マーケティングチャネルとは?種類や戦略、マーケティングミックス、事例


Writer:
山崎雄司
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マーケティングチャネルとは、製品やサービスが生産者側から消費者側に届くまでに関わる全ての経路及び組織・媒体のことをいう。

マーケティングチャネルとは


マーケティングチャネルとは、生産者によってつくられた商品やサービスが消費者に届くまでの経路と、そこに関わるすべての業者や組織のことをいう。近年、インターネットの普及によりマーケティングチャネルは爆発的にその種類を増やしている。かつて消費者は、中間業者などを介した実店舗を利用するのが一般的だったが、現在では消費者自身がECサイトを通じて生産者から直接商品を購入したり、SNSなどで情報収集をして比較検討したうえで実店舗に行ったりと、購入までのプロセスが多様化している。したがって、生産者は、これまでの販売方法などにとらわれず、より効率よく消費者に商品やサービスを届けるためにどのようなチャネル展開をするかを検討するマーケティングチャネル戦略が重要になっている。


マーケティングチャネルの3つの種類


①流通チャネル(流通手段・経路)

商品やサービスを生産者が消費者に届けるための流通経路や手段を指す。具体的には、商品を届けるための配送システムや輸送手段、配送業者や問屋、卸売業者から小売業者まで、消費者が商品を受け取るまでに関わるルート及び組織全般がこれにあたる。介在する業者の数によって、0段階から3段階までの4つの区分に分けられる。流通チャネルを最適化することで、販売コストの削減や顧客の利便性の向上といった効果が期待される。
 
・0段階チャネル:生産者が直接消費者に商品やサービスを販売する流通構造のこと。ECサイトやカタログ通販、建売住宅などといった販売形態がある。中間マージンを支払う必要がないため利益率が高く、販売活動の方向性を管理しやすいのがメリット。近年は特にインターネットやテクノロジーの進化によって直販の仕組みが作りやすいようになってきている。
 
・1段階チャネル:生産者が消費者に商品やサービスを販売する間に、小売業者などの中間業者が1つ介在している流通構造のこと。小売店までの輸送費や販売した時のマージンが発生するが、卸売業者を介さない分、手数料を削減できるため、商品は比較的低価格で販売できるのがメリット。近年は、直販が増えたことで低価格販売が主流になっており、大型小売業者でも直接メーカーと取引を行うことが多くなっている。
 
・2段階チャネル:生産者が消費者に商品やサービスを販売する間に、卸売業者を介して小売業者に卸すといったように中間業者が2つ介在している流通構造のこと。生産者にとっては広範囲で販売できるといったメリットがあるが、マージンが増えるため利益は少ない傾向。小売店にとっては少数取引ができるというメリットがあり、主に消費財などを販売するケースに多くみられる。
 
・3段階チャネル:生産者が消費者に商品やサービスを販売する間に、二段階の卸売業者と小売業者といったように中間業者が3つ介在している流通構造のこと。主に生産単価が低く購入頻度が多い食料品や日用雑貨などに多い。段階が多くなるとその分マージンも多くなるため販売者の利益は少なくなる。インターネットの普及により中間業者の複数経由は省略される傾向にある。


②販売チャネル(販売場所・方法)

商品やサービスを購入するための場所や販売方法のことを指す。具体的には、小売店といった実店舗やECサイト、ネットショッピングのできるeコマースといった商品やサービスが購入できる場と手段すべてがそれにあたる。現在ではあらゆるチャネルから消費者がシームレスに購入できるよう、クロスチャネルやオムニチャネルの形態がとられることも増えている。消費者は販売チャネルごとのメリットを理解したうえでどこの何を使うかを選択しているため、販売側も利用するチャネルへの理解を深め、双方にとって利益が出るような工夫を凝らすことが大切である。


③コミュニケーションチャネル(商品情報伝達経路)

商品やサービスの情報を消費者に伝えるための手段や経路のことを指す。具体的には、テレビや雑誌、新聞といったマスメディアや、チラシやWeb広告、SNSなどの広告がそれにあたる。近年はインターネットの普及により、Webサイトからの発信やDM、インスタグラムなどのSNSもコミュニケーションチャネルとして注目されており、特に問合せ対応など消費者とのコミュニケーションを取るための場としても活用されている。消費者に商品やサービスの情報がどう伝えられるかで認知度や売り上げは大きく変わる。顧客満足度や顧客体験といった、顧客とのコミュニケーションが重視される今、コミュニケーションチャネルの充実はマーケティングチャネル戦略の要ともいえるだろう。

マーケティングミックスにおけるチャネル戦略


マーケティングミックスとはマーケティングの実行戦略のことで、Product(製品戦略)、
Price(価格戦略)、Promotion(プロモーション)、Place(流通戦略)の4つの要素から構成される。各要素の頭文字をとって「4P」と呼ばれることもある。チャネル戦略は、そのうちのPlace(流通戦略)にあたる。チャネル戦略では、生産者から消費者へ商品やサービスが提供されるまでにどのような販売ルートや流通経路、商品の情報伝達をすることが効果的かを分析し、各チャネルにおける実行戦略を練っていく。流通戦略においては、広告を見たが購入方法がわからない、価格は安いが送料が高いといった矛盾をなくし、選ばれた商品やサービスをスムーズに消費者の手元に届く仕組みづくりが重要だ。チャネル戦略は消費者の手元に届くまでの道筋において、売り上げの向上や顧客との信頼関係構築に役立てることができる効果的な手法を選び抜く作業ともいえるだろう。


マーケティングチャネル戦略の事例


アパレルメーカーの場合

アパレルを中心に幅広い商材を扱う国内某メーカーでは、メインチャネルを実店舗におきながらも、オンとオフを切り分けないシームレスなコミュニケーションを展開している。特に顧客接点の強化に力を入れていることから、各店舗にはCRMデータを確認できるタブレットを配置し店内での活用も。また、優良顧客への案内をより身近に感じてもらえるよう、メルマガの配信をSNSに切り替えたり、顧客に合わせたサービス展開ができるスマホアプリの制作を検討したりするなど、さまざまなマーケティングチャネルを組み合わせた顧客との関係強化に注力している。

化粧品ブランドの場合

国内大手化粧品ブランドでは、アプローチ用の情報サイトや、商品を購入できるEC機能を持たせた美容情報サイト、専属スタッフによるメイクレッスンやカウンセリングなどのサービスを実施する実店舗、というさまざまなチャネルを組み合わせている。特にEC機能を持たせた自社サイトでは、商品やサービスのお得な情報発信だけでなく、電話でのチャット機能も完備し、コミュニケーションツールとして活用。異なるチャネルでそれぞれに合ったサービスを展開することで、顧客満足度を高め、リピーターの獲得と売り上げの向上を実現している。

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