OMOはO2Oやオムニチャネルとどう違うのか


Writer:
山崎雄司
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ECサイトや実店舗を運営する事業者が押さえておきたいマーケティング施策のひとつであるOMO。本記事では、OMOの基本概念や具体的な活用事例に加え、混同されがちなO2Oやオムニチャネルとの違いについても解説していく。

目次


1.OMOとは
2.OMOとO2Oの違い
3.OMOとオムニチャネルの違い
4.OMOを成功させるには
5.OMOの事例
6.それぞれの違いを理解しOMOを活用しよう

OMOとは


OMOはOnline Merges with Offlineの略称で、「オンラインとオフラインの融合」という意味。2017年に提唱されてから広く知られたマーケティング施策のひとつである。
スマートフォンの普及とキャッシュレス化によって、消費者にとってオンラインとオフラインの境界線がなくなりつつある現代社会。人々は自分にとって都合のいいタイミングや方法で目的を果たしたいと思うようになってきており、そのためにはオンラインとオフライン関係なく、どちらも自由に行き来できることが理想である。こうした背景において、OMOは、まさに時代に合ったマーケティング施策であるといえよう。
OMOの最も大きな特徴は、オンラインとオフラインを分断せずに、顧客体験を重視したマーケティング施策を展開するという視点だ。顧客をID管理することで、スマートフォンのアプリから閲覧した情報や実店舗における購入履歴、ECサイトでの決済情報など、あらゆる消費者行動をデータとして収集し、一人ひとりに合ったアプローチをオンラインとオフライン両方のフェーズから行うことができる。インターネットの世界と現実世界を融合し、シームレスにつなげることで、顧客は自分にとって最適な提案を選び取ることができるため、顧客との関係性の構築にも有効な手法である。顧客にとっての体験価値を高めることで、さらにLTVの最大化も期待できる。


OMOとO2Oの違い


O2Oは「Online to Offline」の略で、インターネット上(オンライン)からリアル店舗(オフライン)への集客や購買行動へと促す戦略のこと。2013年ごろから爆発的に増加したOMOの前身になる概念ともいえるものである。O2Oの具体的な手法としては、実店舗で利用可能なクーポンをオンライン上で配布したり、スマートフォンのGPS機能を使って近隣店舗のセール情報などを通知したりするといった施策が挙げられる。
OMOと最も異なる点は、オンラインとオフラインの区別が明確だということである。そのため、たとえばオンラインでクーポンを配った場合、顧客導線の把握はそのクーポンを利用した購入履歴からになる。また、オフラインからオンラインへと誘導をするケースもあるが、いずれにしてもオンラインとオフラインを2つの異なる世界ととらえ、それぞれの行き来を促すというマーケティング手法がO2Oである。


OMOとオムニチャネルの違い


オムニチャネルは、複数のチャネルを統合的に連携させ、販売経路に境界を設けない形態のこと。「オムニ(omni)」は「全て」を表すラテン語である。
オムニチャネルは、O2Oのようにオンラインからオフライン(またはその逆)へと顧客を誘導するということは行わず、あらゆる顧客接点において、顧客一人ひとりに最適化したサービスを一貫して提供することで販売増を目指す戦略である。オムニチャネルの具体的な手法としては、ECサイトで購入した商品の受け取りを実店舗で行うことや、同じブランドであればオンラインとオフラインの両方で商品購入ポイントが利用できるといったような施策が挙げられる。
オンラインとオフラインをシームレスにつなぎ、「いつでも、どこでも同じように利用できる」形を作るという点ではOMOと似ているといえる。ただし、オムニチャネルはチャネル(顧客接点)に注目した概念であり、オンラインとオフラインは明確に区別されている。また、OMOは、オンラインとオフラインの融合により「顧客目線」に沿った顧客体験を提供し、体験価値の向上を目指す販売戦略であるという点から、オムニチャネルをさらに発展させた概念といえるだろう。


