスも複雑化している昨今、マーケティング担当者の負担を軽減させることは、企業活動を最適化しビジネスの成長を促進するために不可欠な要素となっている。進歩し続けるテクノロジーを活用し、マーケティング活動の効率化を図ることで、チームの生産性向上にもつながる。
マーケティングテクノロジーカオスマップ
カオスマップとは、特定の市場に参画する事業者やソリューションを分類し可視化したもので、業界地図とも呼ばれる。マーケティングテクノロジーカオスマップは、マーケティング業界におけるテクノロジーの多様性と複雑性を視覚的に表現したもので、アメリカのScott Brinker (スコット・ブリンカー)氏が2011年に公開した「Marketing Technology Landscape」が始まりといわれている。現在もブリンカー氏のサイト「chiefmartec」にて毎年発表されており、10,000種類を超えるテクノロジーが1枚のスライドにまとめられている。なお、国内でもさまざまな企業がマーケティングツールに関するカオスマップを公開している。アンダーワークス株式会社が毎年「マーケティングテクノロジーカオスマップ JAPAN」を公開しており、2023年度版は1,740のツールが掲載されている。
マーケティングテクノロジーの6つの領域
前述の「Marketing Technology Landscape」では、全世界のツールやソリューションを以下の6つの領域に分類している。
➀広告・広報活動の支援(Advertising & Promotion)
Advertising & Promotionのカテゴリーには、SNS広告や動画広告といったデジタル広告をはじめ、広告キャンペーンの最適化など、広報活動を支援するソリューションが含まれる。具体的にはDSP、SSPなどの広告プラットフォームや広告クリエイティブツール、広告効果測定などのツールが該当し、効率的に成果が出せるようになったことで注目されている領域である。
②コンテンツおよび顧客体験の向上(Content & Experience)
Content & Experienceのカテゴリーには、コンテンツ管理システム、ランディングページ作成ツール、モバイルアプリ、SEO対策ツールなど、顧客体験(CX)の最適化を支援するソリューションが含まれる。顧客一人ひとりのニーズを把握し、パーソナライズされたコンテンツやメールでのアプローチによって顧客体験価値を向上させること目的としたツールが該当する。
③ソーシャルメディアの活用と顧客関係の構築(Social & Relationships)
Social & Relationshipsのカテゴリーには、ユーザーとのコミュニケーションを向上させ、良好な顧客関係を構築するためのソリューションが含まれる。具体的には、チャットボットやSNS分析・運用ツール、ウェビナーツール、CRMツールなどが該当する。これらのツールを用いて、ソーシャルメディア上でのインタラクティブなコミュニケーションを促進し、顧客関係を強化する。また、顧客データを一元管理し、分析を自動化することで、顧客の多様化するニーズに対応する。
④取引や営業活動の支援(Commerce & Sales)
Commerce & Salesには、ECサイトの構築・運営管理と営業活動の支援をするソリューションが含まれる。具体的には、電子商取引プラットフォームやカートシステム、営業支援システム(SFA)などが該当する。ECサイトでの取引促進や、商談から受注までの営業活動の効率アップを図る。
⑤データの収集・管理・分析(Data)
Dataには、データ関連のソリューションが含まれる。具体的には、BIツールやDMP、CDP、各種分析ツール、ビッグデータ処理、データ可視化ツール(ダッシュボードなど)といったツールが該当する。企業独自で取得した情報や、外部ツールで取得した顧客の購買履歴などの幅広い情報を管理することができるため、データドリブンによる意思決定を支援し、効率の良い経営判断を可能にする。
⑥タスク・プロジェクトの管理(Management)
Managementには、タスクやプロジェクトを一括管理するソリューションが含まれる。具体的には、プロジェクト管理ツール、個人タスク管理ツール、ワークフロー管理ツールなどが該当する。スタッフ個人に割り振られたタスクを可視化しチームで共有することで、ワークフローの最適化やミスを防ぐことにもつながり、効率的なプロジェクトの進行を支援する。
マーケティングテクノロジーとアドテックの違い
アドテック(アドテクノロジー)とは、広告とテクノロジーを組み合わせた言葉で、インターネット広告の配信を支えるテクノロジーのこと。前述のDSPやSSPといったツールや、多数のWebサイトで効率よく広告を配信する仕組みであるアドネットワークなどがアドテックの代表例として挙げられる。
広告がマーケティングの一部であるのと同様に、アドテックはマーケティングテクノロジーの一部であると捉えられる。
