SSPとは?意味や仕組み、DSPとの関係、メリット、アドネットワークとの違い


Writer:
山崎雄司
  • facebook
  • Twitter
  • LINE

SSPとはSupply Side Platform(サプライサイドプラットフォーム)の略で、広告収益の最大化や広告枠の販売を支援するプラットフォームのこと。広告枠を提供している側(媒体側)が利用する。

SSP(サプライサイドプラットフォーム)とは


 SSPは、広告枠の買い付けや配信、クリエイティブ分析までを自動で行い、最適化を行うプラットフォームである。広告主側のプラットフォームであるDSPと連携して働くシステムであり、複数のDSPから最も収益効果が見込める広告を抽出する。DSPとの連携によって、媒体と広告主双方にメリットをもたらし、さらに広告費用対効果の向上を図ることも可能となる。


SSPの仕組み


媒体がSSPを利用して広告配信を行うまでの手順は、以下の通りである。

1.媒体がSSPに対し、広告枠の値段や、どんな広告主に売りたいか(出稿希望業種など)といった情報を設定しておく。
2.SSPが連携するDSPに対し、広告入札のリクエストを送る。

一見するとシンプルな手順であるが、SSPのリクエストに対するDSPの処理は以下となる。

1.ユーザーがDSP広告枠のあるサイトを閲覧する
2.サイト側がSSPに広告をリクエスト
3.SSPが各DSPに対し、ユーザー情報(性別、年代、興味、行動履歴など)を添えて広告オークションをリクエスト
4.各DSPによる入札結果をSSPに通知
5.SSPが、最高額で落札されたDSPの情報をサイトに報告
6.サイト側が落札したDSPに対し、最高額で落札された広告の配信をリクエスト
7.DSPがサイトに広告配信 

なお、SSPとDSPの接続にはRTB(Real-Time Bidding / リアルタイムビディング)と呼ばれる入札システムが使われており、これらの取引は0.1秒以内で行われている。

SSPのメリット


広告収益の最大化

媒体側にとってSSPを利用する最大のメリットは、収益の最大化が見込めることである。RTBによって正確かつ最も関連性の高い広告に集中的に入札できるため、より優れたROI(投資利益率)やeCPM(Web広告表示1,000回あたりに発生する事実上の費用)を実現することが可能。一般的にROIが高ければ高いほど収益率は高く、その投資は効果的だといえる。

営業の業務削減

媒体側は、掲載したい広告の業種や販売最低価格などを前もってSSPに設定しておくことで、個別に広告枠の販売営業をする必要がなくなり、営業業務を削減できる。

広告掲載の工数削減

媒体側は、最適な広告の選択および設置作業の工程が自動化されるため、広告掲載における運用工数を削減できる。

広告のターゲティング精度向上

上記のような媒体側のメリットの他に、広告主側のメリットとして、ターゲティングの精度の向上が挙げられる。ユーザーの興味関心やデモグラフィックデータ(人口統計学的なデータ)の利用で、より細かいターゲティングが可能になる。

SSPのデメリット


SSPの提供業者を選定する必要がある

SSPを提供している業者は複数あり、それぞれ機能や利用できるデバイス、得意とするユーザー層などが異なるため、どのプラットフォームを選ぶかが大切になってくる。自社のWebサイトに合うサービスはどれか、慎重に検討したい。

コストが発生する

SSPは基本的に初期費用や運用費が発生するサービスであるため、広告の収益によっては赤字になってしまうことも。費用対効果を検討し、収益に見合った活用をすることが重要となる。

配信される広告の内容が不明

SSPを利用した場合、自社媒体にどのような広告が掲載されるかは不明である。たとえば掲載する広告について、業種や広告主でしか指定できない場合は、媒体のブランドイメージと異なる広告が配信されてしまうことも。ただし、不適切な広告が表示されてしまった場合は、SSPのサービスによっては非表示の設定ができ、企業イメージやブランドを守ることができる。

SSPに向いている媒体


SSPは、向いている媒体と向いていない媒体が存在する。まず、SSPに向いているのはUU(ユニークユーザー)が多く、多様な属性のユーザーが訪問する媒体である。SSPではユーザー情報に基づいて広告の出し分けを行うため、訪問者が多く属性も多様であれば広告入札が盛んに行われる可能性が高く、SSPの利用によってさらなる収益向上が見込める。
一方、ユーザー層が狭い媒体はSSPに向かないことが多い。同一ユーザーのリピート訪問や、類似した属性のユーザーが多い場合、広告を出し分ける必要がないため、広告枠に対する取引回数が少なくなる傾向にあり、収益につながらない可能性がある。


SSPとアドネットワークの違い


アドネットワークとは、Web上にある複数の広告媒体(WebサイトやSNS、ブログなど)を束ねる広告配信管理ネットワークのこと。提携する各広告枠と、広告を配信したい広告主の橋渡し役を担う。媒体側にとっては広告枠を埋める作業をアドネットワーク任せにできること、広告主にとっては効率的に多数の広告を配信できることから、双方にとって大きなメリットがある。アドネットワークは広告「枠」の最大化を図るもので、SSPは媒体側の広告「収益」の最大化を図るという点で違いがある。これを踏まえて、カバレッジ(Coverage/広告枠の全リクエスト数に対して実際に広告が配信された割合)に注目すると、アドネットワークはより多くのリクエストをカバーできる一方で、SSPのカバレッジは低い傾向がある。課金形態にも違いがあり、アドネットワークはCPC課金型(クリック課金型)が多く、SSPはCPM(インプレッション課金型)が多いといわれる。

メルマガ登録
  • facebook
  • Twitter
  • LINE