CPOが33%改善した株式会社J-オイルミルズが、課題把握のために取り組んだ「顧客理解」とは


Writer:
山崎雄司
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ツールを導入し顧客理解に努めても、リアルな顧客の声を聞くことは難しいため、細かいデータを読み解くのに限界があるといった理由で伸び悩む企業は少なくない。
そのような中で、CPOの大幅な改善に成功した株式会社J-オイルミルズは、CRM/MAツール「カスタマーリングス」の導入により、自社の課題を把握し、成果を上げてきた。
そこで、具体的にどのようにして成果を上げたのか、実際の導入事例を紹介しよう。

事例の概要


株式会社J-オイルミルズは、さまざまな食用油脂の製造・販売を業務とする食品メーカーである。同社は、従来の家庭用製品の店頭販売に加え、2020年3月に自社のECサイトを開設した。その後、リソースの確保および作業の効率化を目的に「カスタマーリングス」を導入し、ECの課題を明確にするために購入者アンケートを実施。定性データの取得により、送料や購買頻度に課題があることを把握できた。この結果を踏まえ、送料がお得になるような販売施策を実施したところ、CPOが33%改善。購買頻度については、顧客フォローの重要性を認識し、できる限りの対応を実施している。さらに、導入時の目的であったリソース不足も改善。今後も継続的に施策を強化していく見通し。

抱えていた課題


1. 顧客の声を収集しづらい


カスタマーリングス」の導入前から、注文履歴やメルマガなどのデータを裏付ける顧客のリアルな声の重要性を認識しており、早くから顧客アンケートによる定性データの活用に着目してきたJ-オイルミルズ。しかし、食品メーカーである同社は、基本的に小売業者を通じて商品を販売するため、従来の販売スタイルでは直接顧客と関わる機会が少ないことが課題であった。EC事業を開始した後も、注文履歴やメルマガ配信などで定量的なデータの把握はできたが、データを裏付ける根拠となる顧客のリアルな声を知りたいと考えていた。

2. 必要な分析が行えない


以前はGoogle Analyticsをメインで使用し分析していたが、単体使用ではデータとデータを掛け合わせて1つのデータを作成することができず、その加工に手間がかかっていた。
また、Google Analyticsでは定量的な数字は把握できるが、顧客一人ひとりの行動履歴が追えないため、顧客のリアルな声は把握できず、細かな分析を行うことが難しくストレスを感じていた。

3. リソースの不足


少人数体制でEC業務を回していたため、リソース不足も課題であった。顧客へのアンケートを重要視していたものの、実際には手が回っていなかったため、CRM施策や購入後のフォローを自動化・簡略化できるMAツールの導入を検討していた。


カスタマーリングスを導入した理由


1. 機能が豊富で料金とのバランスがよい


高機能でもカスタマイズ料金が別途かかるものや、逆に安価だが機能が制限されるものなど、導入前より多くのサービスを比較検討してきた同社。その中で、「カスタマーリングス」は機能の豊富さと料金とのバランスが良く、コストパフォーマンスに優れており、同社のサービスの規模感や将来的にやりたいこととの相性が良いと感じた。

2. 網羅性が高く課題をまとめて解決できる


顧客情報から顧客の声を定性的なデータとして取得できるアンケート機能や、手動で行っていたステップメールの自動化、従来手間のかかっていたデータのダッシュボード化など、機能の網羅性の高さも決め手に。顧客理解やリソース不足の解消といった複数の課題をまとめて解決できると点に魅力を感じた。

課題解決への取り組み


1. 購入者アンケートの実施


「カスタマーリングス」の導入後、顧客のリアルな声を把握するために、ECサイト全般の質問を記載したアンケートを実施。新規・リピート客共に送料に関する回答が多かったため、送料面を深掘りしたところ、顧客が「商品単価に対して送料が高い」と感じていたことがわかった。以前も送料面の課題は仮説として出ていたものの、明確な根拠がなかったため検証を進めるに至らなかった。このように、アンケートデータにより顧客のリアルな声を聞けたことで、実感を伴って理解することができ、アクションを起こしやすくなった。

2. 細かな分析で想定との違いを認識


カスタマーリングス」により、細かな分析が可能になったことで、購買頻度の課題も浮き彫りに。たとえば同社の商品である「油」については、商材ごとに購買頻度が全く違うことや、想定以上に購買頻度が低いという事実が明らかになった。これを機に、顧客フォローの不足とその重要性に気づくことができた。

3. ダッシュボード作成やメールの自動化


従来は週に3回手動で運用していたステップメールの自動化により、週に2時間程度のリソース削減を達成。また、以前はGoogle Analyticsなどからデータをダウンロードして再計算していたが、カスタマーリングスのダッシュボード化によって作業を軽減した。作業の自動化は、ツールの利用を継続するほど削減効果が大きくなっていくと同時に、送信ミスをはじめとしたリスクの軽減にもつながっている。

導入後の効果


1. CPOが33%改善


送料の課題について、送料が無料となるお試し商品のセットを販売し、新規獲得(初回購入)にどの程度効果が見込めるかを検証したところ、CPOが約33%改善された。


2. 施策を考える余裕が生まれた


リピート率やLTVなど、これまで検証に時間を要したデータを定常的に見られるようになったことで、リソース不足を解消でき、他の作業に時間を割けるようになった。その結果、新たな施策を考える余裕が生まれている。


深い顧客理解が好循環を作り出す


今回は、ツールの機能を活用してどのように顧客理解を深めていくかについて、実際の導入事例を通して解説した。
リピート率や購買頻度といったさまざまな分析を、誰でも簡単に行うことができる「カスタマーリングス」。定量データを可視化するだけでなく、アンケート機能による消費者のリアルな声を顧客情報と紐付けながら定性データとして得られるため、実感を伴いながら顧客像の把握に努められる。こうした顧客理解を促す豊富な機能によって、顧客一人ひとりの顔が見えてくれば、より精度の高い施策に結び付けていけるだろう。

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