トラッキングとは?仕組みや目的、収集できるデータ、セキュリティ対策


Writer:
山崎雄司
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トラッキングとは、ウェブサイトがユーザー(訪問者)の閲覧状況を追跡、分析することをいう。閲覧のきっかけがインターネット広告なのか、検索エンジンなのか、また、どのページを見てコンバージョン(CV)に結びついたのかなどをトラッキングにより分析し、マーケティングなどに活用される。

トラッキングで収集できるデータ


一般的にトラッキングで収集できるのは以下のようなデータである。
・ログイン情報
・メールアドレス
・検索履歴
・閲覧しているウェブサイト
・ウェブサイトの滞在時間
・ユーザーの所在地
・ユーザーのIPアドレス
・ユーザーのデバイスの種類
・クレジットカード情報 など

トラッキングの仕組み


トラッキングに利用される技術には、主に以下のような種類がある。

Cookie(クッキー)

Cookie(クッキー)には、訪れた日時や訪問回数など、ユーザーのさまざまなデータが含まれる。ウェブサイトや企業が自身のウェブサイトにおけるユーザーの行動を追跡するファーストパーティーCookieを利用したトラッキングと、それ以外の第三者がユーザーの行動を追跡するサードパーティCookieを利用したトラッキングがある。
昨今では、プライバシー保護の観点から、サードパーティCookieについての規制が厳しくなっていることも覚えておきたい。

IPアドレス

PCやスマートフォン、ウェブサイトやサービスを提供するサーバーなどに割り当てられる、インターネット上のデバイスを識別するための番号。これによりユーザーの大まかな位置情報が把握できる。

ウェブビーコン

ウェブサイトや電子メールでのユーザーの行動を取得するために埋め込まれている小さな画像のこと。アクセス解析ツールの一つで、サイトを訪問したユーザーの数や滞在時間、属性、電子メールの開封状況などの情報を取得できる。主にウェブサイトの分析や広告目的で使用される。

ブラウザフィンガープリント

訪問者のコンピュータとブラウザに関するデータ。取得できるデータは、使用言語やタイムゾーン、インストールされているプラグイン、ブラウザの種類やバージョン、OSの種類とバージョンなど。これらを複数組み合わせ、情報がすべて一致するブラウザからユーザーを識別する仕組み。サードパーティCookieに対する規制が厳しくなってきている状況で、ウェブサイトから得られる情報のみでユーザーを識別する方法として注目されている。

アプリトラッキング

ユーザーの同意の下で、アプリ内でのユーザーの行動を追跡するもの。スマートフォンやタブレット端末内のさまざまな情報をアプリで取得し、トラッキングに活用する技術である。具体的には位置情報や購入した商品・サービス、閲覧履歴、センサー、ストレージに関する情報などが収集でき、ユーザーの関心に沿った広告表示などに活用される。

広告識別子(広告ID)

端末にアプリをインストールする際に取得できる、スマホ端末を識別するための一時的なID。アプリ内での広告配信のためにのみ使われる。iOS端末の「IDFA」とAndroid端末の「AAID」などがあるが、内容は同じである。Cookieとの大きな違いは、Cookieはブラウザ単位であるのに対し、広告識別子は端末単位であるという点。

トラッキングの目的


トラッキングの目的には主に以下のようなものがある。

アクセス解析

たとえばECサイトでは、ウェブサイト上での訪問者の行動を調査するアクセス解析のためにトラッキングを活用。ユーザーの行動を分析することで、ユーザーが何に興味を持っているかを把握することが可能に。それを基にウェブサイトを最適化するなど、効果的なマーケティング施策につなげる。

コンバージョンの計測

サイトを訪れたユーザーが、Web広告経由でコンバージョンに到達するまでの行動を測るのにも、トラッキングが使われる。これにより、コンバージョン1件にかかる費用を表すCPAの把握が可能になる。コンバージョンにつながりやすい広告を把握することで、売上につながるコンテンツを効果的に掲載できる。

広告の効果測定

トラッキングがターゲット広告などの広告効果の測定に利用される場合も多い。どの経路からサイトに訪れ、コンバージョンに到達したかなどのデータを得られるため、広告の費用対効果を高めることが可能に。

