ソーシャルリスニングとは?意味やメリット、手順、手法、ツール


Writer:
山崎雄司
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ソーシャルリスニングとは、ソーシャルメディア上で発信されるユーザーの本音や意見を収集し、分析を行うマーケティング手法のこと。

ソーシャルリスニングとは


ソーシャルリスニングとは、特定のキーワードに関して、SNSやブログ、掲示板、レビューサイトなどのソーシャルメディアに投稿されたユーザーのリアルな声を収集・分析するマーケティング手法である。ユーザーのインサイトを把握し、顧客理解を経て、商品開発や広告、ブランディングといったビジネスプロセスへと活かしていくことを目的とする。また、炎上対策や風評被害対策といったリスク管理や、市場予測にも活用することができる。

ソーシャルリスニングのメリット


消費者の動向の把握

自社製品やジャンル名など、特定のキーワードについて投稿された口コミ情報やSNS投稿を収集することで、そのキーワードに関する消費者の動向を知ることができるのがメリットの一つ。同一キーワードでの情報収集を定期的かつ集中的に実施することで、商品に対する消費者のニーズや、時期や天気と投稿数の増減との関連、業界の動向などを把握し、キャンペーンや広告を打つ最適な時期を検討する。

生の声の把握

ソーシャルメディアにおける発言は、決められた設問に答える形式のアンケートや、特定の誰かに向けて発信されたものとは異なり、自然な会話であるため忌憚のない意見が多い。なかでも匿名性の高いメディアはその傾向が強く、ユーザーの本音をリアルタイムで把握できる
また、調査対象の幅が広いため、不特定多数のユーザーによる率直な意見を数多く集めることができ、自社や自社商品の世間からのブランドイメージを理解することにもつながる。

リスク管理

ソーシャルメディアで発信されている、自社商品やサービスに対してのネガティブな意見や、風評につながりそうな投稿をチェックすることで、炎上のリスクを把握できる。より早く気付くことができれば、顕在化しないうちに対策を講じることも可能。また、ネガティブな内容が拡大した場合でも、その原因となる投稿を把握できていれば、早急に沈静化の対策に取り掛かることができる。

ソーシャルリスニングの手順


1.調査の目的を明確にする

「自社がリリースした新商品に対するユーザーの評価を知る」「競合他社のサービスを利用するユーザーの口コミを把握する」「トレンドを把握して広告内容を検討する」など、調査の具体的な目的を決める。

2.メディア選定・キーワード選定

次に、リサーチ対象にするメディアを決定し、適切なキーワードを選定する。メディア選定の際は、どのようなデータが必要かを明確にし、投稿者の属性や情報の信頼性を確認しておくと、その後のリサーチを効率的に進めることができる。

3.データを収集・分析する

〇数値分析
ユーザーの投稿を数値的な観点(投稿数やリーチ数など)で分析し、ユーザーの全体的な動向を把握する。
 
〇ポジティブ・ネガティブ分析
投稿内容をポジティブとネガティブに分類し、どちらの割合が多いかで、ブランドイメージを把握する。
 
〇投稿分析・アカウント分析
キーワードに関する投稿や、競合他社との比較といった定性的なデータを、アカウントベースで分析する。具体的には、まず時系列での投稿数の推移を確認し、閲覧人数や投稿者のアカウントを確認する。反応の多い投稿や影響力のある投稿者を把握し、分析することで、拡散力のあるキャンペーンや広告を打つなど、次の手法を考えるきっかけになる。また、ツールによっては、投稿に含まれる頻出キーワードを抽出できるため、ニーズや改善点の把握にもつながる。

4.マーケティングへ活用する

ソーシャルリスニングで得られた情報により、自社が発信している情報が世間にどのように届いているかを確認できる。自分たちのマーケティング施策が、目標としていた結果を生み出しているかを確認し、次の企業活動に活かす。

ソーシャルリスニングの手法


メディアの検索窓でキーワード検索をする

メディアの検索窓にキーワードを入力し、関連する情報を収集する。たとえば「のど飴」に関して検索する場合、「のど飴 おいしい」「のど飴 おしゃれ」のように、商品名だけでなく形容詞や感情を表す言葉なども一緒に検索することで、対象に関するユーザーのよりリアルな意見やニーズを汲み取ることができる。

Yahoo!リアルタイム検索

検索窓の上にある「リアルタイム」をクリックするか、検索したいキーワードに「なう」をつけることで、リアルタイムでの関連ツイートがピックアップされる仕組み。また、「楽しい」などのワードを検出することで、感情の推移も把握できる。画像や動画の投稿も検索可能。


Googleトレンド

特定のキーワードやトピックがGoogle内でどのくらい検索されているかを、グラフで視覚的に捉えることができる。
また「急上昇ワード」により、世間で何が話題になっているかをリアルタイムで検索することが可能。検索ボリュームが大きい単語は大きく表示されるため、最新のトレンドキーワードを視覚的に把握できる。


X(旧Twitter)の「高度な検索」

twitter.comのホームページからログイン後、検索バーにキーワードを入力し、ページ右上の検索フィルターから「高度な検索」を指定すると、検索結果をカスタマイズすることが可能。主要なキーワードのほか、期間、地域などを指定することにより、複合的な検索結果を得られる。


Instagramの「インサイト」

Instagramでは、各投稿や動画の「インサイトを表示」を開くことで、特定の投稿に対するフォロワーの全体的な傾向や属性、再生数、リーチしたアカウント数、アクションを実行したアカウントなどのインサイトを表示できる。なお、サービスの利用にはInstagramのビジネスアカウントまたはクリエイターアカウントが必要であり、モバイルアプリからのみの利用となる。


ソーシャルリスニングツール


ソーシャルリスニングを行う場合、SNSや口コミサイトなどに投稿された膨大な量の定性データから、自社に有益な情報を抽出し収集・分析する必要がある。手作業のみでは難しいため、これらの作業を自動化するソーシャルリスニングツールを利用するとよい。
ツールの種類によって搭載している機能が異なるため、自社に必要な機能は何かを事前に把握しておく必要がある。そして、対応しているSNSおよび収集できる情報量、分析メニューの種類と分析速度、操作感、費用などを確認し、自社に最適なものを慎重に選びたい。

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