マーケティングコミュニケーションとは?意味や種類、戦略手順、成功事例


Writer:
山崎雄司
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マーケティングコミュニケーション(Marketing Communication)とは、企業や組織が市場に存在する顧客やターゲットに対して、自社の商品やサービスを認知させるために行う一連の活動のことを指す。

マーケティングコミュニケーションとは


マーケティングコミュニケーションとは、企業が自社の商品やサービスと顧客をつなげるために行う一連の広報活動全般のこと。従来のような一方的な押し付け型の広告ではなく、顧客やターゲット市場との双方向コミュニケーションを重視した販売促進や広報活動が主流となってきている。

マーケティングコミュニケーションの主な種類


広告

テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、インターネット、屋外広告などのメディアを利用した情報発信のこと。テレビや雑誌などのマスマーケティングに多い一方的な情報発信に代わり、近年ではWeb広告やールマガジン、SNS、プレスリリースなどのデジタルを活用したコミュニケーション手段も主流となってきている。商品やサービスに興味がない消費者にも広く発信し、認知してもらう手段として多く利用される。また、たとえばテレビCMとYouTube広告で分けて配信するといった、メディアを横断的に利用するクロスメディア戦略も注目されている。

販売促進

クーポンの配布や期間限定のポイントプログラムなど、短期的な取り組みで顧客の購入意欲を刺激する活動のこと。実店舗でのサンプル配布や試食、POPの設置といった店頭での活動や、Webサイトやアプリなどを介したクーポンの配布やタイムセールといった様々な手法がある。手軽でお得感を演出できる手段を活用することがポイントである。

PR(パブリックリレーションズ)

業界誌やビジネス誌、新聞、テレビなどといったメディアに対して自社の商品やサービスについての情報を発信し、報道機関との関係構築やブランドの認知度を向上させる活動のこと。商品の発表会やニュースリリース、セミナーや後援会などがあげられる。広告とくらべると比較的売り込み感が少ないため、顧客に広く受け入れられやすい。

ダイレクトマーケティング

メールや書面、ダイレクトメール、eメールマーケティング、テレマーケティングなど、特定の顧客や見込み客などに対して直接働きかけ、反応を見ながら関係性を築いていく手法。ターゲットを絞り込んだコミュニケーションを取ることができることが特徴だ。メールなどのインターネットを活用すると費用を大幅に抑えることができる。

デジタルマーケティング・オンラインマーケティング

SEOSEMSNSマーケティングアフィリエイトマーケティングコンテンツマーケティングといったさまざまなデジタルチャネルを利用したマーケティング活動のこと。なかでも自社の商品やサービスに関連した有益な情報を提供するコンテンツマーケティングは消費者の受け入れがよく、良好な関係構築ができるマーケティングコミュニケーションのひとつとして注目されている。


イベント

展示会やセミナー、講演会の開催、スポーツイベントなどへの協賛といったリアルな場での接触を実現するブランド露出の手法。直接商品やサービスに触れて実体験を提供できるのが最大のメリットである。幅広い層への働きかけはもちろん、ターゲットに向けた限定イベントを開催し、参加者からのフィードバックを得たり、より細かいヒアリングを実施したりすることも可能だ。インターネットを活用したウェビナーの実施も活発になっている。

マーケティングコミュニケーションの戦略手順


目的の設定

まず何を達成するために行うコミュニケーションなのかを明確に設定しよう。ブランド認知を獲得するためなのか、販売施策を検討するためのデータ収集をしたいのかでは選ぶコミュニケーション手段も変わってくる。たとえばLTVの向上のためには継続的なコミュニケーションが必須になるため、複数回の取引を行うことのできる手段を選ぶ必要がある。まずは達成したい目的は何かを具体的に定めることが重要だ。


ターゲット市場の特定

その目的達成のために、誰とコミュニケーションをする必要があるのかを特定しよう。顧客のセグメントを作成し、年代や性別といった属性情報とともにサイコグラフィック、購入行動などの特性を理解することが大切だ。

コミュニケーションメッセージの作成

注力すべきターゲット市場の特定ができたら、目的達成のために伝えるべき内容を明らかにし、コミュニケーションメッセージを作成しよう。その際に大切なことは、顧客目線で顧客の行動全体を理解し、その価値観を把握することである。ターゲット市場にとって大切なことはなにか、解決したい課題は何かを考えることで、伝えるべきメッセージの内容が浮かび上がってくるはずだ。明確で魅力的なメッセージを作成しよう。

適切なメディアの選択

テレビやSNS、イベントなどといった様々なチャネルの中からターゲット層に届きやすいメディアを選択しよう。どんなにいいメッセージを作成しても見てもらえなければ意味がなく、選択の際は達成すべき目的に合った手段を選ぶことが重要だ。誰と何のためにコミュニケーションを図るのかを念頭に、予算と合ったメディアを検討していこう。

予算の設定

紙媒体とインターネット媒体ではかける費用も時間も大きく異なる。また、比較的予算を抑えやすいオンラインマーケティングでも、クオリティの高さとかかる費用は比例する。売上から広告費に充てられる一定の割合を決め、マーケティングコミュニケーション活動のための予算を計画、分配しよう。

実行と展開

決めた達成目標とターゲット市場、選定したチャネルでマーケティングコミュニケーションを具体的に実施していく。このとき、予算を超える事態が発生しないよう注意が必要だ。最初のリーチから目的達成に至るまで、一貫したマーケティングコミュニケーション設計になっているかを確認しながら実行・展開していく。

評価とフィードバック

実行した戦略によって具体的にどのような効果が生じたかを検証する。広告キャンペーンの反応やWebサイトのトラフィックの分析、CVRの測定などさまざまな手法があるが、顧客間の反響や売り上げの向上など達成目標に適した効果測定を行うことが重要である。選択したメディアは適切だったか、予算に見合った成果が得られたかなどのフィードバックを得たうえで次のステップを計画しよう。


最適化と調整

評価結果をもとに、戦略の最適化と調整を行う。はじめからシナリオ通りの結果が出るとは限らないが、データの蓄積により見えてくるものもあるはずだ。戦略の改善やコミュニケーション手段の見直し、費用対効果の分析などを継続的に行い、実行内容の調整を行っていくことで、より効果的なマーケティングコミュニケーションの実現につなげる。

マーケティングコミュニケーションの成功事例


動画配信サイトのキャッチコピー

2014年にある動画配信サイトで印象的なキャッチコピーが配信された。それまでこの配信サイトは動画を視聴するためのメディアとしてとらえられていたが、このキャンペーンにより「視聴者に対して発信する職業」を世間に認知させることに成功。これを機に動画投稿自体への心理的なハードルが下がり、結果的にその動画配信サイトには一般人などからのさまざまな分野の動画が蓄積され、活発なコミュニケーションの場となった。

100円均一ショップの取り組み

ある100円均一ショップでは、SNSのひとつであるインスタグラムで店舗からのライブ配信を行い、新店舗からの中継や新商品の紹介などを実施。SNS上の声から新商品を開発するなど、活発なコミュニケーションマーケティングを行っている。来店者に対してはSNS向けに店内での写真撮影や投稿を許可し、新商品や便利グッズがSNSで話題にのぼるようにしかけている。また、おすすめ商品の「総選挙」を開催し、ユーザーに決定権を付与することで顧客との双方向コミュニケーションをはかり、売上を伸ばしている。

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