マーケットセグメンテーションとは?意味や重要性、分類手法、変数、STP分析


Writer:
山崎雄司
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マーケットセグメンテーションとは「市場細分化」のことで、ニーズや属性、興味などに基づいて顧客を分類し、適切にリーチできるよう市場を絞り込むプロセスを指す。

マーケットセグメンテーションとは


セグメンテーションとは「分割」や「区分」を意味し、マーケットセグメンテーションは、広告やキャンペーンを効果的に行うために市場を小さなグループに分類することを指す。顧客データを活用して市場をセグメントすると、細分化された市場ごとに戦略的なアプローチができるので、価値観が多様化する現代では採用する企業が増えている。

マーケットセグメンテーションの重要性


ターゲット市場の特定

以前は不特定多数に向けた大規模なプロモーションが有効であったが、これからは細分化されたニーズに対応できるように、優先順位を付けて焦点を当てるべきターゲットを明確にする必要がある。

マーケティング戦略の最適化

セグメントごとに価格やプロモーションを設定し、適切な広告メッセージにカスタマイズすることで、ターゲット顧客層に効率よくリーチできる。

競争優位性の構築                                                  

競合他社とは異なるニーズに対応した商品・サービスの提供や、セグメントごとの戦略的なアプローチによって顧客の購買意欲を引き出すことができるため、競合他社との差別化が図れる。顧客満足度が上がり、ブランドロイヤリティを構築・維持する戦略的な手段となる。


マーケットセグメンテーションの分類手法・変数


デモグラフィックセグメンテーション(人口動態変数)

人口統計学をベースに、顧客の年齢、性別、所得、ライフステージ、家族構成などで分類する最もシンプルで代表的な手法である。低コストで行うことができ、データも入手しやすく、日常生活に関連する商品を中心に幅広く用いられる。ほかの手法と組み合わせてさらに細分化することもできる。
たとえば不動産であれば、子育て世代に対する住宅と単身者に対する住宅ではニーズが異なるので、それぞれに合ったアプローチが必要となる。

ジオグラフィックセグメンテーション(地理的変数)

国や居住地域など、地理的な条件によってセグメンテーションする手法である。地域によって気候や慣習、宗教が異なるため、その差異は重要な指標となる。
たとえば、冷暖房機器(エアコンかその他の機器か、ヒーターであれば使用する燃料の違い)や移動手段(車社会か公共の乗り物が発達しているか)などが該当する。

ビヘイビアルセグメンテーション(行動変数)

購入状況や頻度などの行動パターンを基準とする方法で、顧客の行動追跡データに基づいてセグメンテーションする。
たとえば、新規顧客とリピーターでは商品に対する理解度が異なるので、プロモーションの方法が異なる場合がある。また、利用頻度が高くないサービスに対して毎日のように売り込みをかけると利用者が不満に思う場合もある。

サイコグラフィックセグメンテーション(心理的変数)

精神的、感情的な特徴に焦点を当てる基準で、パーソナリティやライフスタイルなどの分野が該当する。顧客の趣味や意見が多様化する現代では、ターゲットを絞り込むことで、効率的にリーチできる。
なお、この手法は時勢や経済状況などの影響を受けやすい。ソロキャンプのブームや健康志向な商品の需要が例として挙げられる。


マーケティングセグメンテーションとSTP分析


セグメンテーションを行った後、どのようにマーケティングに活かすか、そのために使われるのがSTP分析である。STPとは、セグメンテーション(Segmentation)、ターゲティング(Targeting)、ポジショニング(Positioning)の頭文字を取ったもので、マーケティングにおける代表的なフレームワークの一つである。

セグメンテーション(Segmentation)

上述の通り、市場を細分化するプロセス。ニーズを細かく分類することで、マーケティングの成果を高めることができる。

ターゲティング(Targeting)

セグメンテーションによって分類したグループの中から、ターゲットとする市場を絞りこむプロセスである。
市場の規模や成長性、競合の状況、顧客にとっての優先度などを指標に、自社が狙うべきターゲットを選定する。
その後のアプローチとして、自社の製品の強みを活かせるようなマーケティング戦略を展開する。代表的な例は、幅広いターゲットに対して同じ商品を提供する「無差別型マーケティング」、複数のセグメントにそれぞれに合う商品を提供する「差別型マーケティング」、限られた市場に絞って商品を提供する「集中型マーケティング」がある。

ポジショニング(Positioning)

ターゲティングで絞り込んだ市場について分析を行い、自社がどのような立ち位置から商品・サービスをアピールするか定めるプロセスである。
競合他社の価格、品質などを調査し、より優位に立てるポジションをとっていくことが重要になる。
 
STP分析を利用することで、狙ったターゲットに対し、効率的かつ効果的なマーケティング活動を行うことができる。そして、競合を分析することで、自社の状況への理解が深まり、戦略を立てやすくなる。
なお、顧客目線を意識する必要があり、他社との差別化にこだわりすぎると顧客のニーズと異なってしまうケースがあるので注意が必要だ。

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