デジタルセールスとは
デジタルセールスとは、主にデジタルツールを活用してセールスを行う手法のことである。かつては対面での営業が中心であったが、時代の変化に伴いデジタル化が進み、インターネットやWebサイト、ソーシャルメディア、電子メールといったツールを活用した営業手法が広く用いられるようになった。購入後の定期的なやり取りも、オンラインで継続可能であり、顧客との長期的な関係構築に役立っている。
デジタルセールスが求められる背景
インターネットの普及
インターネットの普及により顧客行動のオンライン化が進み、情報収集はオンラインが中心となっている。商品・サービスのオンライン購入はもちろん、ソーシャルメディアを活用した企業と消費者の双方向のコミュニケーションも活発化しており、企業側もデジタルセールスに注力する必要性が高まっている。
テクノロジーの進歩
テクノロジーの進歩に伴ってDX化が急速に進み、CRM(Customer Relationship Management)やSFA(Sales Force Automation)などのデジタルツールやプラットフォームが数多く誕生している。これらを用いることで、顧客との対話や取引がより効率的に行われるようになり、新たなセールス機会の獲得につながっている。
データの重要性
ビッグデータやデータ分析の精度が上がり、企業は顧客行動や嗜好をより詳しく把握できるようになった。その分析結果に基づき、顧客のニーズに基づいた提案やマーケティングも実現できるようになっている。つまり、デジタルセールスにおいて、データは中心的な要素であるといえる。
競争の激化
インターネットの普及に加え、低コストでの運用が可能なデジタル広告プラットフォームの普及によって、企業間の競争が激化している。競争力の維持や潜在顧客のナーチャリング、そして新たな市場シェアを獲得する手段として、デジタルセールスの活用がカギとなっている。
リアルタイムのコミュニケーション
SNSやオンラインコミュニケーションツールの普及に伴い、企業と顧客との対話をリアルタイムで行えるようになった。こうしたリアルタイム性の高いデジタルツールを用いることで、より効果的なセールスの実現が可能となる。
グローバル市場へのアクセス
デジタルプラットフォームの活用によって、企業は地域を越えたグローバルな市場へとアクセスしやすくなっている。ビジネスの海外展開や、新たな顧客層を開拓する手段として、デジタルセールスが活用されている。
新型コロナウィルス(COVID-19)
新型コロナウィルス感染拡大の防止策によって、多くの人たちが日常生活において対面での接触を避けるようになった。この影響でオンラインでの購買が急速に一般化したほか、企業ではリモートワークが浸透し、ビデオ会議用のアプリを用いたミーティングや顧客との商談など、オンラインのコミュニケーションが増加。こうした背景もデジタルセールスの急速な普及に寄与している。
顧客のデジタルシフト
インターネットやスマートフォンの普及に加え、前述の通り、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、顧客の情報収集の方法や購買チャネルのオンライン化が進んだ。こうした顧客のデジタルシフトに適応すべく、企業側も顧客ニーズに合ったデジタルチャネルを提供するようになった。
デジタルセールスのメリット
広範なリーチ
デジタルセールスは地理的制限がないため、国内外問わず幅広い潜在顧客にリーチが可能だ。また、インターネット環境が整っていれば、自宅でもコワーキングスペースでも場所を問わず、セールス活動が可能となる。
迅速な実行
デジタルセールスの戦略は、迅速な実行が可能である。たとえば、オンライン広告やソーシャルメディアキャンペーンのデータ分析がリアルタイムでできるため、戦略の最適化をスピーディーに実行できる。
パーソナライズされたマーケティング
デジタルセールスは、顧客データを活用し、顧客一人ひとりにパーソナライズされたメッセージを提供できる。顧客の好みやニーズに合わせた提案をすることで、カスタマーエンゲージメントを高めることが可能。
リアルタイムコミュニケーション
SNSや自社のチャットボットといったデジタルツールは、リアルタイムでの顧客とのコミュニケーションを実現する。こうしたツールを用いて顧客とコミュニケーションを図り、質問や要望に迅速に対応することで、顧客満足度を向上させることができる。
競争力の向上
デジタルセールスは、競合他社との競争においても優位性を確立しやすい。また、効果的なデジタルセールス戦略に積極的に取り組む企業は、顧客からも注目されやすいため、競争力の向上につながる。
効果的な顧客関係構築
デジタルセールスの活用は、長期的な顧客関係の構築にも有効である。顧客との継続的なコミュニケーションと、パーソナライズされた体験価値を提供することで、カスタマーロイヤルティを高められる。
インサイドセールスとの違い
デジタルセールスとインサイドセールスは、両者ともデジタル技術を活用したセールスであるが、目的が異なる。
デジタルセールスは、MA、CRM、SFAなどのツールを活用し、これまでの営業方法をデジタル化することを目的としている。特に、営業プロセスにおける初期~中期ごろまでの段階に焦点を当てたものである。
一方、インサイドセールスは、電話やメール、Web会議システムなどを用い、顧客と直接対面することなく価格交渉や契約締結などを行う手法である。主にリードナーチャリングを目的としており、営業プロセスにおける中間以降を担当することが多い。なお、内勤の活動が多いため「インサイドセールス」と呼ばれており、外回りの営業は「フィールドセールス」や「アウトサイドセールス」などと呼ばれる。