OMOを成功させるには


これまでのマーケティング施策は、オフライン(実店舗)を土台にオンラインサービスを付随させるという試みが中心であった。それに対し、OMOはオンラインを土台とした考え方であり、オフラインについては顧客と接点が持てる貴重な場として捉える。
OMOの基盤となるのはなんといってもデータであり、顧客データはもちろんのこと、商品、店舗、売上などあらゆるデータを活用してマーケティング戦略を立てる必要がある。これを踏まえ、OMOを成功させるカギとなるのは「データベースの整備」「データの分析・活用」「マルチチャネル化」の3点である。
まず、OMOでは、オンラインとオフラインのデータが統合されていることが前提となる。まずは「データベースの整備」を行い、あらゆるチャネルの顧客データを一元管理できる環境を整える。その際、さまざまなサービスと連携しやすい設計を行うことや、セキュリティ、プライバシー保護などにも注意したい。OMOにおける顧客データは、価値が高く、セキュリティ対策も非常に重要になるため、顧客が安心して利用できるサービスを提供することが必須だ。
データベースの整備を進めたら、次に「データの分析・活用」を行い、顧客起点での設計を考える。顧客一人ひとりにパーソナライズされた体験価値を提供することが、効果的なOMOマーケティングの実現へとつながるため、集めたデータをさまざまな手法で分析し、各チャネルのブラッシュアップに取り組んでいくことが大切だ。
また、顧客との接点をできる限り増やす「マルチチャネル化」も有効である。特にOMOではスマートフォンが大きな役割を持つ。SNSやアプリ、モバイル決済などは利便性を高めるだけでなく、オンラインとオフラインを結ぶ架け橋となるからだ。顧客接点が増えることで、得られる顧客データが増えるのもメリット。こうしたチャネルを提供することで、顧客との信頼関係や関係性を深める効果も期待できるだろう。顧客視点を重視し、顧客にとって買いやすい、使いやすいチャネルを心がけよう。

OMOの事例


1. Tencent


中国・深セン市に拠点を置くインターネット企業のTencentは、飲食業界のスマート化への取り組みとして、2018年5月にSNSアプリ「WeChat(微信)」と周黒鴨(鴨肉料理レストランチェーン)との提携によるスマート店舗を開業。顧客が初来店の「WeChat」上でアカウントを取得し顔認証を行っておくと、その顔認証を利用して入店や会計が可能になるという仕組みだ。初回だけはスマートフォンが必要だが、2回目以降は現金やクレジットカードも不要になるため、スマートフォンも持たずに商品の購入が可能になるという。初期登録さえ済めば、入店から商品購入まで手間なく行うことができるため、高まるスピード化へのニーズを満たしたOMO事例といえるだろう。


2. 株式会社Zoff


メガネの量販店であるZoffでは、実店舗とECサイトの情報を連携させることで、より購入がスムーズなECサイトを展開している。実店舗とECサイトの情報を基幹システムで連携し、IDにより管理された顧客データに紐づけている。それによって、顧客が実際に購入したメガネの履歴や細かい度数などを、実店舗でもECサイトでも顧客自ら確認し購入できるようになった。さらに、顧客目線での商品デザインの改修にも取り組み、レンズの種類や度数、購入した履歴を画像で確認できるようにしたり、スマートフォンでも見られるよう画面の最適化を行ったりしている。リニューアルに当たっては、他部署との連携も行い、さまざまなフェーズで顧客にとって使いやすい店舗を目指したOMOを実現している。


それぞれの違いを理解しOMOを活用しよう


スマートフォンやキャッシュレス決済の普及などにより、消費者にとってオンラインとオフラインの境界線がなくなりつつある現代において、OMOは見逃すことのできない事業戦略である。O2Oやオムニチャネルからさらに発展した概念であるOMOは、顧客データの活用によって顧客にとっての利便性が向上すると同時に、企業側にとっても顧客の購買履歴を蓄積しやすいというメリットも。ただし、OMOを設計するうえで最も大切なことは、企業視点ではなく顧客視点で顧客体験を考えることである。そのためには、収集したデータをどのように活用するか、どんな視点で分析するかがカギであり、それが革新的な商品・サービスの提供へとつながっていく。今後あらゆるチャネルにおいて、優れた顧客体験および高い顧客満足度による売上最大化を図るためには、OMOの実現が非常に重要といえるだろう。

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