リピート通販の成長企業が実践している「少人数でも勝てる」組織戦略のポイント


Writer:
山崎雄司
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健康食品や化粧品を中心に、現在も根強い人気を持つリピート通販。消費者の志向や市場のトレンドがめまぐるしく変化し、競合も多い中でリピート通販を長期的に成功させるには、企業が自社の強みや独自性を維持し、伸ばしていく必要があります。そのためには、組織そのものを見直し、各部門を横断的につなぐよう改善していくことが大切です。本記事では、マーケティングプラットフォーム「カスタマーリングス」を提供し、750社以上のCRM施策を見てきたプラスアルファ・コンサルティングが、リピート通販に強い組織づくりのポイントや、効果を最大化するマーケティングプラットフォームについて解説します。

目次


リピート通販に強い組織づくりのポイント
 1) 横断的な組織をつくる
 2) データ分析の重要性を理解する
 3) コールセンターの見直しと連携
マーケティングプラットフォームで効果を最大化しよう
 1) マーケティングプラットフォームでできること
 2) リピート通販における導入事例
成長企業も導入しているマーケティングプラットフォーム「カスタマーリングス」

リピート通販に強い組織づくりのポイント


1. 横断的な組織をつくる


リピート通販事業において戦略を実践してくうえでは、組織の在り方や動き方を最適化する組織戦略が求められます。

よくある組織体制の事例としては、「新規顧客獲得」を一つのチームとして、新規受注以降を別のチームが運営するという体制です。新規顧客獲得は、Webマーケティングや広告出稿など多様で変化に富んだ業務になること、また、新規顧客獲得数という可視化しやすい成果が出ることもあり、社内では花形的なポジションになることが多いようです。

一方、このように「新規顧客獲得」のみに特化したチームは、他のチームと分断されやすいのがデメリットといえます。リピート通販事業においては、新規に獲得した顧客を優良顧客へと育成すること、つまり継続的に購入し続けてもらい、LTVを拡大していくことが極めて重要となりますが、この「既存顧客育成チーム」と「新規顧客獲得チーム」が分断されているために、顧客育成がスムーズに進まないことがあるようです。実際には、この両者を横断する施策が求められるため、「新規顧客獲得」と「顧客育成」の視点をオーバーラップできる組織づくりが必要となります。

また、実店舗と通販の両方を持つ企業においても、横断的な体制を構築する必要があります。たとえば、通販事業と実店舗とで売上を競い合ったり、顧客を取り合ったりしてしまうケースが見られます。しかし、顧客にとってみると、オンライン・オフライン問わず購買チャネルを選択できることは便利なことであり、企業の売上にもつながる可能性が広がります。したがって、通販と実店舗が有機的に連動し、かつ、双方にとってのメリットを生み出せる組織づくりが求められているのです。

2. データ分析の重要性を理解する


リピート通販事業において、直接的にデータ(数値)を扱う分析担当者は「分析担当」「アナリスト」などと呼ばれます。分析結果は、施策の立案や実施した施策の評価の明確な根拠となるものであり、リピート通販事業ではCPOやLTVをはじめ、見るべき指標はさまざまです。そのため、データ分析の担当者は、分析結果を的確に解釈し、迅速に施策の見直しへの示唆を導くという極めて重要な役割を担います。

① データ分析はできるだけ社内で行う

リソースの問題はありますが、データ分析はできるだけ社内で行うほうがメリットは大きいといえます。小さなテストを繰り返し、その結果から施策を拡大実施し、事業の発展を目指すビジネスモデルであるため、スピードと精度が重要だからです。データ分析はリピート通販の要であり、スピーディーな判断、また事業への深い理解が求められるため、データ分析担当は社内に置く方が得策でしょう。

② データ分析に適した人材を知る

リピート通販においては、一人の顧客の反応がその後の判断を左右することがあります。そのため、たった一人の顧客であっても、その反応をないがしろにしない人材がデータ分析担当として適任であるといえます。

たとえば、テスト販売などで小さな異常値に気が付かないままロールオーバー(拡大実施)してしまうと、その後に問題が発覚して原因を探ろうとしても、再現性のある検証結果が得られなくなる可能性があります。そうなると、期待通りのレスポンスを得られず、大きな機会損失につながってしまいます。

