今さら聞けない「MA(マーケティングオートメーション)」 - デジタル時代を生き抜く基礎知識


Writer:
山崎雄司
  • facebook
  • Twitter
  • LINE

デジタルマーケティングに携わっていれば、ここ数年で頻繁に登場する「MA(マーケティングオートメーション)」という言葉を聞いたことはあるだろう。しかし、その意味や重要性、そして具体例などについて、きちんと説明できる人は少ないのではないだろうか。今回はBtoC事業者とBtoB事業者それぞれにおけるMAの活用について、デジタル時代を生き抜くために、絶対に外せない基礎知識のおさらいをしてみよう。

目次


1.MA(マーケティングオートメーション)とは
2.MA(マーケティングオートメーション)が必要となった背景
3.MA(マーケティングオートメーション)の主な機能
4.MA(マーケティングオートメーション)導入のメリット
5.MA(マーケティングオートメーション)導入時の注意点
6.BtoC・BtoBにおけるMA(マーケティングオートメーション)導入目的の違い
7.MA(マーケティングオートメーション)で設定すべきKPI・KGI
8.MA(マーケティングオートメーション)とCRMの違い
9.MA(マーケティングオートメーション)の選定方法
10.主なMA(マーケティングオートメーション)ツールの紹介
11.MA(マーケティングオートメーション)の具体的な流れ
12.MA(マーケティングオートメーション)の導入スケジュール
13.MA(マーケティングオートメーション)運用時の課題と解決策
14.MA(マーケティングオートメーション)の導入事例
15.デジタル時代を生き抜きMA(マーケティングオートメーション)を活用するために

MA(マーケティングオートメーション)とは


オートメーションとは日本語で“自動化”のこと。企業のマーケティングを“自動化”するのがMAの役割である。つまり、マーケティング施策の実施過程で発生するメール配信やウェブサイト訪問者の分析といったさまざまな単純作業を自動化し、効率化を図るためのシステムだ。



MA導入の目的は、業界によってさまざまである。例えば、ECサイトであれば購入顧客に対するフォローアップによる顧客育成、アパレルであれば実店舗とECを併用したキャンペーンによる購買頻度の向上などだ。いずれの業界においても、MAを活用することで顧客と個別にコミュニケーションを取ることが可能になるため、顧客ロイヤリティの向上が見込める。

MA(マーケティングオートメーション)が必要となった背景


では、なぜMAが必要になったのか。その理由をBtoC・BtoB別に見ていこう。

BtoC MAの背景


1つ目は、顧客が接するチャネルの多様化に対応するためだ。インターネットやSNSの普及により、顧客が商品やサービスを購入する前に自ら情報を集めることが可能になった。それに伴い、企業が対応すべきコンタクトチャネルも増加している。たとえばDM・はがき・イベントのようなリアルなものから、メール・ウェブ・SNS・アプリといったオンラインのものまで顧客との接点は多岐に渡る。しかもそれがさまざまなデバイスにて行われているのだ。2つ目は、多様で膨大なデータを用いたマーケティングを簡素化するためである。以前はすべての消費者に対して同じ手法で行われるマスマーケティングが主流だったが、現在では顧客一人一人に役に立つ情報を、適切なタイミングで、最適なコンテンツとして届ける“One to Oneマーケティング”を行う必要がある。顧客一人一人のニーズを把握し、個々人に合わせたアプローチが不可欠となった今、その実現を期待されるのがMAなのである。

BtoB MAの背景


1つ目は、見込み顧客が少なく購買に至るまでの期間が長いためだ。BtoBでは企業を相手にするのでリードの総数が少ない上、社内の意思決定が絡むので購買検討時間も長い。そのため、BtoBでは少ないリードに対して適切なマーケティングを継続的かつ効率的に行う必要があるのだ。BtoCと比べてリピート率も高いので、顧客一人一人を大切にすることも重要になってくる。2つ目は、アプローチの手法が時代と共に変化しつつあるためだ。BtoBではこれまで営業による情報提供が主流だったが、現在はどの企業でも事前にWeb上で情報収集を行うことが普通になった。現在でも営業によるアプローチは行われているが、顧客が営業と接する前に商品やサービスのリサーチを終えていることも多い。自社製品を認知し検討してもらうためにも、MAを用いた効果的なマーケティングが必要とされているのだ。

