アドネットワークとは?意味や仕組み、メリット、代表例、DSPとの違い


Writer:
山崎雄司
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アドネットワーク(Ad Network)とは、WebサイトやSNS、アプリなどのデジタルメディアを複数集めた広告配信ネットワークのこと。

アドネットワークとは


アドネットワークとは、複数の広告媒体(デジタルメディア)を束ねて作られた広告配信ネットワークであり、多数のWebサイトで効率よく広告を配信する仕組みのことである。一般的には、広告主が配信した広告がクリックされたタイミング、表示された回数、購入や問い合わせのタイミング、インストールしたユーザー数に応じて、メディア側に費用が支払われる仕組み。

アドネットワーク登場の背景


アドネットワークが登場する前は、広告主は広告を出したいデジタルメディアに対して個別で広告出稿を依頼する必要があり、それぞれ課金形態や入稿規定が異なるため、掲載可能な媒体の選定や広告枠の確保に手間がかかっていた。また、媒体側も広告主に対する営業活動や広告効果の報告をそれぞれ行わなければなかった。
こうした背景の下、日本では2008年頃にアドネットワークが登場。広告主や広告代理店がこれまで抱えていた課題が解決し、今ではオンライン広告には欠かせないアドテクノロジーとなっている。近年は、AI技術を活用した精度の高い広告配信や、データ分析によるターゲティングなどが発展し、さらなる進化が期待されている。

アドネットワークの代表例


GDN(Googleディスプレイネットワーク)

GDNは、Google広告の提供するディスプレイ広告のメニューのことだ。GmailやYouTube といったGoogleが提供するサービスへの広告掲載に加え、Google ディスプレイ ネットワークの200万以上のWebサイトやアプリに画像や動画、テキストなどを使った広告を配信できる。

YDA(Yahoo!ディスプレイ広告 運用型)

YDAは、Yahoo! JAPANが提供するディスプレイ広告メニューのことである。Yahoo! JAPANやYahoo!天気といったYahoo!関連のサービスサイトに加え、提携したパートナーや広告配信サービスを介して、さまざまなWebサイトやアプリに画像や動画付きで広告を配信できる 。出稿の目的(コンバージョン、動画再生、サイト誘導など)別に運用が可能である。

アドネットワークのメリット・デメリット


メリット

広告主側にとっては、多数のメディアに広告をまとめて配信したり、成果に応じて広告費を支払ったりすることで、個別に配信した場合と比較して広告費を抑えることができる。また、インプレッション数、クリック数、CTR(クリック率)、CVCVRなど、第三者が集計した信憑性の高い効果測定データを入手することが可能だ。他にも、サイトのジャンルを絞って広告と関連性のあるサイトへの配信が可能となり、リターゲティング配信、時間指定配信などを活用した効率的な広告運営ができる。


一方、媒体側はアドネットワークに加盟することで、サイトの規模を問わず広告枠を販売できるようになり、広告枠の在庫を抱える可能性が低くなるというメリットがある。

デメリット

広告主側にとっては、広告が競合他社と同じ場所に表示される可能性や、ターゲットとする顧客層に合わない場合がある点がデメリットといえる。時には広告の配信先として不適切な媒体に掲載されることもり、ブランド毀損や炎上のリスクも考慮しておきたい。また、アドネットワークごとに課金形態や入札システム、ターゲティング手法が異なるため、各アドネットワークに合わせた運用を行う必要が出てくる。

アドネットワークの注意点


広告が表示される媒体を選定する際には、広告主のターゲットとする顧客層と、媒体のターゲットとする顧客層が一致するかを確認することが重要になってくる。また、広告表示場所は、CTRやCVRなどの成果につながりやすい位置を選定したい。そして、広告が表示されるコンテンツやサイトを選定する際には、広告配信の規約やポリシーに従い、不適切なコンテンツやサイトに広告が表示されないような対策が必要である。

アドネットワークと類似する用語


アドエクスチェンジ

アドエクスチェンジ(Ad Exchange)とは、アドネットワークや各媒体が持つ広告枠を交換するシステムのこと。アドネットワークが、広告主と特定のアドネットワークに加盟する掲載媒体の間でのみ取引が行われる仕組みであるのに対し、アドエクスチェンジは、さまざまなアドネットワークや多数の掲載媒体をとりまとめて、媒体と広告主をつなぎ、入札・売買の役割をする仕組みだ。
アドエクスチェンジはインプレッション単位の課金形態(CPM)に統一されており、広告枠を効率的に管理することが可能である。


DSP(Demand Side Platform)

DSPとは、広告主が広告を最適化するためのプラットフォームのこと。アドネットワークは、複数のサイトを取りまとめた広告“ネットワーク”である一方、DSPは、複数のアドネットワークやアドエクスチェンジへの広告配信をワンプラットフォームで管理できる、広告主のための“ツール”である。DSPを利用することで、ターゲットの属性を絞った広告配信ができる。


SSP(Supply-Side-Platform)

SSPは、接続しているDSPやアドネットワークの広告の中から最適な広告(もっとも単価が高い広告)を自動で選んで配信してくれるシステム。DSPと接続することで、媒体側と広告主側双方の広告費用対効果向上を図ることができる。
アドネットワークは広告「枠」の最大化を図るもので、SSPは媒体側の広告「収益」の最大化を図るという点で違いがある。これを踏まえて、カバレッジ(Coverage/広告枠の全リクエスト数に対して実際に広告が配信された割合)に注目すると、アドネットワークはより多くのリクエストをカバーできる一方で、SSPのカバレッジは低い傾向がある。課金形態にも違いがあり、アドネットワークはCPC課金型(クリック課金型)が多く、SSPはCPM(インプレッション課金型)が多いといわれる。


アフィリエイト

アフィリエイト(affiliate)とは「成果報酬型広告」のこと。アフィリエイト・プログラムには、広告主となるオンラインショップやECモールなどの企業が独自にアフィリエイターを集めるケースのほか、広告主とアフィリエイターを仲介するASP(Affiliate Service Provider)を利用するケースがある。
アフィリエイトは成果報酬型の広告であり、成果が発生する条件(サービスの利用登録や商品購入等)を設定し、その条件を達成した場合のみ報酬が発生する。一方、アドネットワークは、IMPやクリック数に応じて広告費が発生する。

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