ある健康食品会社で、毎回の受注件数が5~6件だった雑誌の掲載広告が、あるとき10件を超えたことがありました。担当者が違和感を持って詳しく調べたところ、たまたまその日にテレビインフォマーシャルの受注管理に使っていた広告番号が類似していて、オペレーターが入力ミスをしていたことがわかりました。もしもこの担当者が、数件のレスポンス増加について異常値の可能性を疑っていなかったら、その後もこの雑誌広告に追加投資をするなど誤った判断につながっていた可能性もあります。

このような小さな異常値の発生は、あらゆる企業のさまざまなフェーズで起こりうるため、データ分析担当者には些細な違和感も敏感に見逃さないような人材を配置したいところです。

③ 理想的な人材を育成する

データ分析担当の理想的な人材として、「データサイエンティスト」と呼ばれるような、ITシステムに明るく、データ分析スキルも高いうえ、さらに数値から意思決定につながる示唆を導ける人材が挙げられます。しかし、このような人材は簡単に見つかるものではありません。そこで考えられるのが、事業に精通したマーケターに対してITシステムやデータ分析の教育を行うこと、または、システムに詳しい人材に事業関連の知識やスキルを教育することの2択となるでしょう。どちらを選択するかは、社内の人材の特性や教育環境に合わせて判断します。たとえば、社内でデータ分析コンテストを定期的に実施し、それにより適性を見極めてデータ分析担当者を選定するという試みを続けているという企業もあるようです。

現在、多くのリピート通販企業では、データ分析担当者が不足しており、今後リピート通販事業の規模拡大を図りたい企業にとって深刻なボトルネックになっていくことが想定されます。そのため、こうした人材育成は、リピート通販企業における喫緊の課題といえるでしょう。

3. コールセンターの見直しと連携


リピート通販事業において、バックオフィス部門は年々その重要性を増していますが、なかでも重要なのがコールセンターです。かつては電話での受注業務を行うための部門でしたが、現在のリピート通販事業においては、その認識が刷新されつつあります。コールセンターの見直しのポイントは以下の通りです。

① コールセンターの役割を知る

リピート通販事業におけるコールセンターの業務は、インバウンド(受電業務)とアウトバウンド(架電業務)の2種類に大別されます。

インバウンドを担うコールセンターは、たとえばテレビのインフォマーシャルやラジオCMといった広告を実施した際の電話注文対応や、既存顧客からの商品に関する問い合わせ対応など、企業側の最初の窓口として消費者と接触する「入口」となる部署です。Web広告においても、ランディングページに電話番号の記載がある場合はコールセンターが受注することもあります。最近では、インバウンドを担うコールセンターの役割が拡大しつつあり、メールの返信対応や有人対応型のチャットボットの運用を担う企業もあります。

オペレーターは、企業の顔としてLTVに大きく影響を与える存在です。そのため、特に既存顧客への対応は、自社内で行うほうがよいでしょう。通販ランキングの上位企業の中には、優良顧客に対して専任の担当オペレーターを配置するなど、顧客との関係性を深める工夫を実施しているケースも見られます。

一方、アウトバウンドを担うコールセンターでは、既存顧客への「ご様子伺い」や、休眠顧客へ再購入を促す電話をかけるなど、売上に直結する業務を行う部署です。企業側のタイミングで架電するため、インバウンドよりも高い会話スキルが求められます。

② コールセンターを他部門と連携させる

コールセンターは、新規顧客獲得のための広告戦略や、既存顧客に対するCRM戦略と密接に関連する部分であり、社内の関連部門との連携が非常に重要です。たとえば、新規顧客の獲得にあたっては、広告部門と以下のような情報を事前に共有しておくと効果的です。

・いつ広告出稿するのか
・どのような訴求ポイント・表現方法で出稿するのか
・どのような媒体に出稿するのか
・どれだけの量を出稿するのか
・想定されるレスポンスや顧客属性はどのようなイメージか

これらの情報をオペレーターと共有しておくと、顧客対応の質が向上し、コールセンターの機能が格段に向上します。
オペレーターごとのパフォーマンスについては、受注率やF2転換率、LTVの推移を見ていく必要があるでしょう。オペレーターによって明らかな差がある場合は、コールログデータによる会話内容の分析を行い、本人にフィードバックすることでサービスの最適化を図ります。このように、分析結果から改善施策をスピーディーに打ち出し、実践していくことで、売上と利益の向上へとつながります。

