アトリビューションとは?意味や基本モデル、分析手法、必要性


Writer:
山崎雄司
  • facebook
  • Twitter
  • LINE

アトリビューション(Attribution)とは「帰属」という意味で、CV(コンバージョン)への貢献度をメディアごとに測ることをアトリビューション分析という。アトリビューション分析をすることで、最終的な成果に結びつくまでにユーザーが通過したさまざまなタッチポイントを把握し、それぞれのマーケティング効果を分析することができる。

アトリビューションとは


アトリビューション分析とは、CV(コンバージョン)に至るまでにユーザーに間接的に影響を与えた各タッチポイントの貢献度を把握する分析手法。「間接効果」、「アトリビューションモデル」とも呼ばれる。
ユーザーは、購入に至るまでに、複数の広告やメディアなどに接触しながらブランドや商品、サービスを認識し、興味を徐々に高めていくものである。アトリビューション分析では、こうしたタッチポイントそれぞれがCVに至るまでに与えたインパクトを評価し、各チャネルのマーケティングアプローチがどのくらい効果的に働いたのかを把握するのに役立つ。


アトリビューション分析の目的と効果


アトリビューション分析の目的は、マーケティングROIの改善やキャンペーンの最適化、予算配分の改善、そしてCVRを向上させることなどである。分析の結果により、どのチャネルを改善するべきか、どのタッチポイントがカスタマージャーニーに影響を与えたかを特定し、広告予算やリソースの配分の検討に活かすことができる。


5つの基本モデル


アトリビューション分析における各接点の評価方法には、5つの基本モデルがある。

ラストクリックモデル(終点モデル)

CVに結びついた最後の接点のみに100の貢献度を割り振るモデル。結果はアトリビューション分析を行わない場合と同じになる。最もよく使われているモデル。

ファーストクリックモデル(起点モデル)

ラストクリックモデルの逆で、最初の接点のみに100の貢献度を割り振るモデル。ブランド認知を目的とした広告やキャンペーンの分析時に使われることが多い。

均等配分モデル(線形モデル)

CVに至ったユーザーが通過したすべての接点に、均等に貢献度を割り振るモデル。5つのモデルの中で最もシンプルだが、どれが最も貢献度が高いチャネルなのかを厳密に判断するのが難しい。

減衰モデル

CVに至ったユーザーが通過したすべての接点のうち、CVに近い方により高い貢献度を割り振るモデル。

接点ベースモデル(ポジションベースモデル)

最初と最後のタッチポイントに大きく貢献度を割り振るモデル。ブランドや商品の認知と、最終的にCVへとつながったタッチポイントを重視する。
 
なお、Googleアナリティクスでは現在、上記5つの分析モデルに加え、過去のデータに基づいてコンバージョンの貢献度を割り当てる「データドリブン アトリビューション」の6つの分析モデルが用意されているが、2023年7月より「ファーストクリック」、「線形」、「減衰」、「接点ベース」のサポートが終了予定。「データドリブン アトリビューション」がデフォルトのアトリビューションモデルとなる。

アトリビューション分析の手法


仮説を立てる

カスタマージャーニーマップを作成してユーザーがCVに至るまでの経路を把握し、どのメディアに触れ、そこでどのような効果が想定できるか仮説を立てる。

仮説を検証する

広告分析ツールを使い、CVしたユーザーの行動から広告の効果測定を行う。Googleアナリティクスを使う場合は、「コンバージョン」→「マルチチャネル」→「モデル比較ツール」を確認。

検証結果に基づいて改善を行う

どのタッチポイントが最もインパクトを与えたかを検証し、広告の予算分配を見直す。その都度、どのようにCVRが変化したかを検証し、仮説と検証を繰り返していく。

アトリビューション分析の課題


アトリビューション分析だけでは、オフライン(店舗での購入など)とオンライン(Webサイトでのクリックなど)のタッチポイントを統合して分析するのが難しいといわれている。また、各アトリビューションモデルは、タッチポイントごとに貢献度を割り当てるため、どのモデルを選んだかによって分析の結果が大きく変わることがある。したがって、選択したモデルによっては、誤った結論を導く可能性がある点に注意したい。
さらに、消費者の行動は非常に複雑で、一律ではない。そのため、消費者の行動を一部のタッチポイントのみで検証するアトリビューション分析では、全ての影響因子を捉えることが難しい。

アトリビューション分析に向くケースと向かないケース


さまざまなタッチポイントの貢献度を分析するアトリビューション分析は、日用品や低額の商材といった購入までの検討期間が短い商材の検討にはあまり向かない。一方で、購入までの期間が長い高額な商品を扱う業種や、BtoBビジネス、複数のメディアで広告を行う商材、セッション数の多い商材などの分析に有効だといわれている。

メルマガ登録
  • facebook
  • Twitter
  • LINE