ブランドプロモーションとは?意味や目的、事例、ブランディング戦略との違い
- Writer:
- 山崎雄司
ブランドプロモーションとは、ブランドの認知度向上や見込み顧客の獲得、信頼関係の構築などを目的に実施する販売促進活動のこと。
ブランドプロモーションとは
ブランドプロモーションは、特定のブランドや企業の商品・サービスについて、広告やWebコンテンツ、イベントなどのさまざまな手法を使用しプロモーションすることである。自社ブランドのイメージを浸透させて認知度を向上させ、競合他社との差別化を図り、顧客との信頼関係を構築してファンを生み出すための販売促進活動全般を指す。
ブランドプロモーションの目的
購買促進
プロモーション(promotion)は販売促進を意味する言葉であり、ブランドプロモーションは、言葉通りブランドの販売促進を目的とした活動を指す。ブランドプロモーションにより消費者が自社の商品やサービスを認知し、信頼を獲得して長期的な利用へとつなげることで、継続的な売上促進になる。
認知度の向上
新規顧客やリピーターを多く獲得するためには、まず消費者に自社ブランドを知ってもらう必要がある。さまざまな手法を用いて印象的なプロモーションを行い、ブランドのイメージを浸透させると、認知度とともにブランド力も高めることが可能である。
信頼性の構築
ブランドプロモーションを通して、自社ブランドに対しての信頼性を構築することも目的の一つ。顧客の信頼を獲得することで、商品やサービスのリピーターとなる可能性が高まるほか、口コミによる紹介や拡散により、新規顧客の呼び込みにつながることも期待できる。
ブランドのポジショニング
ブランドプロモーションは、市場におけるブランドの立ち位置や価値、独自性、特徴を強調する。ブランドが競合他社と比較して優れている部分をアピールすることで差別化を図り、顧客の心に残る印象を与えるのに役立つ。
ブランドプロモーションの手法
広告
不特定多数の顧客に対してアプローチできる手法。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、Webサイト、ソーシャルメディアなどの顧客との接点があるツールを活用して、ブランドイメージや商品、サービスを告知・宣伝する。
マーケティングイベント
プロモーションイベントや展示会、スーパーでの試食販売などのイベントを開催して、ブランドを広く知らせる手法。消費者には商品やサービスの魅力を顧客に直接体験してもらうことができ、企業側にとっても顧客の反応や意見を直接知ることができるといったメリットがある。
スポンサーシップ
特定の企業が開催するイベントを支援することの対価として、プロモーションの機会を得る手法。スポーツやエンターテインメント、文化、社会貢献といった幅広い分野のイベントから、自社のブランドイメージに合ったものを選択する。スポンサーとして協力関係を結ぶことで、公式にブランドの名前やロゴを表示してもらう取引である。
パブリックリレーションズ (PR)
自社の取り組みや商品・サービスについて広く知ってもらい、ブランドイメージを形成していく手法。「公の(Public)」「関係(Relation)」を意味する言葉の通り、SNSのやりとりやプレスリリースなどを通じてブランドのメッセージを公開し、長きにわたる信頼関係の構築を目的としている。
コンテンツマーケティング
ブログやメールマガジン、動画、SNSなど、顧客の役に立つさまざまなコンテンツを用いて見込み顧客を顧客化し、ロイヤルカスタマーへと育成していく手法。売り込みではなく自然な形でブランドを認知してもらい、コンテンツを通して愛着を醸成し、長期的に自社の商品・サービスを利用してくれるようになれば、収益の安定化も期待できる。
インフルエンサーマーケティング
主にSNSで多くのフォロワー数を持ち、大きな影響力をもつインフルエンサーと提携して、彼らのフォロワーに対して製品やサービスを紹介する手法。インフルエンサーにブランドや商品、サービスを紹介してもらうことで認知度を高め、購買意欲を促進する。
デジタルマーケティング
さまざまなデジタル要素を活用して集客し、サービスや商品を購入してもらうためのマーケティング手法。たとえばWeb広告やマルチチャネル、データ活用、リアルタイム性などの要素があり、これらを総合的に活用することが重要。
ブランドプロモーションのポイント
ターゲットオーディエンスを理解する
ブランドプロモーションの成功には、自社ブランドや商品・サービスを購入するであろうターゲットのニーズや関心、行動を理解することが不可欠だ。企業やブランドがメッセージを届けたいターゲットオーディエンスを的確に特定し、性別や年齢等のデモグラフィック情報や行動データを分析することで、ブランドメッセージや商品・サービスを効果的に宣伝し、販売へとつなげることができる。
オリジナリティ
ブランドのクオリティやオリジナリティ、世界観、歴史など、他のブランドにはない独自性や価値のポイントを明確に伝えることが重要になってくる。「自社ブランドならでは」という部分で個性を強調することで、競合他社との差別化を図り、顧客にブランドの特長を理解・認識してもらうことで、記憶に残る強い印象を与えることができる。
統一されたブランドイメージ
ブランドプロモーションを展開する際には、コンセプトを統一したブランドイメージを確立し、社内外で維持することが重要である。ロゴやカラー、メッセージ、トーン&マナーなど、ブランドイメージを構成する要素に一貫性を持たせることで、ブランドの世界観をわかりやすく表現し、信頼性を高める。
マルチチャネル
マルチチャネルは、顧客との接点を複数提供する戦略である。店舗をはじめ、テレビショッピング、ECサイト、カタログといった複数のチャネルを持つため、顧客への認知度向上や購入機会の増加に役立つ。
エンゲージメントを促進する
ブランドプロモーションでは、顧客との信頼関係を深め、エンゲージメントを促進することが重要になってくる。まずは顧客のニーズを理解し、そのニーズを満たす魅力的なコンテンツを共有したり、コメントや「いいね!」などのアクションを促したりするなど、顧客参加型コンテンツのようなインタラクティブな要素を組み込むことがポイントである。
効果を測定する
効果測定と評価を定期的に行い、想定通りのブランドイメージや価値を顧客に与えられているのか測定したうえで、課題や改善策などを明確にする。その際、目標指標となるKPI(Key Performance Indicators/主要業績評価指標)を設定し、データ分析を通じてブランドプロモーション戦略を評価していくことが重要である。
ブランドプロモーションの事例
ブランディング動画
ブランディング動画は、特定のブランドや企業の価値観、ブランドメッセージ、商品・サービスなどについて、消費者に伝えるために制作された動画コンテンツのこと。ブランドストーリーや、商品の説明・紹介動画、インフルエンサーとのコラボ動画などさまざまな形式があり、WebサイトやSNS、店頭設置、イベントなどで活用されている。
ハッシュタグキャンペーン
ソーシャルメディア上で特定のテーマやブランドを促進するためのマーケティング戦略。ユーザー参加型のキャンペーンであり、特定のハッシュタグ(#)を使用して、ユーザーが特定のトピックやブランドに関連する投稿をし、見つけてもらいやすくすることが目的。人気の高いハッシュタグを利用することで、まだ自社をフォローしていないユーザーへのリーチも期待できる。
ブランディング戦略との違い
ブランディング戦略は、企業自体や自社のブランドについて、いかにしてイメージを高めていけるか検討し、戦略を立て実行していくことである。ブランドプロモーションは、特定の商品やサービス、イベント、キャンペーンなどを宣伝することでブランドの認知度を高め、顧客とのエンゲージメントを促進するための販売促進活動である。
つまり、ブランドプロモーションは、ブランドの長期的な方向性を定める全体的な計画であるブランディング戦略の一部であり、販売促進を目的とした具体的な活動といえる。