MA(マーケティングオートメーション)の主な機能


MAツールには、業務効率化や顧客育成を行うための機能が多数備わっている。その主な機能をBtoC・BtoB別に見ていこう。

BtoC MAの機能


1.データ統合機能


顧客情報や購買履歴、アクセスログやアンケート結果などのあらゆるデータを統合する。MAの基礎となるもので、csvによる自動取り込みやシステム連携などを用いて統合を行う。これにより、膨大なデータであっても取得・分析しやすい形で一元管理できるようになる。

2.データ分析自動化機能


統合されたデータのうち必要なものに素早くアクセスし、各種データを横断した分析を自動化し容易に行う機能である。売上集計や広告効果分析、継続分析のほか、データの種別にとらわれない柔軟な分析が手軽かつスピーディに行えるようになる。

3.マーケティング自動化機能


顧客の属性やランクなどの情報から様々なセグメントを作成し、メールを自動配信する機能。人の手では手間のかかるステップメールなども自動化できる。上記以外にも、施策結果のレポート作成機能やサービス向上に活用できるアンケート機能など、業務効率化と合わせて顧客の育成が行える機能を多数有している。

BtoB MAの機能


1.フォーム作成機能


商品・サービスに関する問合せや資料のダウンロード、セミナーの申し込みなどを行えるフォームをWebサイト上に作成する機能。これにより申込者(リード)の名前や企業名、メールアドレスなどのプロフィールがMAのデータベースに記録される。また、Webページやホワイトペーパーなどのコンテンツ作成機能が付属しているサービスも存在する。

2.リード管理機能


フォームなどを通じて獲得したリードの情報を管理する機能。行動履歴を参照できるほか、レポーティング機能が付属しているものも多く、マーケティングに役立てることができる。ひとつの企業に対して複数のリードがある場合でも、企業単位で管理できるとより便利である。

3.スコアリング機能


リードの行動や属性をスコアリングし、見込み顧客の選別を行う機能。資料のダウンロードであれば5点、セミナー参加者であれば10点といったようにスコアを設定することで、リードの興味関心度合いを可視化できる。上記以外にも、メールを自動化するメール配信機能や見込み顧客ごとに異なるアプローチを可能にするシナリオ機能など、マーケティングを効率的かつ効果的にするための機能を多数有している。

MA(マーケティングオートメーション)導入のメリット


それでは、MA(マーケティングオートメーション)のメリットを具体的に見ていこう。

1.データ取得時間の短縮化
2.属人化からの解放
3.作業負担の軽減


MAができることは、第一に「膨大なデータの管理」である。マーケティングにおいて欠かせない“ビッグデータ”は、情報技術の進展や、データを蓄積する記憶装置の大容量化および情報端末の多様化により注目されてきた。しかし、現場レベルで十分に活用できている企業はまだ少ないのではないだろうか。というのも、ビッグデータの活用には「データ抽出」「レポート作成」「メール配信」といった単純作業がつきものだからである。従来的なツールをそれぞれ単独で使用している場合、ツール間をつなぐ作業から人手を要してしまう。しかしMAの導入によって、この作業を自動化することにより、よりクリエイティブなマーケティング作業へ時間を費やせるようになるだろう。このようにビッグデータを一元管理することで、見たいデータを手軽かつ迅速に参照・抽出できるようになり、人力に頼っていた部分の自動化が可能となる。従来の方法では顧客数の増加に比例して作業負担も増えてしまうことが問題となるが、MAの活用でこの点が改善され、顧客数が増えてもスムーズに施策を行えるようになるのだ。マーケティングにおけるPDCAの高速化には必要不可欠といえるだろう。また、MAは「顧客ロイヤリティ向上」による収益化の実現が期待できる。前述の通り顧客との接点が急増し多様化する現代、マーケターは自社ブランドをどのように確立していくか、そしてそれをどう収益化するかという問題に直面しているだろう。多様なチャネル、デバイスを自由自在に使いこなす顧客に対し、どの接点でもパーソナライズされた一貫した顧客体験が期待されるのが現在のトレンド。MAを導入することで、常にパーソナライズされた情報を適切なタイミングで自動的に届けることができるようになり、結果的に顧客ロイヤリティを上げ、収益につなげることが期待できるのだ。また、データの分析機能によってマーケティング効果を客観的に顧みることができるので、経営判断に際し対策を打つことができるのもメリットの一つだろう。

