インバウンドマーケティングとは?意味や方法、アウトバウンドマーケティングとの違い


Writer:
山崎雄司
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インバウンドマーケティングとは、消費者の自発的なアクションを促すことにより、購買意欲やブランドへの愛着心を高めるマーケティング手法のこと。

インバウンドマーケティングとは


インバウンドマーケティングとは、広告などを通して集客する手法ではなく、顧客のタイミングで自社を発見してもらう、顧客主導型のマーケティング手法。顧客のニーズや興味に合わせたコンテンツ、体験などを自然な形で提供することで、潜在顧客や見込み顧客との信頼関係を築いていく。米国HubSpot社のCEOらが初めて提唱したマーケティングコンセプト。

アウトバウンドマーケティングとの違い


インバウンドマーケティングが顧客主導型(プル型)であるのに対し、アウトバウンドマーケティングは企業主導型(プッシュ型)である。不特定多数を対象に、企業側から一方的に広告や情報提供などの販売促進活動を行い、顧客を獲得する。具体的には、テレビやラジオのCM、新聞や雑誌の広告や折り込みチラシ、テレマーケティング、DM、展示会、雑誌広告、バナー広告などがアウトバウンドマーケティングに該当する。

インバウンドマーケティングのメリット


顧客との信頼関係を構築しやすい

インバウンドマーケティング最大のメリットは、企業主導の一方的なアプローチではないため、顧客との信頼関係の構築が比較的容易にできることだ。顧客のタイミングで発見してもらい、コンテンツマーケティングやソーシャルメディアを通じて愛着心が高まることで顧客自ら行動してくれるようになるため、自然な顧客化が図れると同時に、長期的な顧客の獲得につながりやすい。

費用対効果が高い

高額な費用を要する一過性の広告と異なり、顧客自身が企業への好感度が高い状態でアプローチしてくれるため、CVR(コンバージョン率)が高く、顧客獲得コストが低くなる傾向がある。


効果を測定しやすい

インバウンドマーケティングは、ブログやソーシャルメディアを用いるため、Webで簡単に効果測定ができる。具体的には、インプレッション数(表示回数)、セッション数(訪問数)、クリック数、PV数(閲覧数)などがある。効果測定が簡単にできるとPDCAサイクルを回しやすくなり、より効果的な施策の立案が可能となる。


インバウンドマーケティングのデメリット

  

効果が出るまで時間を要する

アウトバウンドマーケティングでは、広告出稿によって素早く認知を拡大させることが可能であるのに対し、インバウンドマーケティングは、効果が出るまでに時間がかかる。そもそも顧客に見つけてもらうまでに時間がかかる場合も多く、そのうえで顧客との信頼関係を築いていくには、継続的なコンテンツの提供など中長期的な視点での運営が必要となる。

SEO対策が重要

顧客自ら見つけてもらうためには、SEO対策が欠かせない。検索エンジンで上位表示させるには、アクセスしてもらうためのキーワード設計のほか、購買意欲を盛り上げるような質の高いコンテンツを発信する必要がある。SNS、ブログ、メルマガ、動画など、メディアごとのSEO対策が重要であり、競合が激しい分野では多大な努力が必要になる。

インバウンドマーケティングとコンテンツマーケティング

 
インバウンドマーケティングにおける一つの手法が、コンテンツマーケティングである。広告などではない有益な情報(コンテンツ)を使ったマーケティング活動のことで、顧客の求めているコンテンツを継続的に出すことで、自然検索やソーシャルメディアからの集客を図り、見込み客から顧客、そしてリピーター客となるように促す。コンテンツの内容としては、「自社サイトにブログ記事を掲載」「成功事例の紹介」「ホワイトペーパーの配布」「動画作成」など、さまざまな種類が存在する。


インバウンドマーケティングの4つのステップ 


1. 認知の獲得

潜在顧客からの認知を獲得するため、ターゲットとなる顧客層が興味を持ちそうなコンテンツを作成し、Webサイトやソーシャルメディアなどで配信することで集客する。
顧客ニーズを把握するためには、カスタマージャーニーマップが有効。また、SEO対策を行うことで自然検索における上位表示を狙うと同時に、効果測定データを取得し改善策を図ることで、より効果的な集客につながる。


2.集客した潜在顧客をリード化する

認知獲得後は、「再びこのサイトに訪れたい」と思ってもらえるような、ユーザーのコンテンツを提供し続けることで継続的なタッチポイントを作り、Webサイトの訪問者および潜在顧客をリード(見込み客)へと育成する。具体的には、潜在顧客にとって知りたい情報は何かを想像し、その課題を解決するような役立つコンテンツ制作が基本となる。
このとき、メールマガジンやホワイトペーパーなどのコンテンツを提供する代わりに、基本的な顧客情報(メールアドレスや名前など)を収集するフォームを設置すると良いだろう。

3. リードを育成し、自社を選んでもらう 

見込み顧客へと育成したあとは、より具体的な自社商品・サービスの情報を提供するなど、購入の後押しや根拠となるようなコンテンツを制作し、自社商品を選ぶ意志を固めてもらう。動画を用いて実際の顧客による使用事例を発信するなど、利用時のイメージを疑似体験してもらえるようなコンテンツが有効。

4. ファン化させる

顧客化のあとは、既存顧客が求めているコンテンツや体験を創出することで、継続的にフォローアップし、ファン(ロイヤルカスタマー)へと育成する。たとえば顧客向けイベントを開催したり、アフターフォローなどの顧客サポートを充実させたりすることで、リピートやアップセルを促進する。
認知から購買に至る顧客の一連の流れを図式化したマーケティングファネルに対応する形で、顧客の興味や関心に合わせた情報提供を行うことで、顧客との信頼関係を構築し、長期的な顧客獲得につなげることができるだろう。


インバウンドマーケティングの成功事例


事務管理などのSaaS型フィンテック企業の場合

動画やスライド等により製品を解説し、商品導入事例の紹介ページ、スタッフブログ、代表者ブログなど、視聴者が惹きつけられるコンテンツを配信。TwitterやFacebook、公式YouTubeチャンネルなどのSNSも積極的に利用することで、単なる商品紹介に留まらず、潜在顧客やリードを惹きつけることに成功した。

人材採用プラットフォーム企業の場合 

オウンドメディアから多くのリード創出に成功した。元はテレアポというアウトバウンドマーケティングで成長してきた企業であったが、5年間でテレアポ中心のマーケティングから脱却し、年間で数万件の法人リードをインバウンドで獲得できる組織へと変化した。

インバウンドマーケティングに注目が集まる背景

  
メディアでの広告やDM、テレマーケティング、新聞や雑誌広告などで情報を手に入れていた時代とは異なり、インターネットやスマホの普及によってあらゆる情報を顧客自ら取りに行けるようになった。多様で膨大な情報があふれる時代に、自分が求めていない情報を一方的に提供されることを不快に感じる人も増えている。
こうした消費者の行動変化を背景に、消費者が求める情報やモノ、サービスを企業が見極め、押し付けることなく提供し、顧客のタイミングで見つけてもらうインバウンドマーケティングに注目が集まっている。

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