マーケティングツールとは?意味や種類、メリット、比較のポイント


Writer:
山崎雄司
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マーケティングツールとは、企業が製品やサービスを販売するためのマーケティング活動をサポートし、効率的に行うための支援ツールのこと。

マーケティングツールとは


マーケティングツールとは、市場調査や製品・サービスの販売促進、見込み顧客の開拓、顧客情報や商談情報の可視化といった、マーケティングにおけるさまざまな活動業務を効率化・自動化するための支援ツールのこと。これまで人的労力がかかっていた活動を仕組みとして自動化することで、効率的かつ効果的にマーケティング活動を行うことができるようになる。マーケティングの目的や活用プロセスにより、さまざまな種類のマーケティングツールがある。

マーケティングツールを使うメリット


効率の向上

顧客情報の管理や分析、市場調査や見込み顧客の開拓等マーケティングにはさまざまな施策があるが、いずれも膨大な情報の取得や管理が必要となり手間のかかる業務が多い。これらの煩雑で膨大な業務を自動化できる機能が搭載されているのがマーケティングツールである。キャンペーン案内や進捗管理、顧客情報の収集及び一元管理、メールマーケティングなどといったさまざまな施策を自動化することができるため、圧倒的に少ないリソースで多くのマーケティング業務の処理が可能となる。

データの収集と分析

企業では紙やデータなどさまざまな媒体で顧客情報を保持していることが多く、さらに管理する部署が別である場合も多い。しかしマーケティングツールを活用すれば、顧客の属性情報はもちろん、行動履歴やトラフィックの流入元、コンバージョン率といったさまざまなデータを集約し、必要な情報を効率的に収集、分析、活用することができる。さらにマーケティングツールで一元管理された情報は、部署間の連携や情報共有だけでなく、さまざまな分析結果に基づいた効果的なマーケティング戦略の立案にも役立つ。

ターゲティングの精度向上

マーケティングツールでは、顧客の属性情報だけでなく、行動履歴や購買情報なども管理することができる。それらの情報を分析することで、パーソナライズされたコンテンツやキャンペーンなどターゲット顧客のニーズに即した施策を打つことができる。また、ツールのなかには設定したスケジュールに応じて特定の顧客の行動履歴をもとに自動で施策を行うものもある。収集した情報を元に顧客のニーズ分析を行い、ターゲティングの精度を向上させ見込み客の取りこぼしを防ぐ機能があるのも、マーケティングツール導入の大きなメリットといえるだろう。

マーケティングツールの種類


SEOツール

Webサイトの自然検索で上位に表示させたり、ランキングを向上させたりするために必要な、改善や効果的な戦略をサポートするためのソフトウェアやオンラインサービスのこと。競合サイトへの流入キーワードの分析や必要な要素を抽出することができるため、Web集客に必要なデータを収集・分析するのに役立つ。Google Keyword Plannerなどが代表的。

Web広告ツール

Google Adsやソーシャルメディア広告ツールなど、Web上の広告運用にまつわる作業を自動化するソフトウェアやオンラインサービスのこと。Web広告のキャンペーン作成や進行管理などといった運用に関わる業務を担うものが多いが、最適化や状況分析なども行うツールもある。

広告効果測定ツール

Web広告施策のCV数やアクセス数、サイトへの流入数などの効果測定を行う上で重要なツール。Web広告の効果測定だけでなく、接触したユーザーの属性情報や行動履歴、サイト内での遷移状況といったさまざまな情報を計測・分析することができる。Web広告の効果測定は施策の成否を判断する重要な材料となるため、Webマーケティングにおいては特に利用者の多いツールである。

アクセス解析ツール

Webサイトやアプリなどに接触、訪問したユーザーの、行動履歴や流入経路を追跡、測定するためのソフトウェアやオンラインサービスのこと。ユーザーの年齢や性別といった属性情報を取得するものもある。

ABMツール

ABM(Account Based Marketing:アカウント・ベースド・マーケティング)ツールは、BtoB企業向けのマーケティングのサポートをするもので、企業全体を顧客として取り扱い管理するソフトウェアやオンラインサービス。企業の業務内容や業績など、さまざまな企業情報を登録した企業データベースを利用して行うことが特徴だ。業務内容や過去の取引実績等、企業に関するさまざまな情報を元に、自社にとって最適なターゲットを特定する。ツールによっては、スコアリングで優先順位をつけたり重要人物にフォーカスしたりしてアプローチできる機能を持つものもある。

MAツール

MA(Marketing Automation:マーケティングオートメーション)ツールは、主に顧客育成に関するマーケティング活動を自動化しておこなうためのもの。顧客情報を管理するとともに、属性やWeb上の行動履歴などを分析し、それぞれのニーズにあったアプローチを自動で行うことができるのが大きな特徴。役割としてはリードジェネレーションからリードナーチャリング、さらにはマーケティング施策の分析を担うものが多く、メールマーケティングや顧客行動の情報管理、効果測定などといった機能を有する。