MA(マーケティングオートメーション)導入時の注意点


それでは、MA(マーケティングオートメーション)導入時の注意点を具体的に見ていこう。

1.効果が出るまで時間がかかる
2.人材を確保する必要がある
3.導入後のアップデートが必須


オートメーション(自動化)の言葉から受ける印象もあり誤解されやすいが、注意点として押さえておきたいのが、MAは急速に効果が出るものではないという点だ。導入までのステップも複数あるため、運用開始までは半年ほど見積もっておいた方がいいだろう。また、ただMAツールを導入して終わりではなく、その後も定期的なアップデートが必要となる。マーケティング未経験者ではツールをうまく扱えないケースがあるため、経験者をアサインするほか、人材の育成を踏まえたスケジューリングを心がけるようにしたい。これらはMAだけでなくマーケティングツール全体にいえることだが、ツールを使いこなすのはあくまでも人間である。データをもとに顧客に合わせた最適なシナリオを設計し、PDCAを回して改善していくことが、MA導入成功への近道なのだ。

BtoC・BtoBにおけるMA(マーケティングオートメーション)導入目的の違い


MAはBtoCとBtoBのいずれも内包した用語であるが、その目的や内容には違いがある。



BtoCにおいては、上図のように主に販促強化や作業の効率化を目的に活用される。例えば、商品サンプルの購入者に対して経過日数ごとにメールを自動送信し、その後購入したかどうかなどでシナリオを分岐させ、それを元に施策を組み立てていく。BtoCはBtoBと比較して顧客数が非常に多く、メールやSNSなどのコンタクトチャネルも多様化しているので、人力では効率的な運用が難しい。そのため、顧客ごとに最適なシナリオを設計しながら効率化が行えるMAが注目されているのだ。一方BtoBにおいては、主にリードナーチャリングを目的に活用される。過去の取引や契約内容などを顧客データに紐付けてセグメント分けを行ったうえで、行動履歴に応じたスコアリングを設定し、適切なコンテンツを提供し続けることで見込み顧客を育成する。BtoBはBtoCと比較して検討期間が長く継続的な情報提供が必要なため、顧客の興味度合いをスコアリングで「見える化」することが重要になるのだ。

MA(マーケティングオートメーション)で設定すべきKPI・KGI


MAツールは導入して終わりではなく、目標設定と効果検証を繰り返して運用を改善していくことで徐々にその効果を発揮する。そこで必要となるのが、目標の達成度合いを計るためのKPIとKGIだ。KPIはKey Performance Indicatorの略で、日本語に訳すと「主要業績評価指標」となる。目標達成までの中間地点であり、複数設定されることが多い。BtoCの場合はアクセス数や申込数、メールマーケティングであれば到達数や開封数などが設定される。BtoBの場合は資料ダウンロード数や獲得したメールアドレス数、セミナーであればその申込数や参加者数などが設定される。一方KGIはKey Goal Indicatorの略で、日本語に訳すと「重要目標達成指標」となる。こちらは最終目標であり、売上や販売数などが設定される。このKGIを達成するための中間地点として、KPIが用いられる。BtoCの場合は購入数やフォロワー数、BtoBの場合はリード獲得数や商談化率などが設定される。最終ゴールとなるKGIだけを設定したのでは、なぜその結果になったのかという過程が不明瞭で、正しい評価を行うことができない。どの部分がボトルネックになっているのか、また、成果が出た場合にはどの部分が効果的であったかなどの知見を蓄積することで、その後の施策の精度は大きく変わってくる。社内やチームの方向性を統一しやすいというメリットもあるため、KPIとKGIは必ず設定するようにしたい。

