
ブランドアンバサダーとは?意味やメリット、報酬、インフルエンサーとの違い

- Writer:
- 山崎雄司
ブランドアンバサダーは、特定のブランドや企業に対し、ポジティブな発信をして宣伝を行う人のこと。アンバサダー(Ambassador:「大使」の意)が語源。
ブランドアンバサダーとは
ブランドアンバサダーとは、企業とその製品やサービスに関する情報を肯定的に宣伝し、ブランドの認知度を高める人のこと。ブランドに対する思いが強く、関心と熱量が高いことが大きな特徴。著名人に限らず、特定のロイヤルカスタマーを指す場合もある。企業アンバサダーと呼ぶことも。
ブランドアンバサダーを起用するメリット・デメリット
<メリット>
認知度向上
ブランドアンバサダーには、有名人など影響力がある人を起用する場合が多いため、彼らを通じてブランドや商品・サービスの知名度を向上させることができる。
信頼性の向上
一般的にブランドアンバサダー自身が発信する内容は、すでに消費者からの信頼を獲得していることが多い。そのため、ブランドアンバサダーが支持するブランドや商品・サービスは、消費者からも信頼されやすい。
ターゲット市場へのアプローチ
特定のターゲット市場にアプローチできるブランドアンバサダーを起用することで、ブランドの目指すターゲット層に情報を届けやすい。
ソーシャルメディアでの影響力
ブランドアンバサダーは、ソーシャルメディアプラットフォームで大きな影響力を持っていることが多いため、彼らの投稿や共有が広告として機能し、的確に情報を届けやすい。
<デメリット>
信頼性の問題
ブランドアンバサダーが不正直な行為をしたり、不祥事に巻き込まれたりした場合、ブランドの信頼性に損害を与える可能性がある。
予算
ブランドアンバサダーによっては、報酬が高額になる場合がある。適切なブランドアンバサダーを見つけることは重要であるが、過度なコストには注意したい。
長期的な戦略との調和
ブランドアンバサダーを短期的なマーケティングキャンペーンとしてのみ考えると、長期的なブランド戦略との調和が取れないことが起こり得る。長期的なブランディングと合致するか検討しながら起用を考えたい。
対面アンバサダーとオンラインアンバサダー
対面アンバサダーとは、イベントなどリアルな場に同席し、商品やサービスの宣伝やデモンストレーションを行うアンバサダーのこと。一方、オンラインアンバサダーは、InstagramやX(旧Twitter)、TikTokといったSNSを利用し、商品をPRしたり、インタビュー記事や口コミ投稿をしたりといった、オンライン上でのPRを行う。ただし、これらは完全に分けるものではなく、昨今ではオンラインと対面の双方を組み合わせてPRする手法も一般的になっている。
アンバサダーマーケティング
アンバサダーマーケティングとは、ブランドや企業が、顧客やファンから選んだ特定の個人を使って商品やサービスを宣伝し、ブランドのプロモーション活動を行うマーケティング戦略のこと。すでに消費者から絶大の信頼を得ているアンバサダーを起用することで、広告感を前面に押し出さずにブランドをPRすることができるため、広告過多の現代において多くのブランドが注目しているマーケティング手法である。
ブランドアンバサダー選定のポイント
イメージの一致
ブランドアンバサダーは、ブランドの価値観やミッション、イメージと一致していることが重要である。彼らの個性や信念がブランドと調和し、消費者に一貫性を感じてもらうことで、ブランドメッセージの効果的な伝達につながる。
ターゲットオーディエンスの合致
ブランドアンバサダーのフォロワーやファンが、ブランドがターゲットとしたい層とマッチするかを確認する。
信頼性と影響力
ブランドアンバサダーのソーシャルメディアのフォロワー数や、他のプラットフォームでの知名度を確認し、影響力を計る。過去に他のブランドとどのように協力した実績があるか、他のブランドでの成功体験やフィードバックを材料に判断するのも良い。
熱量
日ごろから自社の商品やサービスを利用し、マニアといえるほど熱心なファンである人を選定することがポイント。「このブランドを知ってほしい」「良さを伝えたい」という、高い熱量がある人を選ぶことで、新規顧客や他のロイヤルカスタマーの獲得につながっていく。また、熱心なブランドアンバサダーにインタビューやモニターをしてもらうことで、そのフィードバックを商品開発などにも活かすことができる。
契約条件の明確化
報酬、契約期間、プロモーション活動のスケジュール、適切なコンプライアンス、クリエイティブコントロールなど、契約条件を明確にする。
長期的なイメージの検討
ブランドアンバサダーとの関係を、短期的なプロモーションだけでなく、長期的なブランディングとして見たときにも違和感がないか検討する。
ブランドアンバサダーの報酬
ブランドアンバサダーの報酬は、一般的に公開されていないことが多く、また知名度や影響力、キャンペーンの内容、業界、契約の期間などさまざまな判断要素に基づき決定されるため、案件により大きく異なる。なお、インフルエンサーマーケティングでは、PR投稿について「フォロワー数×1円」というのが一つの目安といわれるが、アンバサダーマーケティングにおいては、フォロワー数にかかわらず定額の場合が多い。
ブランドアンバサダーとインフルエンサーの違い
ブランドアンバサダーとインフルエンサーは、どちらもブランドの商品をPRし、購買を促すという点では似ているが、活動の期間や最終的な目標により、とらえ方が分かれる。
インフルエンサーは、単発、もしくは短期間で、SNS上などでフォロワー数を活かした発信を行うことでブランドの「認知拡大」を目指すのに対し、ブランドアンバサダーは、長期的に、熱狂的なファンやユーザーに向けて自らの思いを発信することで、高い「エンゲージメントの獲得」を目指す人を指すことが多い。また、インフルエンサーは複数のブランドについて発信するのに対し、ブランドアンバサダーは、一つのブランドについて発信する場合が多い。
