BI(ビジネス・インテリジェンス)とは? 目的と役割、メリット、BIツール


Writer:
山崎雄司
  • facebook
  • Twitter
  • LINE

BI(ビジネス・インテリジェンス、以下BI)とは、企業や組織が活動から得られる膨大なデータ(ビッグデータ)を蓄積、分類、分析、加工し、それらに基づいた経営判断や意思決定をしていく概念や方法のこと。

BIとは

 
諸説あるが、BIという言葉は、IBM研究所のエンジニア、ハンズ・ピーター・ルーン氏が1950年代に提唱したといわれている。当時は「さまざまなデータを分析する力」といった意味で用いられていた。その後、1989年に米国のアナリスト、ハワード・ドレスナー氏により「事実をベースとした支援システムを使用した、ビジネス上の意思決定を進化させるための概念と手法」という現在の概念に整理された。
 
 

BIの重要性

 
従来ビジネスは、経営者の経験や勘を頼りに行われてきた。しかしインターネット利用の拡大やさまざまなシステムの普及に伴い、企業や組織が活動していくうえで得られるデータ量は激増し、これらのデータを活用する必要性が出てきた。こうした背景から、現在あらゆる業界において、多様なデータを経営判断の主要な材料として活用するBIの重要性が高まっている。
 
 

トラディショナルBIとモダンBI


BIのアプローチにはトラディショナルBIとモダンBIの2種類がある。
 

トラディショナルBI

トラディショナルBI(従来のBI)は、IT部門などによって主導されるトップダウン型の手法。現在でも、通常の企業レポートの作成や、静的な質問に対する答えを探すといった場合に用いられるが、データをレポート化するのに時間がかかるため、最新のデータに基づいた意思決定ができないことが難点。
 

モダンBI

モダンBIは、IT部門に限らず、ユーザー個人がアクセスでき、短時間でレポートの作成が可能。セルフサービスで活用できるBIツールを用いることで、IT部門などに依頼せずとも、いつでも誰でもデータを利用できる。
 
 

BIツールとは


BIツールは、BIの実現をサポートするもので、専門知識を持たなくても誰もがデータの収集・加工を行ったり、高度な分析を可能にしたりするものである。あらゆる業界で利用可能で、売上の向上や利益の増大、顧客行動の把握や市場動向の予測、自社の課題の発見、競合との差別化などのデータを分析から導くことができる。経営層はもちろん、営業部門や人事部、経理部など、さまざまなシーンで活用することができる。
 
 

BIツールの主な機能

 

レポーティング機能(ダッシュボード機能)

BIツールのレポーティング機能は、データをわかりやすく可視化して、そのデータをもとにパフォーマンスを計測して監視を行う機能である。
 

OLAP分析

OLAPとは「Online Analytical Processing」の略で、オンライン分析処理機能のこと。多次元分析機能ともいう。キューブとよばれる立方体構造のデータベースを操作し、「地域」「製品」「値段」といった多次元的なデータをリアルタイムで分析する。範囲を絞ったり広げたりするようなドリルダウン・ドリルアップや、多次元のデータを断面で切り取って2次元の表にするスライシングなどの分析方法がある。
 

データマイニング

統計学などの技術を駆使し、膨大なデータから人が見つけられないようなパターンを発見する機能。クロス分析、相関分析、回帰分析などのさまざまな分析方法を採用でき、AIの技術を活用しているものもある。
 

プランニング(シミュレーション)

主に予算計画をする際に活用する機能。過去のデータをもとに分析を行い、計画の根拠を得ることができる。
 
 

BIツール導入のメリット


各部門に点在するデータを集められる

企業は、たとえば営業支援の役割を担うSFA(Sales Force Automation、営業支援システム)や、顧客情報の管理を行うCRM(Customer Relationship Management、顧客関係管理)といった社内基幹システムや、外部データ、SNSやIoTなど、多種多様のシステムを有する。BIツールは、こうした複数のシステムに蓄積されたデータを連携し、分析することを容易にする。
 

データの集計時間の短縮

BIツールを用いると、膨大なデータをあらゆる角度から一括で分析できる。そのため、これまでExcelの関数やピボットテーブルなどを組み合わせて導き出していた時間や手間を大幅に省くことが可能となる。
 

データを即座に可視化できる

BIツールを用いることで、多様なデータをグラフや表など視覚的にわかりやすい方法で表すことができる。また、必要なときに誰でもデータを分析できるため、タイムリーな現状把握に役立つ。
 
 

BIツール導入の注意点


使いこなせず定着しない

使用方法や用途が多岐にわたるBIツールは、導入の目的をしっかり設定しないと、使いこなせず終わってしまう場合がある。使い勝手の悪いツールは、定着させるのが難しいどころか、利用する際の作業時間がかえって増えてしまう可能性もあるため、導入の際は操作性も慎重に検討したい。
 

費用がかかる

BIツールの機能を駆使し、一人ひとりが使いこなせるようになるまでには、ある程度の時間を要する。高額を払ってさまざまな機能を搭載しても、すべてのツールを使いこなせないまま一部の機能のみ使用しているような状況では、余計な費用を払い続けることに。こうした事態を避けるために、専門知識がないユーザーでも使いやすく作られた「セルフサービスBI」を利用したり、研修やアフターフォローが充実しているBIツールを選んだりすることも有効だ。

メルマガ登録
  • facebook
  • Twitter
  • LINE