MA(マーケティングオートメーション)とCRMの違い


MAを正しく活用するために、CRMについても理解しておこう。MAの類似ツールとして挙げられることも多いCRMは、MAとは異なる特徴を持っている。これらは、顧客データを統合し活用しやすくするMA、獲得した顧客情報を管理するCRMというように、マーケティングの段階に応じて使い分けられる。

1.MAによるデータ統合と顧客育成


MAは顧客データの統合から始まり、マーケティングの自動化や販促強化にも活用される。ECサイトの閲覧やサンプルの購入など顧客の行動ごとにシナリオを分岐させ、数値化された興味の度合いをもとに適切なアプローチを行い、顧客を育成していく。

2.CRMによる顧客関係の向上


CRMは、顧客との関係を構築・管理するためのツールである。顧客満足度やロイヤリティの向上を通してリピーターを獲得し、顧客と企業の双方にメリットをもたらす。MAを通じて獲得した顧客と、長期的かつよりよい関係を築くために活用される。どちらのツールも情報をデータベース化して業務の最適化を図る点は似ているが、得意とする領域はそれぞれ異なる。マーケティングの初期からデータを統合し活用しやすい形で管理するMAは、その後のステップであるCRMをより効果的に行うための基礎ともなりうるだろう。

参考:CRMの現在位置と顧客との関係性 - オンラインコミュニケーション全盛の今、改めて考える

MA(マーケティングオートメーション)の選定方法


MAツールは多数存在し、ベンダーごとに異なる特徴を持っている。自社に適したMAを選定するために、次に挙げるポイントを押さえておこう。

1.BtoC向けかBtoB向けか


MAは、BtoC向けかBtoB向けかによって求められる機能が異なってくる。そのため、この点は必ず最初に確認しておきたい。例えばBtoCでは「顧客の膨大なデータを管理できるか」「多数のチャネルに対応・連携できるか」「顧客行動の分析機能があるか」といった点が、BtoBでは「リードナーチャリング機能が充実しているか」「SFA(営業支援ツール)との連携ができるか」「問い合わせフォームなどのコンテンツ作成ができるか」といった点が挙げられる。

2.システム連携の可否


自社で使用している既存のシステムと連携できるか、またはCSVでのデータ取り込みに対応しているかなどを確認する。データの移行には工数がかかることもあるので、担当者への確認も必須である。

3.サポートの有無


MAを使いこなすにはマーケティングの高度な知識が必要となるため、サポートやコンサルティングの有無も重要になってくる。外部のコンサルティング企業を採用する手もあるが、サポート体制の充実しているMAの方がスムーズに運用しやすいだろう。

4.自社のリソースと合っているか


高機能なMAを導入しても、使いこなすためのスキルと運用し続けるリソースがなければ、MAの効果を引き出すことは難しい。高価格帯のサービスほど高度な知識が必要な傾向があるので、使い勝手のよい初心者向けのサービスからスモールスタートするのも有効だ。

主なMA(マーケティングオートメーション)ツールの紹介


ここでは、いくつかの代表的なツールを五十音順で紹介する。それぞれの特徴や適性を把握し、自社に合ったツールを選定するための参考にしてほしい。

アクティブコアマーケティングクラウド




アクティブコアマーケティングクラウドは、BtoC向けの国産MAツールである。データ統合から効果検証までワンプラットフォームで統合管理できるほか、さまざまな業種に合わせた顧客専用のプライベートDMPを構築可能。価格は要問合せとなっている。

Aimstar




Aimstarは、One on Oneマーケティングのキャンペーン管理に強みを持つBtoC向けのMAツールである。すぐに活用できる分析・抽出テンプレートや業種ごとのプリセットシナリオが用意されており、MA初心者でも比較的扱いやすいのが特徴。価格は要問合せとなっている。

Oracle Eloqua Marketing Automation




日本オラクル株式会社が提供するOracle Eloqua Marketing Automationは、BtoCとBtoBの両方に対応したMAツールである。BtoCでも活用できるが基本的にはBtoB向けのサービスであり、高度なリード・スコアリングやセグメント分けが可能。上級者向けのため、社内にエンジニアを持つ企業に適している。価格は要問合せとなっている。

