CPAとは?計算方法、似た指標、設定方法、具体的な改善策、注意点


Writer:
山崎雄司
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CPAとは「Cost Per Action」または「Cost Per Acquisition」の略で、Web広告における「顧客獲得単価」、「成果単価」などを意味する。Web広告の費用対効果を測るために用いられる重要な指標である。

CPAとは


CPAとは、利益につながる成果(コンバージョン)を1件獲得するためにかかる費用を表す。CPAの値が小さいほど、より少ない広告費用で高いコンバージョンが得られたことになる。
CPAは以下の計算式で求めることができる。

CPA=広告費÷コンバージョン数

CPAを把握することで、さまざまなWeb広告(リスティング広告、バナー広告、SNS広告など)のうち、どの種類に注力すべきかを判断できる。

Web広告で押さえておきたいワード


CTR(Click Through Rate/クリック率)

CTR(%)=クリック数÷インプレッション数×100

CTRとは、インプレッション数(広告の表示回数)に対して、実際にユーザーがクリックした回数の割合を表す。CTRが高いほどコンバージョンにつながる良質な広告といえる。

CPC(Cost Per Click/クリック単価)

CPC=広告費÷クリック数

CPCとは、Web広告が1クリックを獲得するのにかかった費用を表す。主にリスティング広告(検索エンジンなどの検索結果画面に表示される広告)で発生する。CPCが低いほど、低単価でユーザーをサイトへ誘導できていることになる。

CVR(Conversion Rate/コンバージョン率)

CVR(%)=コンバージョン数÷セッション数(サイトへの訪問数)×100

CVRとは、Webサイトへ訪問したユーザーのうち、コンバージョン(商品の購入や問い合わせ)に至った割合を表す。また、サイトに興味はあるもののコンバージョンに至らず離脱している割合もわかるため、CVRを明確にすることでサイトの改善点が把握しやすくなる。

CPAと似ている指標


CPR(Cost Per Response) 

CPR=広告費÷レスポンス数

CPRとは、レスポンス(申込、無料登録といった顧客の反応)1件獲得するのにかかった広告費用を表す。広告の費用対効果を測るという意味ではCPAと似ているが、CPRは、無料サンプルの申し込みや資料請求のような、購入の前段階である顧客行動も対象としている。

CPO(Cost Per Order)

CPO=広告費÷新規顧客獲得数
CPOとは新規顧客に購入してもらうために費やした広告費用のことで、「新規顧客の獲得単価」ともいう。成果が利益に直結する場合にはCPAと同義だが、コンバージョンとしている成果が2つあるときには、新規獲得につながる成果をCPOとして扱う。

ROI(Return On Investment/投資利益率)

ROI(%)=利益金額÷投資(広告費)×100

ROIとは投資(広告費)に対する利益率で、投資に見合った利益を生み出しているかどうかを測る指標。ROIの割合が大きいほど、収益性が高いことになる。

ROAS(Return On Advertising Spend/広告費用回収率)

ROAS(%)=広告経由での売上÷広告費×100
 
ROASとは、広告費に対して広告経由でどのぐらい売上に貢献したかを測る指標である。広告費1円あたりの売上金額が把握でき、数値が高いほど費用対効果が高いといえる。

CPAの設定方法


限界CPAの算出

限界CPA=売上単価-原価-経費
※ビジネスモデルによって計算式が異なる場合があります。

限界CPA とは、1件のコンバージョンに対してかけられるコストの上限額であり、売上=費用となる損益分岐点の値を指す。

目標CPAの設定

目標CPA=限界CPA-確保したい利益額

目標CPAとは、1件のコンバージョン獲得に対する費用の目標金額のこと。算出した限界CPAをもとに、広告費や商品原価だけでなく、人件費なども含めて実際にどの程度の金額が使えるのかを割り出す。

CPAを改善するには

CPCを下げる
リスティング広告(検索キーワードに合わせて表示される広告)の場合、CPCが広告の掲載順位に大きく影響するため、CPCを下げる対策を講じるとよい。
 
・「品質スコア」を上げる。「品質スコア」とは、広告の品質の目安となる数値のことで、登録したキーワードに割り当てられる。1~10の数値で表され、スコアが高いほどCPC(クリック単価)を下げることができる。検索されたキーワードが、広告に登録されているキーワードと完全に一致(コンテンツターゲット)した場合の広告の品質について、「品質スコア」をもとにキーワードの選択を見直すなどの工夫をするとよい。
・媒体ごとの品質基準に則って広告を改善する。
・広告媒体を変更あるいは複数の媒体を使用するといった選択肢を検討する。

CVRを上げる

CVR(コンバージョン率)を上げるには、ユーザー目線でのページの利便性を高める必要があるため、以下のような対策を講じるとよい。
 
・広告文を定期的に見直し、ターゲットにマッチしているか検証する。
・クリック数のわりにコンバージョンにつながらない場合は、早急にターゲットの見直しを行う。
・ユーザーが検索したキーワードと、表示されるページ(リンク先)の内容が合っているか確認する。
・ランディングページの質を高める。たとえば、スマートフォン対応ページの製作や、ユーザーの負担になりがちな入力フォームの最適化といったページ設計の改善を講じ、利便性を高めることで離脱を防ぐ工夫をする。

CPAの目標設定の注意点

CPAはあくまでも施策の費用対効果を計測する指標であり、ただ抑えることだけを目標にしてはならない。CPAはターゲット層や対象となる商品・サービスによって変動するものであり、CPAを抑えることに意識を向けすぎると、ターゲット層を見誤る危険も。CPAは広告運用の一要素にすぎないことを踏まえたうえで、今回紹介したCPOやROI、ROASも意識しつつ、自社のビジネスモデルに合わせた適切な目標設定をすることが大切である。

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