デジタルプラットフォームとは?意味や特徴、種類、問題点、取引透明化法
- Writer:
- 山崎雄司
デジタルプラットフォームとは、IT技術やデータなどのデジタル技術を活用するための動作環境のこと。
デジタルプラットフォームとは
デジタル技術を活用して、ユーザーや事業者、デバイスやアプリケーションなどのさまざまな要素を結びつける基盤となるシステムやサービスのこと。ECモールや予約サービス、人材マッチングサービス、シェアリングサービス、フリマサービスなど、さまざまな種類がある。デジタルプラットフォームは、現代のビジネス環境や消費者の行動において中心的な役割を果たしており、多くの産業や業界に影響をもたらしている。
デジタルプラットフォームの特徴
利便性の向上
デジタルプラットフォームは、技術的な基盤によって大量のユーザーやトランザクションを迅速に処理できる。たとえば、これまで電話やFAXなどで行っていたようなさまざまな取引が、デジタルプラットフォームを介することでよりスムーズに行えるようになる。
多様な結びつきを創出する
デジタルプラットフォームは、ユーザー、開発者、サプライヤーなど多様な人々を結びつける役割を果たす。これにより、相互に連携し価値を提供し合うエコシステムが形成される。
イノベーションとアジリティ(機敏性)
デジタルプラットフォームは、新しい機能やサービスを迅速に導入・更新できる特性を持っている。これにより、市場の変化に迅速に対応することが可能になる。
ネットワーク効果
一般に、プラットフォーム上のユーザー数が増えると、ユーザー間の相互作用やデータの蓄積によって生じる効果により、プラットフォームの価値やSEOが向上する。たとえば、ソーシャルメディアは、ユーザー数が増えるほど他のユーザーにとっての価値も増加する。
データの活用
デジタルプラットフォームは、ユーザーの行動やトランザクションから得られる大量のデータを収集・分析することを可能にする。このデータにより、ビジネスの意思決定や新しいサービスの開発に役立てることができる。
主なデジタルプラットフォームの種類
1.クラウドサービス
・SaaS(Software as a Service)
SaaSとはSoftware as a Serviceの略で、クラウドサーバーにあるソフトウェアを、インターネットを経由してユーザーが利用できるサービスのこと。GmailなどのWebメールや、ZoomなどのWeb会議システム、顧客管理(CRM)プラットフォームのSalesforceなどが代表的。「サーズ」や「サース」と呼ぶ。
・PaaS(Platform as a Service)
PaaSとはPlatform as a Serviceの略で、アプリケーションソフトの開発や実行するためのプラットフォーム。Amazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、Google Cloud Platform(GCP)など。「パース」と呼ぶ。
・IaaS(Infrastructure as a Service)
IaaSはInfrastructure as a Serviceの略で、ネットワークやサーバーなどのコンピューティングリソースを利用するサービス。ユーザーはリソース構成を自由に選択し、その上に任意のアプリケーションを構築することができる。Amazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、Google Cloud Platform(GCP)などが代表的。「イアース」や「アイアース」と呼ぶ。
2.コミュニケーションプラットフォーム
・ソーシャルメディアプラットフォーム
Facebook、X(Twitter)やLINEといったSNSプラットフォーム。
・コミュニケーションプラットフォーム
WhatsApp, LINEといったメッセージをやり取りするプラットフォーム。
3.取引プラットフォーム
・eコマースプラットフォーム
オンラインでの商品の購入・販売を仲介するプラットフォーム。Shopify、Wixなどに代表される。
・オンラインマーケットプレイス
売り手と買い手が自由に参加できる、インターネット上の取引市場のこと。eマーケットプレイスとも呼ばれる。Amazonマーケットプレイス、eBay、Yahoo!ショッピング、楽天市場など。
・アプリストア
アプリケーションやソフトウェアを、開発者とエンドユーザーの間で流通させるプラットフォーム。AppleのApp StoreやGoogleのGoogle Playなど。
4.コンテンツ&メディアプラットフォーム
・動画ストリーミング
動画を配信するプラットフォーム。YouTube, Netflix, Amazon Prime Videoなど。
・音楽ストリーミング
音楽を配信するプラットフォーム。Spotify, Apple Music, SoundCloudなど。
デジタルプラットフォームの問題点と課題
セキュリティとプライバシー
デジタルプラットフォームは、大量のユーザーデータを扱うため、セキュリティやプライバシーの管理が非常に重要になっている。
デジタル格差
デジタルリテラシーやアクセシビリティ対策の状況によって、デジタルプラットフォームの利用が制限される場合がある。経済的な格差や地理的な制約の解消が、デジタルプラットフォームの普及や活用における課題となっている。
デジタルプラットフォーム取引透明化法
デジタルプラットフォームにおける取引の透明性と公正性の向上を図る「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律」が2020年5月に成立し、2021年2月1日に施行された。この法律では、デジタルプラットフォームの提供者に、利用者に対する取引条件の開示や変更等の事前通知を義務付け、違反した場合の罰則規定を設けている。また、行政庁側は、デジタルプラットフォーム提供者の運営状況についてレビューし、結果を公表することで、デジタルプラットフォームにおける取引の透明性と公正性を図ることが定められている。なお、独占禁止法違反のおそれがあると認められる事案は、公正取引委員会へ措置を請求することとなっている。