Kairos3 MA




Kairos3 MAは、BtoB向けの国産MAツールである。分析機能はやや少ないものの、マーケティングと営業に必要な機能が一通り備わっており、初心者でも使いやすいことが特徴。価格は初期費用が1万円、月額費用が1万5,000円からとなっている。

カスタマーリングス




カスタマーリングスは、BtoCに特化した国産MAツールである。あらゆるデータを統合でき、顧客管理から分析・施策に至るまでツール1つで完結させることが可能だ。導入・運用支援のほかオンライン勉強会の開催、専任担当者によるきめ細やかな支援など、サポート面が充実しているのも特徴。価格は要問合せとなっている。

SATORI




SATORIは、BtoCとBtoBの両方に対応した国産MAツールだ。BtoB企業で比較的多く導入されており、リード獲得に役立つ機能やリードナーチャリング機能を多数備える。価格は初期費用が30万円、月額費用が14万8,000円からとなっている。

SHANON MARKETING PLATFORM




SHANON MARKETING PLATFORMは、BtoB向けのMAツールである。リアル・オンライン問わずイベントマーケティングに適しているのが特徴で、セミナー管理機能も備わっているが、分析機能がない点には注意。価格は月額10万円からとなっている。

Salesforce Marketing Cloud




顧客管理ソリューションで知られるセールスフォース・ドットコムが提供するSalesforce Marketing Cloudは、BtoC向けのMAツールである。日本語と英語による表示が可能で、海外に支社を持つ企業に向いている。機能が充実している分、使いこなすためには一定の知識が必要なため、中級者向けのツールといえるだろう。価格は要問合せとなっている。

Salesforce Marketing Cloud Account Engagement




Salesforce Marketing Cloudのうち、BtoB向けのMAツールをセットにしたサービスがMarketing Cloud Account Engagementである。もともとPardotという製品名で提供されていたが、2022年4月に名称が変更された。Salesforceを導入済みの企業と相性がよく連携しやすいのが特徴だが、基本的に英語で構成されている。価格は月額15万円からとなっている。

Hubspot Marketing Hub




120ヶ国以上で導入されているHubspot Marketing Hubは、BtoCとBtoBの両方に対応したMAツールである。BtoB企業で比較的多く導入されており、インバウンドマーケティング向けの機能が豊富だが、高度な知識が求められる点には注意。無料版を含め、ニーズに合わせて4種類のプランから選ぶことができる。

b→dash




b→dashは、「誰でも操作できるプロダクト」がコンセプトの、BtoCとBtoBの両方に対応した国産MAツールである。イラストを用いたわかりやすいUIが特徴で、SQLを使わずノーコードで簡単に操作できるのが特徴。初心者向けでありながら必要に応じて各種機能を追加可能だが、結果的に費用が高額になりやすい傾向がある。価格は要問合せとなっている。

Marketo Engage




Adobe株式会社の提供するMarketo Engageは、BtoCとBtoBの両方に対応したMAツールである。専用のスマートフォン向けアプリでメールキャンペーンの効果をいつでも確認できるほか、導入・活用に関するサポートも充実しており、コンサルティングサービスや有償トレーニングなども用意されている。価格は要問合せとなっている。

List Finder




株式会社Innovation & Co.が提供するList Finderは、BtoB向けの国産MAツールである。初めてMAを導入する場合でもわかりやすく誰でも簡単に操作でき、サポートが充実しているのが特徴だ。価格は初期費用が10万円、月額費用が3万9,800円からとなっている。

MA(マーケティングオートメーション)の具体的な流れ


それでは、MAツールを用いてどのような順序で何を行っていくかについて、具体例とともに見ていこう。まず、マーケティング施策を策定する際は、従来のような“経験と勘に頼ったマーケティング”にならないよう、データの統合が不可欠だ。科学的なマーケティングを行うためには、手元に統合されたデータが揃っていること、かつ見たいデータを手軽に参照・抽出できる環境が重要である。下図のように、統合したデータを元にさまざまな条件でセグメントを作成し、このセグメントに対して自動でメールを配信することがMAの第一歩。たとえば生年月日のデータがあれば「誕生日の○日前」というセグメントを作成し、メールの自動配信を組み合わせて“シナリオ”に進化させていくことでMAを加速させることができるかもしれない。