SFAツール

SFA(Sales Force Automation:セールスフォースオートメーション)ツールは、主に営業活動の進捗状況や商談開始から成約までのプロセスなどを管理し、可視化して共有するためのもの。日本語では「営業支援システム」とも呼ばれ、主に営業担当者の活動に特化したものが多い。登録情報の閲覧対象を指定したり、見積書などを作成したりすることができるものもある。部署や担当を越えて顧客情報を共有することで幅広いマーケティング戦略の展開を可能にし、成約率の向上を上げる狙いで導入されることもある。


CRMツール

CRM(Customer Relationship Management:カスタマーリレーションシップマネジメント)ツールは、顧客に関する情報を一元化し管理するツール。顧客の属性情報はもちろん、販売履歴やイベントなどへの参加履歴、問合せ内容など顧客に関するすべての情報を集約し記録する。BtoBビジネスの場合は、企業情報や営業担当のアプローチ履歴、商談の進捗状況などもまとめて確認することが可能だ。蓄積されたデータを元にOne to Oneコミュニケーションを図り、効率的に顧客との関係性を深めていくためには、欠かせないツールである。


CDPツール

CDP(Customer Data Platform:カスタマーデータプラットフォーム)ツールは、顧客情報の管理全般を担うツールのことで、CRMツールでは対応しきれない膨大なデータを扱うことが特徴。顧客の属性や思考、行動履歴などについて詳細なデータを収集し、顧客ごとにID管理を行う。主にBtoCビジネスで活用される。顧客情報の管理に特化しているため、メール送信などといった付加機能は重視されないことが多い。


BIツール

BI(Business Intelligence:ビジネスインテリジェンス)ツールは、企業や組織が行うさまざまな活動から得られる膨大なデータ(ビックデータ)を収集・蓄積し、そこから必要なデータを自動的に抽出・加工することができるもの。分析結果をグラフなどの形式で可視化できるものもある。データの収集及び活用・分析には専門知識が必要だが、BIツールを用いることで誰もが高度な分析やデータの活用ができるようになった。


マーケティングツールの比較・検討のポイント


目的と目標の明確化

マーケティングツールはツールごとにその目的・機能が多岐にわたる。たとえば、Webサイトの流入率を上げたいならSEOツールやWeb広告ツール、営業活動を効率化したいならSFAツール、顧客満足度の向上を目的とするならMAツールやCRMツールといったように、その目的によって導入すべきツールは異なる。取り組む目的を明確にし、優先順位をつけてから導入の検討を始めよう。

予算

マーケティングツールの導入には、予算を考慮して費用対効果を出せるコストパフォーマンスの良いツールを選ぼう。導入コストが効果以上になってしまえば本末転倒だ。機能が多くなるほどコストも高くなるため、自社にとって何が必要なのかをしっかりと見極めたい。またツールの利用料だけでなく、運用していくためにかかる教育費や設定時間などといった間接的なコストも考慮する必要がある。

機能とカスタマイズ性

対象としている顧客や導入の目的に合った機能がそろっているか、自社の希望に沿っているかを検討しよう。使わない機能が多いツールを導入しても持て余してしまうため、複数のツールを比較し最も使いやすいものを選定する。感覚的に使いやすいものを選べば教育にかかるコストを削減できるということも。また、今後の方針転換やビジネスの成長に合わせてカスタマイズできるか、マーケティングツールの拡張性も確認しておきたい。

統合と互換性

すでに導入している他のツールやシステムとの互換性があるか、統合がスムーズに行えるかどうかを確認しよう。ツールを単一で考えてしまうと、横断的なマーケティングプロセスの改善が難しくなるうえ、現場の負担も増える。マーケティングツールの導入にはコストもかかるため、必要最小限の工数で目的を実現するためにも、既存システムとの互換性や機能連携は欠かせない要素である。

サポート

マーケティングツールの提供元がしっかりとしたサポート体制をとっているかを確認しよう。マーケティングツールを提供する会社によってサポート体制が異なるため、特に初めて導入する際はできるだけ細やかな対応をしてくれるツールを選ぶことをおすすめする。海外製のツールの場合、日本語対応をしていなかったり問合せに時間がかかったりする場合もあるため、注意が必要だ。

トライアル期間の有無

多くのツールはトライアル期間として、無償でツールを使用できる期間を設けているため、契約前にぜひ使用感を確かめたい。自社に合ったツールは備えているか、使いづらい点はないか、余分な機能が多く搭載されていないかなどを、実際に使用しながら確認していく。

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