「デジタルマーケティング」とは? - デジタル時代を生き抜く基礎知識


Writer:
山崎雄司
  • facebook
  • Twitter
  • LINE

この業界にいて、「デジタルマーケティング」や「デジマ」というキーワードを目にしない日はないくらい日常的な概念となっている「デジタルマーケティング」。今回は、この「デジタルマーケティング」について、そもそもの定義や、価値、そして活用方法などを確認していこう。

目次


1.「デジタルマーケティング」とは
2.デジタルマーケティングの背景と市場規模
3.Webマーケティングとの違い
4.デジタルマーケティングのメリット
5.デジタルマーケティング活用のポイント
6.企業におけるデジタルマーケティングの代表的な手法
7.デジタルマーケティングのこれから
8.迅速かつ柔軟な対応が成功の鍵
9.よくある質問と回答

「デジタルマーケティング」とは


まず、本題に入る前に「マーケティング」という言葉の定義を確認したい。日本マーケティング協会によると、マーケティングとは「企業および他の組織がグローバルな視野に立ち、顧客との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動である」とされている。つまり、企業が顧客に商品・サービスを選んでもらうまでに取り組むプロセス全体のことを指す。

このマーケティングのうち、デジタルを組み合わせたものが「デジタルマーケティング」である。具体的には、オンライン上でのプロモーションや、オンライン上での行動履歴、販売促進のための各種チャネル(SNS、メール、LINE、スマホアプリ)などがあり、あらゆるシーンで活用されている。
また、最近では実店舗でのアクティビティとの連携など、複数の顧客データや購買実績データなどを統合管理した活用にまで発展しており、「デジタルマーケティング」といえど、オフラインデータの活用も進んでいる。デジタルマーケティングには広告、マルチチャネル、データ活用、リアルタイム性など様々な要素があり、これらを総合的に活用することが重要になってくる。

デジタルマーケティングの背景と市場規模


デジタルマーケティングの背景


「デジタル」に特化していない従来の「マーケティング」は、市場調査にはじまり、実際にセールスマンが家庭や企業に足を運んで営業を行うほか、新聞やテレビなどの媒体を活用してセールスを行うなどの方法が主流であった。しかし、1990年代に登場したインターネットが「マーケティング」の概念を大きく変えた。インターネットが普及し、昨今ではスマートデバイスが普及し、企業が膨大な「デジタル」の顧客データを所持することが可能になってきた。それに伴い、従来のマーケティング活動に加え、蓄積したあらゆる「デジタル」なデータを掛け合わせた「デジタルマーケティング」が登場したのだ。

デジタルマーケティングの市場規模


IDC Japanの調査(※リンク先削除) によると、2020年の国内デジタルマーケティング市場規模は前年比2.6%増の約4305億円となっている。同社は2025年の市場規模を6102億円、2020年~2025年の年間平均成長率を約7%と予測しており、近年におけるライフスタイルの変化もあって今後も市場規模は拡大していくものとみられる。


Webマーケティングとの違い


「デジタルマーケティング」は、「デジタルメディアを通じて行うマーケティング」と捉えられがちだが、前述の通り、「オンライン上で集められた顧客データを活用したマーケティング」のこと。




大まかにいうと、マーケティングの一部がデジタルマーケティングであり、そのデジタルマーケティングの一部がWebマーケティングである。WebマーケティングがWebサイトに限定して行われるのに対し、デジタルマーケティングはオンライン全体において、ビッグデータやAI、スマートスピーカーやサイネージなども活用し、あらゆるデジタルを組み合わせて総合的に行われるという違いがある。オンライン上の顧客データだけでなくオフラインデータと連携するケースもあり、デジタルマーケティングではより多くのタッチポイントでシームレスかつ柔軟なマーケティングが可能だ。

デジタルマーケティングのメリット


・マーケティングの効率化
・豊富なデータを取得・分析可能
・業務効率の向上、経費削減
・広告効果の向上

今やデジタルデータから、顧客の年齢や性別、嗜好にはじまり、たとえばある顧客がネットで買い物する際の頻度や、好み、決済方法など、個人個人の細かな動向についてまで把握することが容易になった。それらの豊富なデータを活用する「デジタルマーケティング」はリアルタイムでのデータ分析も可能であり、「顧客が今この瞬間、何を求めているか」といったニーズにも素早く対応することができる。デジタルデータを活用した個人特定でターゲティングやセグメントによる最適な露出が可能になり、広告効果の向上も期待できるため、顧客それぞれに応じたOne to Oneのアプローチを叶えられるのが「デジタルマーケティング」の最大のメリットといえるだろう。さらに、当然のことながら、デジタル化による業務効率の向上や、経費削減の実現も叶えてくれる点もこの手法の大きなメリットである。

ほとんどの顧客がスマートフォンやタブレットを所持し、いつでもどこでもインターネットに接続できる環境が整う現代、企業は顧客といつでもつながることのできる潜在的な接点を持てるようになった。一方で、顧客が商品やサービスの購入に至るまでのプロセスは非常に多様化しており、それに応じたマーケティングを行うためには「デジタルマーケティング」の活用は必要不可欠といえよう。情報過多なこの時代において、顧客と最適なタイミングでつながることが、その後の関係性を構築するために大変重要になってくるからだ。

デジタルマーケティング活用のポイント


この時代にマーケティング活動を行ううえで鍵になるのは、ただ大量のデータを収集することではなく、集めたデータを数値化し、いかに効果的、効率的に利用できるかにあるだろう。前述の通り、現代では企業と顧客間の接点が増えたため、デジタルマーケティングによって得られるデータ量も劇的に増加している。一方で、この膨大なデータのどこに着目し、分析・活用すればよいかという判断が難しい点が大きな課題といえるだろう。