さらに成果を上げるには、顧客の「行動」「タイミング」「購入履歴」「嗜好」に合わせることが重要だ。健康食品企業が、サンプルを購入した顧客に段階的にアプローチする例を見てみよう。サンプル購入時に入手した顧客データを元に、発送翌日には届いたかを確認するメールを送信。3日後には成分についての説明メールを送信し、その後段階的に販促キャンペーンを行う(行動)。また、ポイントの利用を促したり、顧客の誕生日前に割引のメールを送ったりする(タイミング)。さらにVIP向けのシークレットセールを開催し、しばらく購入していない顧客は購入を促す(購入履歴)。そして購入動機や利用目的、生活スタイルに合わせてさらに別の商品を勧める(嗜好)。このようなメールを送るには、対象者の条件を作って抽出し、配信ソフトに登録し、コンテンツを入れ込んでテスト配信し、送信する、という膨大な作業が必要だ。また、メール送信によって得られるメルマガごとの開封率、クリック率、コンバージョン率などさまざまなデータ分析にも専門知識と人手が必要になるだろう。これまでも述べた通り、MAは、“ルーティンワークの自動化”を可能にするツールだ。メール送信に至っては完全な自動化も可能である。データ分析に関しても、それ自体に時間や人手を取られることがなくなり、PDCAサイクルの高速化が期待できるだろう。このようにMAの導入は、データ取得時間の短縮化や、属人化からの解放、さらには作業負担の軽減が期待されるのである。

MA(マーケティングオートメーション)の導入スケジュール


MAを導入する際は、検討から運用開始まで6ヶ月ほどの期間をみておきたい。具体的には、次のような流れを想定しておくとよいだろう。

1ヶ月目:課題を認識する


自社の現状を確認し、どのような課題を抱えているかを洗い出す。例えば、データの抽出に時間がかかっている、業務が属人化している、顧客が増えて対応に追われているなど、現状と課題をしっかり認識することが重要。

2ヶ月目:目的を明確にする


課題が複数ある場合は優先度を設定し、MAツールで何を行うか、どんな施策を実施するかを具体的に決めていく。また、MAによる工数削減は第一目的ではなく副次的効果である点に留意し、適切なKPIとKGIを設定する。例えばBtoCであればKPIはメールの到達率や申込数、KGIは売上や販売数など、BtoBであればKPIは資料ダウンロード数や獲得メールアドレス数、KGIはリード獲得数や商談化数などだ。

3ヶ月目:要件を定義する


データ設計のための見込み顧客リスト精査、想定するシナリオの設計、MAツールで課題を解決するために必要な機能の精査、運用体制構築のための社内調整などを行う。特にBtoBの場合は営業部門との協力が重要になるため、担当者や役割分担についてもしっかり決めるようにしたい。

4ヶ月目:業者を選定する


予算と必要な機能を基準に、最適なツールを選定する。自社の事業と近い業種の実績があればなおよい。効果的な運用のために、コンサルタントを検討するのもひとつの手である。

5ヶ月目:運用体制の確立


MA導入後の運用体制の準備を行い、基本的な顧客分析やメール配信、申込みフォームの設置やコンテンツ配信などの施策を開始する。ダウンロード資料などのコンテンツを新規で制作する場合は、その制作期間もしっかり考慮する必要があるだろう。また、MAの運用には人的コストがかかるため、必要に応じてアウトソースも検討したい。

6ヶ月目:MAツールの導入


データの連携やツールの実装、テスト環境を用いた運用・操作トレーニング、MAツールのアクション確認などを行う。運用開始後はPDCAを回し、運用の改善を図る。

MA(マーケティングオートメーション)運用時の課題と解決策


MAは導入しただけで効果が出るものではないため、どのように運用していくかが重要なポイントとなる。ここでは、MAの運用で陥りやすい課題をピックアップし、解説していく。

