マーケットインテリジェンスとは?定義や種類、メリット、BIとの違い


Writer:
山崎雄司
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マーケットインテリジェンス(Market Intelligence)とは、市場における幅広いデータを収集・分析し、企業やブランドの戦略的な意思決定を行うプロセス全体のことを指す。

マーケットインテリジェンスとは


インテリジェンス(Intelligence)とは情報や知見を意味する言葉であり、マーケットインテリジェンスは「市場戦略情報」と呼ばれる。
ITの進歩により、企業は市場や顧客のデータを多く入手できるようになった。このような膨大な情報をマーケティングに有効活用していくためには、顧客情報やその企業の置かれている環境、競合他社などを分析して市場の変化を確実に捉え、新たな事業機会やリスクを予測して今後の見通しを立てていくことが重要となる。マーケットインテリジェンスは、その一助となる手法やツールである。
なお、マーケットインテリジェンスは「マーケティングインテリジェンス」「MI」と呼ばれることもある。

マーケットインテリジェンスが注目される背景


データの増加

現代はデジタルテクノロジーの進化によって、多くの情報がデータ化されている。ソーシャルメディアやWebサイトはもとより、顧客情報や行動履歴、販売データなど、企業内外の膨大なデータが市場には存在する。これらのビッグデータを取捨選択し、どのように活用するかがマーケティング戦略の成果に大きく影響する。


競争の激化

市場のグローバル化や新興企業の台頭により、競争が激化している。このような環境下において、市場のニーズやトレンド、競合他社の動きを的確に捉えることが重要であり、機先を制することにつながる。

顧客中心のアプローチ

顧客のニーズや嗜好は、日々変化している。この変化を確実に捉え、顧客中心のアプローチを実施することがマーケティング戦略の肝となる。マーケットインテリジェンスを活用すると、顧客に関する多くのデータを収集・分析して理解を深め、顧客ニーズに沿った施策の策定に役立てることができる。

マーケットインテリジェンスのメリット


戦略的意思決定の支援

マーケットインテリジェンスは、市場の膨大なデータから必要な情報を抽出・分析し、客観的な判断を可能にするため、企業の戦略的意思決定を強力にサポートできる。さらに、部門間での情報共有によって連携の強化も期待でき、迅速なアクションへとつなげられる。

リスクの軽減

マーケットインテリジェンスでは、ビッグデータを活用して市場の変化や競合他社の動向を予測することが可能となる。将来起こりうるリスクにも気づくことができるため、企業側のリスクを最小限に抑えられる。

顧客満足度の向上

膨大な市場データの分析を通して、さまざまな顧客接点におけるコミュニケーションを見直すことができる。各チャネル及び顧客接点において、顧客ニーズに合わせた適切な施策やマーケティング戦略を策定することにつながり、顧客満足度の向上が期待できる。

競争力の強化

マーケットインテリジェンスを活用することで、自社や競合他社の強みや弱みを把握し、今後の動向を予測することが可能となる。これにより市場全体を理解でき、企業は適切なタイミングで市場へ参入できる。結果、市場でのシェア拡大を優位に進めることにつながる。

迅速な対応

マーケットインテリジェンスは、常にマーケティングに関する情報がリアルタイムで共有される。特に市場の動向や競合他社の状況をリアルタイムに把握することができるため、企業の迅速な対応を可能にする。

マーケットインテリジェンスの種類


競合他社に関するインテリジェンス

競合他社の情報を収集し、動向を監視するプロセスのこと。収集したデータから競合他社について分析し、競合他社の強みや弱み、市場におけるポジション等を把握する。そのうえで、自社のマーケティングの戦略に活かし、商品やサービスの改善を行う。

カスタマーインテリジェンス

顧客の情報を収集し、顧客ニーズを把握して施策をパーソナライズするプロセスのこと。膨大な顧客情報や購買行動データを分析し、顧客ニーズを掘り起こす。そして顧客を深く理解し、ニーズにマッチした効果的な戦略の策定につなげる。

地政学的インテリジェンス

地政学的インテリジェンスとは、企業を取り巻く地域的、政治的な環境を把握するプロセスのこと。歴史や政治、法律、文化などに関連する地政学的リスクは、国際関係や企業の経済活動に大きな影響を与える。地政学的インテリジェンスを活用することで、今後起こりうる脅威やセキュリティリスクを軽減できる。

ソーシャルメディアインテリジェンス

SNSやブログ、口コミサイトの投稿など、ソーシャルメディア上のユーザーの会話を収集・分析することによって、ユーザーのインサイトを引き出し、市場の動向を把握するプロセスのこと。ソーシャルリスニングの手法を用いて定性データを収集・分析する。分析したデータは、市場予測や炎上対策などのリスク管理などに活用する。


プロダクトインテリジェンス

製品・サービスに関するデータを収集・分析するプロセスのこと。競合他社の製品の機能や価格と比較したり、顧客のフィードバックなどの情報を収集・分析したりすることで、顧客ニーズに合った製品の提供や機能の改善、需要の高い地域や販売ルートなどを把握できる。

ビジネスインテリジェンス(BI)との違い


マーケットインテリジェンスとよく似た言葉に、ビジネスインテリジェンス(Business Intelligence)がある。ビジネスインテリジェンスはBIと略され、企業の情報システムに蓄積された大量のデータを使って分析し可視化して、それらに基づいた経営判断や意思決定をしていく概念や方法のことである。
マーケットインテリジェンスは、さまざまなビジネスの中でマーケティングに特化した情報を扱うため、ビジネスインテリジェンスの一部と捉えられる。

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