リターゲティングとは? 意味や仕組み、メリット、ポイント、費用


Writer:
山崎雄司
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リターゲティングとは、あるWebサイトを訪れたことのあるユーザーに対し、その後の行動を追跡して再度広告を表示させること。再び表示された広告のことをリターゲティング広告と呼ぶ。

リターゲティングとは


リターゲティングとは、Webサイトへの訪問履歴のあるユーザーをサイト離脱後も追跡し、別のサイト上で再度広告を表示させることをいう。
Webサイトを訪れたユーザーは、商品の比較・検討のために一度サイトを離れることがある。そこで、リターゲティングによって再度アプローチをかけて商品を思い出してもらい、離脱したユーザーを再び取り込むことを目的とする。離脱したユーザーは、その商品やサービスをすでに認知しているためCV(コンバージョン)につながりやすく、CVR(コンバージョン率)を上げるための効果的な手法として注目されている。


リターゲティングの仕組み


リターゲティングを実施する際には、Cookie(クッキー)を用いてユーザーの閲覧の動向を追跡する。Cookieとは、閲覧しているWebサイトからスマホやPC内のブラウザに保存される情報のことで、その情報には訪れた日時や訪問回数など、ユーザーのアクセス履歴が含まれている。これを基に、当該サイトへ訪問したことがあると識別されたユーザーに対してリターゲティング広告が配信される仕組みだ。その際、当該サイトにリターゲティング用のタグを設置する必要がある。
なお、Cookieには「閲覧後すぐ離脱」「カートに入れたが未購入」といった細かな行動情報が含まれるため、より細かなターゲティングを行うことが可能。リターゲティング広告を運用する際は、こうしたCookieに基づくさまざまなターゲティングリストを活用するとよい。たとえば「購入済みのユーザーには配信しない」といった除外リストを作成するなど、ターゲットを絞り込むことで広告配信の効率化につなげる。


リターゲティングのメリット


リターゲティングの大きなメリットとして、費用対効果の高さが挙げられる。リターゲティングはその性質上ユーザーの関心事に基づいていることが多く、すでに商品やサービスを認知しており購入を検討しているなどの見込みの高いユーザーが対象になるため、CVRも高い傾向。また、Cookieを基にターゲットを絞り込むことで、広告の無駄打ちを防ぐことにつながる。
さらに、リターゲティング対象を細かくリスト化することで、たとえばサイトを訪問してから一定期間を経たユーザーにリターゲティング広告を表示させるといった詳細なカスタマイズが可能だ。高額な商品やBtoB向けのサービスなど、検討期間が長くなりやすい商材を扱っている場合は、ユーザーに再度アプローチを行い、自社を思い出してもらうことで機会損失の回避も期待できる。

リターゲティングのデメリット


何度も同じ広告が表示されることで、ユーザーが不快に感じる可能性がある。過度な広告表示や購入済み商品の広告などはユーザーにとって不要なだけでなく、企業やブランドのイメージを損なうリスクも。このような状況を避けるために、リターゲティングの戦略を適切に設計し、実施することが大切だ。
また、リターゲティングは自社のWebサイトを訪問したことのあるユーザーが対象となるため、潜在顧客の取り込みにはあまり適していない。


リターゲティングとパーソナライズドマーケティング


パーソナライズドマーケティングとは、顧客の属性や興味・関心、購買行動などを基に、顧客一人ひとりに最適化されたマーケティングを展開する手法のこと。顧客にとって最適な情報を最適なタイミングで届けることを可能にする。
リターゲティングはパーソナライズドマーケティングの一つの例といえるだろう。リターゲティングをパーソナライズドマーケティングの一環として適用することで、より深度のあるユーザーエンゲージメントを達成することが可能になる。

リターゲティング広告の料金体系と費用


クリック型

広告がクリックされることで料金が発生するシステムのこと。表示だけでは課金されず、また興味のないユーザーはクリックしないため、費用対効果は高い傾向。ただ、CVRが低い場合には広告費がかさむことになるので注意が必要だ。一般的には1クリック当たり数10円~数100円の費用がかかることが多いが、競争が激しい業界では単価(CPC)が高くなる傾向がある。


インプレッション型

広告の表示回数によって料金が発生するシステムのこと。クリックや購入などといったアクションに関係なく課金されるため、無駄なインプレッションに費用が発生する可能性がある。一方、急激にクリック数が増えるようなことがあった場合でも想定外の広告費が発生せず、運用時の負担が少ないため、CPCを下げることにつながる。インプレッション単価(CPM)はおおよそ1,000回につき数10円~数100円ほど。


リターゲティング広告のポイント


ユーザーに応じた配信をする

リターゲティング広告は、配信の対象を細かくリスト化することで特定の対象に特定の広告を再度配信することができる。そのため、ユーザーに応じた適切なセグメンテーションが重要だ。トップページで離脱し商品詳細ページにたどり着くことのなかったユーザーであれば購入意欲は低いと考えられ、商品の詳細ページで離脱しているユーザーであれば他社製品との比較・検討をしている可能性が高いと予測できる。このように、ユーザーの行動や興味に基づいてグループを細分化したリストを作成し、それぞれに適したメッセージや広告を配信しよう。

配信頻度や時期に注意する

リターゲティング広告は商品やサービスを認知している対象に表示するからこそ、その頻度や時期には注意が必要だ。離脱直後の広告は煩わしいと思われてしまう可能性もあるが、比較検討中であれば数日経過した後に送ることで商品を思い出すきっかけになり、有効なアプローチとなるだろう。
また、商材の価格が高額になるほどユーザーの購入検討期間は長くなり、低額になるほど短い傾向があるなど、商材ごとにも検討期間が異なるため、最適な配信時期を設定することが大切。適切な表示頻度は予想でとどまらず、実際の運用データから判断・調整するようにしよう。

効果的なクリエイティブを作成する

ユーザーの印象を悪くしない、質の高い効果的なクリエイティブを作成しよう。離脱したユーザーを追いかけて広告を再表示するというその性質から、的外れな広告では逆効果になりかねない。ユーザーの行動履歴や関心に基づいてパーソナライズされた広告を作成し、細かくセグメントした対象に配信することが大切。再び興味をもって訪れるユーザーはCV率も高いことが期待される。そのためにも魅力的な画像、鮮明なキャッチフレーズ、わかりやすいCTAなどを使用して、ユーザーの関心を引き付けたい。


効果測定を行う

運用後に必ず効果測定を行うことが重要。セグメントは適切か、リストに対して表示されている広告の費用対効果はどうかなど、クリック数やCVR、CPAなどの指標を活用して実際のパフォーマンスを把握する。測定結果を基にそれぞれの効果を分析し、リストの見直しやCVRの低い対象の除外など、改善点や最適化のポイントを洗い出して戦略を改善し続けることも大切だ。

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