また、オペレーターが消費者から強いクレームを連続して受けていると、「クレーム数が多い」と感覚的に捉え、管理部門に報告する場合があります。こうした「現場の声」は大切ですが、実際にクレーム数が多いかどうかは客観的に検証する必要があります。いずれにせよ、コールセンターの単独の部署として孤立させるのではなく、社内の関連部門と有機的に連携することで、最終的には売上の増加、LTVの向上へとつながっていくでしょう。

マーケティングプラットフォームで効果を最大化しよう


マーケティング事業において、データを活用する業務のなかには多大な手間や時間がかかるものがたくさんあります。その業務の多くをカバーして工数を削減し、効果を最大化するためのITツールが、プラスアルファ・コンサルティングの「カスタマーリングス」を始めとする「マーケティングプラットフォーム」です。

リピート通販業務では、顧客数が増えビジネスの規模が拡大しても、行うべき業務内容は大きく変わらず、業務量も比例して大きくなることはないので、こうしたツールを活用することで相対的に人的コストを圧縮し、利益を拡大していくことができます。

なお、マーケティングに関する専門ツールは「MA(マーケティングオートメーション)」「CRM」など、さまざまなものがありますが、ここでは専門ツール全般を「マーケティングプラットフォーム」と称し、どのようなポイントで導入を判断するべきか解説していきます。

1. マーケティングプラットフォームでできること

① 作業工程を削減できる

リピート通販事業では、顧客のプロフィールから購買履歴、電話・メール・LINEなどによる各種問い合わせ、さらには自社Webサイトへのアクセス状況など、多岐にわたる大量のデータを収集します。そのデータを統合し分析、そして施策に落とし込むためには膨大な作業工数が発生しますが、これらの工数を削減できるのがマーケティングプラットフォームです。

実務担当者は、施策を週次、年次といった単位で繰り返し実施しますし、案内メールの作成・送付などは日次の定型業務です。なかには、常に目の前の作業に追われて施策改善策の模索すら許されないというケースも少なくありません。そのため、新たなCRM施策が社内で提案されたとしても、なかなか手が回らないのが現実です。マーケティングプラットフォームによる作業工数を削減の目的は、その先にある次に打つべき施策の検討・実施にあります。思い描いた未来まで形にできるようなプラットフォームを選ぶことが大切なのです。

選定の際には、実務に対応する形でいかにデータを活用できるか、自動化すべきところが自動化できるか、結果としてトータルの作業工数を削減できるかといった視点が大切になります。データ収集が得意なツールであっても、それらを統合することが得意とはかぎりません。また、データを統合できても、データの持ち方によっては求める分析アウトプットに対応していない場合もあります。

② ST+PDCAサイクルを回せる



リピート通販は、継続的な新規顧客の獲得と同時に、いったん受注した顧客から2回目、3回目と受注を獲得し続けるという継続性を前提としています。そのため、データ活用においてもPDCAサイクルを回し続けることが求められます。さらに、市場や既存顧客の状態を見て(「See」)、戦略・施策の全体像を考える(「Think」)というステップを加えた「ST+PDCA」サイクルが必要と考えます。そして、このサイクルを高速で回すことは、事業成長の機会損失を防ぐことにもつながります。マーケティングプラットフォームを活用すると、このサイクルの高速化が図れます。

また、施策改善の精度という観点においても、マーケティングプラットフォームが役立ちます。施策改善の精度が高ければ高いほど、売上に直結する効果的な施策になります。そのためには、実施した施策の効果検証において、必ずひとりの顧客、つまり「個客」までドリルダウンし、その反応を確認することが大切です。

③ 実感をもって「顧客理解」が深まる

マーケティングプラットフォームを通じて、どこまで「顧客理解」ができるかは重要なポイントです。

「顧客理解」とは、顧客が求めているものや課題を理解することです。顧客視点に立ち、あらゆるタッチポイントやさまざまな顧客情報を複合的に捉え、顧客一人ひとりを「生きた顧客像」として実感することで、より深い顧客理解へとつながります。