どのようなコンテンツを配信すればよいかわからない


コンテンツ配信は継続的に行うことに意味があるため、回数を重ねるごとにその内容に悩んでしまうという声は少なくない。このような場合、商品・サービスに関心を持つユーザーや購入者から寄せられる意見・問い合わせをもとにしたQ&A集を作成するほか、自社製品に関するこだわりや開発の裏話などを掲載するのもひとつの手だ。顧客視点で物事を考え、どのような情報が求められているかを考えるようにするとよいだろう。

MAを扱うための知識やスキルが不足している


MAツールは誰でも扱える簡単なものからエンジニアのような上級者向けのものまで多数存在するため、導入検討の時点で自社の人材やスキルについて精査しておくことが非常に重要だ。自社の人材やスキルにやや不安がある場合は、サポートが充実しているサービスを選定するのがよいだろう。また、定期的に講習会を開催して担当者のスキルアップを目指すほか、社内でナレッジを共有することも効果的である。

MA(マーケティングオートメーション)の導入事例


最後に、MAの導入に成功した国内事業者の事例を紹介する。

株式会社J-オイルミルズ(BtoC)




製油業界の大手3社が合併して誕生したJ-オイルミルズは、慢性的なリソース不足が課題であった。自社ECを顧客の貴重な意見が聞けるプラットフォームとして活用していたが、従来のスタイルでは顧客のリアルな声を拾うことが難しく、そのためのリソースも不足していたことから、MAツール「カスタマーリングス」を導入。それにより、手動で行われていたステップメールを自動化し、リソース不足の改善に成功した。顧客の声を収集するための購入者アンケートも設置し、アンケートを軸に複数のデータを横断して分析することで、自社ECのサービス向上を実現。アンケートで浮き彫りになった課題を解決することで、CPOが約33%改善されたという。MAの主な利点に、ルーティンワークの自動化とビッグデータの最適化がある。ステップメールもほぼ自動化できるため、顧客数の多いBtoCでは特に効率化しやすいポイントだ。多くのデータを収集してもデータの加工や再計算には手間がかり、従来の方法では根本的な解決に繋がらないことも多いが、MAツールを用いて複数のデータをダッシュボード化すれば、必要なデータを迅速に参照できるようになる。MAはその性質上即座に効果が出るものではないが、業務の効率化やデータの最適化は長く続けるほどその効果が雪だるま式に蓄積されていくため、得られるメリットは大きいといえる。

参考:J-オイルミルズ社による、ECサイトの顧客データ活用によるCRMへの取り組みの狙い/Digital Marketing Forum

株式会社ブイキューブ(BtoB)


株式会社ブイキューブは、ビジュアルコミュニケーションサービスを通じて「働き方改革」を支援する企業だ。商談化や受注に関してどの施策がどの程度貢献しているかを可視化できておらず、リードの確度や投資効果が不明なことが課題であったことから、「Hubspot Marketing Hub」を導入。それにより施策やマーケティングの効果を可視化できるようになったほか、営業部門とマーケティング部門が共通の認識を持てるようになり、結果として獲得リード数は2倍、新規顧客は単価1.65倍になったという。BtoBにおけるMAの主な利点に、リードの管理とスコアリングによる興味関心度合いの可視化がある。従来のマーケティングでは施策の効果がわかりづらく、見込み顧客を獲得できたとしても次のアクションに移るまでに長い時間がかかり、費用対効果も下がってしまう。MAを用いてリードをしっかりと管理し、スコアをもとに顧客視点で適切な施策を実施することは、効率的に新規顧客を獲得するためにも必要不可欠といえるだろう。

参考:マーケティングの見える化で、獲得リード数2倍、新規顧客単価1.65倍へ

デジタル時代を生き抜きMA(マーケティングオートメーション)を活用するために


MAの基礎知識について、改めておさらいしてきたが、全体像をご理解いただけただろうか。BtoCであれば、膨大な情報量の中で顧客にしっかりと見つけてもらい、ファンになってもらう。BtoBであれば、Webマーケティングと併せて獲得したリードとその興味関心度合いを把握し、適切なアプローチを行う。どちらにも共通しているのは、MAの基本である「経験と勘に頼らず、しっかりとしたファクトをもとにマーケティング活用を行っていく」ということではないだろうか。

メルマガ登録
  • facebook
  • Twitter
  • LINE