最近では、こうしたデータ活用を目的とした営業ツールやサービスも増えてきている。やみくもにデータを収集して満足するのではなく、そのデータをいかに活用し、顧客の体験に高い付加価値をもたらすことができるかについて、こうしたツールを用いながら追求していくことが大切なのだ。的確なサービスを最適なタイミングで顧客に提供することで、顧客との膨大な接点の一つひとつを価値のあるものに変えること。顧客が「この企業とつながり続けたい」と思える意味や価値を提供し、特別感を与える質の良い顧客体験を創り出すために、この「デジタルマーケティング」を活用したいものである。「デジタルマーケティング」を効果的に活用できた暁には、自社の商品や企業への信頼感を高め、継続的なファンを生み出すことができるのである。

企業におけるデジタルマーケティングの代表的な手法


デジタルマーケティングはWebマーケティングも包括しており、ひとつひとつの手法は馴染みのあるものも多い。ここでは、デジタルマーケティングの代表的な手法を見ていく。

Webサイト

Webサイトの運用は、デジタル戦略に欠かせない重要な基盤である。コンテンツの拡充だけでなく、SEOで検索対策を行って流入を増やすほか、SNSやECサイトなどと連動させるのも有効だ。昨今ではスマートフォンによる閲覧が非常に増えているため、Webサイトのレスポンシブ対応は必須といえる。

デジタル広告

リスティング広告やディスプレイ広告のほか、SNS広告やデジタルサイネージなどがある。新型コロナウィルスの影響でインターネットが頻繁に利用されるようになり、広告は検索対策としても効果的なため、デジタルマーケティングにおいて欠かせない手法だ。ユーザー層は広告の種類により違いがあるので、ターゲットに対して適切な広告を表示できるかどうかが重要になってくる。

コンテンツマーケティング

ブログや動画、オウンドメディアなどで独自のコンテンツを発信し、認知度の向上や見込み顧客の育成を行う手法。商品に対する理解を深めるコンテンツやユーザーにとって有益な情報を掲載することで、ファン化や商品の購入を促す効果がある。顧客の求めるものはその時によって変わるため、顧客のニーズに合致したコンテンツを継続的に提供するよう心がけたい。

SNSマーケティング

InstagramやFacebook、Twitterなどを通して行うもので、今や欠かせない手法のひとつ。SNSアカウント運用のほか前述したSNS広告も含まれ、「いいね」や「シェア」の数で効果を可視化でき、ユーザーとの距離が近くコミュニケーションを取りやすいという特徴がある。Webサイトへの流入を増やすほか、SNSでの口コミを重視するユーザーも増えているため、SNSマーケティングの重要性は今後ますます高まっていくものと思われる。


デジタルマーケティングのこれから


今後のデジタルマーケティングでは、AI(人工知能)や動画マーケティングの需要が高まると予想される。身近なところではECサイトのレコメンド機能でAIが活用されており、顧客一人一人に合わせたマーケティングを自動で行えるほか、回数を重ねるごとにAIの機械学習によって精度が上がるなどの特徴がある。AIとデジタルデータをかけ合わせたパーソナライゼーションにも注目したいところだ。

動画マーケティングは、より多くの情報伝達が可能で、より記憶に残りやすい映像コンテンツを用いた手法である。ニールセンの調査によれば、スマートフォンからの動画視聴時間は2015年から2019年の5年間で約4倍になっているという。YouTubeやInstagramなどで広く活用されており、2020年から5Gサービスが提供開始されたこともあって、さらなる成長が期待される分野だ。

迅速かつ柔軟な対応が成功の鍵


インターネットやスマートデバイスなどが常に顧客を取り巻き、企業が膨大で多様な顧客情報を容易に入手できるようになった現在、効率性を追い求めたマーケティングのデジタル化は必然の流れであろう。5Gの本格稼働により通信環境が整備され、AIやIoTの浸透が進む中で、デジタルマーケティングが近い将来、新たな局面を迎えることも想像に難くない。

デジタル時代における企業活動では、目まぐるしく変化していくトレンドや顧客ニーズをいち早く取り込み、対応していくことが成功への鍵。そのためには、Webサイトやメール、SNS、Web広告といった複数の既存チャネルだけに限らず、スマートスピーカー、サイネージなど、ありとあらゆるチャネルにまたがる顧客一人ひとりのデータを統合し、シームレスなカスタマージャーニーを提供することで、ファンを増やしていくことが必要不可欠となっていくだろう。こうしたデジタルの時代の流れに柔軟に対応するために、多くの企業で「デジタルマーケティング」が取り入れられ、日々進化を続けている。

よくある質問と回答


Q. デジタルマーケティングに役立つ資格は?

A. デジタルマーケティングに関連する資格として、「マーケティング・ビジネス実務検定」「ネットマーケティング検定」「ウェブ解析士」「Google広告認定資格」などが挙げられる。マーケティングを体系的に学ぶことができ、スキルアップや就職にも役立つため、必要に応じて取得することをおすすめする。


Q. デジタルマーケティングの成功事例は?

A. 代表的なものでは、Instagram施策を中心に展開し、前モデルと比較して売り上げが2倍になったパナソニックの事例などが存在する。データ的な裏付けを取り、商品に対する顧客の認識を整理し、顧客視点で取り組んだ結果、大きな成果に繋がったという。

メルマガ登録
  • facebook
  • Twitter
  • LINE