顧客の過去の購買履歴はLTVに集約されますし、購買頻度や単価などの状態はRFM分析で把握できます。しかしながら、そうしたマクロな指標だけでは、たとえば顧客の購買行動が施策実施後にどのように変わったかといったことはわかりません。だからこそ、一人ひとりの顧客まで掘り下げて反応を確認し、深く理解することが必要なのです。

リピート通販事業の場合、顧客と直接対面する機会はほとんどありません。直接見えていない顧客の理解を深めるためには、さまざまなデータを活用してリアルな顧客像を導き出すことが求められます。顧客理解を突き詰めることができれば、同業他社に対して大きなアドバンテージを得ることができます。たとえばアンケートへの自由回答に含まれる「ひと言」や、F2転換に要する数日の差など、点のように小さなデータも見逃さずに拾い集め、「生きた顧客像」に迫ることが非常に重要なのです。

2. リピート通販における導入事例


続いて、さくらフォレスト株式会社におけるマーケティングプラットフォーム「カスタマーリングス」の導入事例をご紹介します。

さくらフォレスト株式会社




さくらフォレスト株式会社は、健康食品やヘアケア用品、化粧品など40に及ぶ幅広いラインナップでリピート通販事業を展開する福岡県の企業です。

マーケティングプラットフォーム「カスタマーリングス」導入以前は、ECシステムから各種CSVデータを抽出し、AccessやExcelでのデータ統合、集計レポート作成など、数多くのツールを併用しデータ分析を行っていました。しかし、手作業のデータ加工には膨大な作業時間を要したうえ、一部には統合できないデータがあったり、分析結果を関係部門と共有したりするのも難しい状態でした。結果的に、データを分析してから意思決定や施策への落とし込みに至るまでに1ヶ月以上かかり、LTVなど最低限のデータを分析するのがやっとでした。

同社は、もともと各部門間のコミュニケーションが活発であり、さらにデータ分析が追い付かない状況下でも、顧客へのアンケートを継続的に行っており、豊富なデータの蓄積がありました。こうした素地もあって、マーケティングプラットフォーム「カスタマーリングス」導入後は劇的に状況が変化しました。



導入後、どの部門でも必要なデータをタイムリーに取り出し、日次で確認できるように。顧客からの反応を媒体・プロモーション別に分析するなどして、施策への落とし込みの頻度も上がり、組織横断的な連携は速度と精度を増していきました。

単純作業に追われることなく、効率的に施策を打つことができる環境は、同社のリピート通販ビジネスを成長させるとともに、同社の掲げる「ともに豊かに」というコンセプトの実現を加速することにもなりました。顧客参加型のイベントを定期的に開催するなど、マーケティングプラットフォーム「カスタマーリングス」を通じて成し得た顧客との近い距離間で取り組むブランディングは、同業他社との差別化にもつながっています。


戦略的なリピート通販を支援するマーケティングプラットフォーム「カスタマーリングス」


少人数でもリピート通販に強い組織を作るためには、横断的な体制を構築し、データ分析の重要性を理解する必要があります。データ活用に関する業務には多くの手間がかかるため、業務効率を向上し、効果の最大化を強力に支援するマーケティングプラットフォームの活用が欠かせません。

マーケティングプラットフォームにはさまざまな製品がありますが、リピート通販でデータ分析を用いて顧客理解を深めるなら、「ITreview Best Software in Japan 2022(※)」に BtoC向けマーケティングオートメーションとして唯一選出された「カスタマーリングス」をおすすめします。

※ITreviewユーザーが支持した日本のSaaS・ソフトウェアのTop50製品を選出する、1年に1度の企画。ビジネスの最前線で注目を浴びているSaaS・ソフトウェアの中でも、特に満足度・認知度がともに優れた製品が選出されます。



データ統合から分析、メールやLINE、アンケート等の配信・管理までノーコードで実行でき、ECサイトやBtoCサービスを中心に11年・750社への導入を通じて進化を続けています。

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本記事ではリピート通販における組織戦略のポイントや導入事例をご紹介しましたが、まだまだ豊富な事例がございます。「他社の活用事例が知りたい」「自社に合った活用方法を提案してほしい」という場合は、お気軽にお問い合わせください。

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