ユーザビリティテスト

ユーザビリティテストとは、開発中のアプリやウェブサイトを実際にユーザーに利用してもらい、操作性などを評価すること。Web制作やアプリ開発の担当者は、ウェブトラッキングによって得たデータを用い、ユーザーにとって使いやすいコンテンツを作成することが可能になる。

トラッキングの計測方法


ダイレクト計測

サイトのページ内に埋め込まれた計測タグが読み込まれる毎にカウントしていく方法で、GoogleアナリティクスやGoogle広告などで用いられている。費用が抑えられる一方で、カウントしたいページすべてに計測タグを設定する必要がある。また、カウントが反映されるまでにタイムラグが発生する。

リダイレクト計測

ページに遷移する前に、トラッキング用のサーバー(リダイレクトサーバー)を経由した数をカウントする方法。必ずサーバーを経由するためデータの精度が高いが、サーバーの設置にコストがかかる。

トラッキングにおけるユーザー側のメリットとデメリット


メリット

ユーザーは、トラッキングの技術によりWebサイトを快適に利用することが可能になる。たとえばECサイトなどを閲覧中に別のページに遷移してもログイン状態が維持されたり、入力フォーム記入の途中でページを閉じてしまっても入力データが残っていたり、興味のある広告が表示されたりするなど、利便性が向上する。

デメリット

一方で、共用のPCを使用する環境下では、ログイン情報などが残るためプライバシーが侵害されたり、セキュリティリスクが生じたりする可能性も。また、過度なトラッキングをする悪質なサイトや、ターゲットになりすまして不正なアクセスを行う“セッションハイジャック”と呼ばれるサイバー攻撃などが存在しているのも事実。日頃から不用意に怪しいサイトにアクセスしないことや、迷惑メールは無視するなどのセキュリティ意識を持っておきたい。

スマホのトラッキングは拒否すべき?


主にマーケティングの目的で使われているトラッキングは、過度に拒絶する必要はないという意見が多い。しかしプライバシー面やセキュリティ面で心配な場合は、スマホに備わっているトラッキングの制限機能を活用しよう。

iOSの設定方法(Apple)

アプリダウンロード時など、スマホに「あなたのアクティビティの追跡を許可しますか?」という内容のポップアップが出た場合、「許可」または「Appにトラッキングしないように要求」をタップすることでトラッキングを選択することができる。
また、一度許可しても、後から拒否することが可能。「設定」→「プライバシー」→「トラッキング」に進み、アプリ毎にトラッキングの許可を設定できる。
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Androidの設定方法(Google)

Android デバイスで「Chrome」アプリを開き、アドレスバーの右にある「その他」のアイコンから「設定」を開く。「プライバシー」→「トラッキング拒否」と進み、オンまたはオフにすることで設定できる。
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トラッキングにおけるその他のセキュリティ対策


その他、ユーザー側ができるトラッキングに関する設定方法を紹介する。

ブラウザの設定

・Chromeの設定方法(google)
パソコンでChromeを開き、右上の「その他」アイコンから「設定]をクリック。「プライバシーとセキュリティ」に進み、「Cookie と他のサイトデータ」をクリックする。「閲覧トラフィックと一緒に「トラッキング拒否」リクエストを送信する」をオンまたはオフにする。
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・Edgeの設定方法(Microsoft)
追跡防止レベルを選択することで、ブロックが可能。「設定とその他」→「設定」→プライバシー、検索、そしてサービス」を選択し、「追跡防止」がオンに設定されていることを確認したうえで、希望の追跡防止レベルを選択する。
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・Safariの設定方法(Apple)
MacのSafariアプリケーション で、「Safari」→「設定」→「プライバシー」をクリックし、「サイト越えトラッキングを防ぐ」を選択する。
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セキュリティソフトの導入

使用する端末にウイルス対策ソフトをインストールするのも有効な手段だ。「アンチトラック」「トラッキングCookieの検出」といった機能があれば、トラッキング拒否が可能である。

Cookieの定期的な削除

ブラウザ履歴を削除することで、オンラインで何をしているかを第三者に知られないようにすることができる。
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最新のOSバージョンにアップデート

個人情報に対する意識の高まりに伴い、各社デバイスにおいてアンチトラッキング機能の強化が進んでいる。OSを最新版にアップデートすることも、手軽にできるセキュリティ対策の一つだ。

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