DSPとは? 仕組みやSSPとの違い、メリット・デメリット、運用のポイント


Writer:
山崎雄司
  • facebook
  • Twitter
  • LINE

DSPとは、Demand-Side Platform(デマンド サイドプラットフォーム)の略で、Demand-Side(広告主)が広告を最適化するためのプラットフォームのこと。ターゲットユーザーごとに適切な広告枠の買い付け、配信などを自動で行い、広告効果の最大化を支援する。

DSPとは 


DSPは、広告主が広告効果の最大化を目指すためのプラットフォームである。2008年、ニューヨークで起きたリーマン・ショックをきっかけに、失業した金融工学エンジニアが広告業界へ転職し開発したもので、日本では、2011年にFreakOut(インターネット広告配信サービス)が初めて導入 した。DSPは、媒体側のプラットフォーム(SSP)と連携して機能する。

DSP普及の背景

 
それまでWeb広告出稿の際に主流となっていたのは、「広告枠を一定期間、一定の単価で購入する 」といった手法であった。しかし、ターゲットではないユーザーにも広告が表示されるため、広告費が無駄になることも。また、スマートフォンの普及によりインターネット上での購買行動が活発化し、広告主はよりパーソナライズされた広告を求めるようになった。こうした変化のなかで、複数の広告枠を自動で買い付け、ターゲットごとに適切な広告配信を行うことができるDSPが誕生した。

SSPとは


SSPとは、Supply Side Platform(サプライサイドプラットフォーム)の略で、媒体(広告枠を提供している側)のためのプラットフォームのこと。複数のDSPから最も効果が見込める広告を抽出する。広告主向けのプラットフォームであるDSPと接続することで、媒体側も広告枠を売ることが容易になり、双方の広告費用対効果向上を図ることができる。なお、この2つの接続にはRTB(Real-Time Bidding / リアルタイムビディング)と呼ばれるシステムが使われており、広告主と媒体の利害が一致するような入札取引をリアルタイムで行っている。

DSPの仕組み 


DSPの仕組みは以下の通りである。  

1.ユーザーがDSP広告枠のあるサイトを訪問
2.サイト側がSSPに広告をリクエスト
3.SSPが各DSPに対し、ユーザー情報を添えて広告のオークションをリクエスト
4.各DSPが入札結果をSSPに通知
5.SSPが、最高額で落札されたDSPの情報をサイトに報告
6.サイト側がDSPに対し、最高額で落札された広告の配信をリクエスト
7.DSPがサイトに広告配信

こうした一連の取引の仕組みがRTB(Real-Time Bidding / リアルタイムビディング)である。なお、これらの取引は0.1秒以内で行われているという。

DSPのメリット ・デメリット


メリット 

DSPでは、自社や自社商品に興味関心の高いユーザーにターゲットを絞って広告配信を行うことができるのが最大のメリットだ。サイトを閲覧したユーザーのウェブ上での行動履歴などから潜在ユーザーや類似ユーザーを認識し、それぞれに適した広告を配信するため、効率的に広告効果を高めることができる。また、それまで手作業で行っていた入札工程や、最適な広告を選択する作業工程が自動化されるため、広告配信における工数の削減にもつながる。

デメリット 

DSPでは、広告の配信先についての情報が開示されないこともあり、実際にどのような媒体に広告が掲載されたのかを確認することが難しい。また、DSPにはさまざまな種類があり、対応デバイスや課金方式などは広告配信サービスによって特性が異なる。そのうえ初期費用や手数料もかかることが多いため、導入前にサービス内容などをよく確認し、どのDSP広告配信サービスが自社に適しているのかを検討、選定する必要がある。

DSPの種類 


自動型(アルゴリズム型) 

事前に設定した配信方法や、目標などの内容および配信結果から、DSP独自のアルゴリズムによって広告のCPAが自動で最適化される。自社で運用する必要がなく、作業の効率化が図れる一方で、配信コントロールの面で微調整が難しい場合がある。

あわせて読みたい:CPAとは?計算方法、似た指標、設定方法、具体的な改善策、注意点 (customer-rings.com)

運用型(手動調整型 )

運用型DSPでは、配信から得たユーザー属性などのデータを自社で活用し運用する。工数はかかるが、ターゲットや指定の条件に応じて細かい調整や柔軟な対応が可能である。運用及び改善に当たっては、「誰に(ターゲット)」「いつ(時間帯や曜日など)」「どのように(配信先のメディアやランディングページ)」といった項目の優先順位を決めた上で調整を行うことが重要。

DSPの課金方法の種類

 

クリック(CPC)課金 

CPCとはCost Per Clickの略で、「クリック単価」と訳される。主にリスティング広告(検索連動型広告)に導入されている課金方式。インターネット上の広告がクリックされる毎に費用が発生する。支払い金額はクリックされた回数で決定し、表示回数は関与しない。

あわせて読みたい:リスティング広告とは?特徴やSEOとの違い、広告費、掲載順位決定の仕組み (customer-rings.com)

インプレッション(CPM)課金

CPMとはCost Per Milleの略で、「インプレッション単価」などと訳される。広告が表示されれば支払い金額が発生する仕組み。広告がクリックされたかどうかに関係なく、広告が1,000回表示される毎に費用が発生する。

あわせて読みたい:CPMとは?計算方法、メリット・デメリット、eCPM・vCPM・CPC・CPVとの違い

インストール(CPI)課金  

CPIとはCost Per Installの略語で、「インストール単価」などと訳される。広告経由でアプリがインストールされた際に費用が発生する。インストールをCVとした課金方式であり、インストール後の利用状況は反映されないことが多い。

あわせて読みたい:コンバージョン(CV)とは?意味やマーケティングにおける活用方法 (customer-rings.com)

DSPで費用対効果を高める方法

 

ターゲットを絞り込む 

DSP広告を効果的に活用するためには、あらかじめ広告のCVを明確に定めることが重要となる。ターゲットを絞り込み、ユーザー環境(配信デバイスなど)や属性に合わせた広告配信を行うことで、CV率の向上が期待できる。同時に、無駄な広告を減らすことで費用対効果の向上につながる。なお、一つの広告キャンペーンに対して複数のDSPを設定する場合は、自社の広告が入札で競り合い価格が高騰することを避けるため、ターゲットの重複を避ける必要がある。 

広告効果を定期的に確認する  

DSPを運用する際は、定期的に広告効果を確認し、ターゲティングや広告内容の見直しを行うことが重要だ。また、DSPは最適化を自動で行うが、競合他社の参入などの外的要因によってDSPの機能に不具合が生じることも。異常が生じたときには迅速に対応できる体制を整えたい。

メルマガ登録
  • facebook
  • Twitter
  • LINE