アーンドメディアとは? 意味や種類、メリット、オウンドメディアとの違い


Writer:
山崎雄司
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アーンドメディア(Earned Media)とは、有料広告ではなくユーザー、消費者自身やメディア関係者等の企業に直接関わりのない第三者が情報を発信するメディアのこと。例として、SNSや個人ブログ、口コミサイトなどが挙げられる。


アーンドメディアとは


アーンド(earned)は「信用や情報を獲得する」という意味がある。アーンドメディアは一般的な広告とは異なり、商品やサービスを販売する企業が直接介入することなく、実際に商品やサービスを利用した人の感想や評価が反映されたコンテンツのことをいう。
アーンドメディアは、自社で管理・運営をする「オウンドメディア/Owned Media」、リスティング広告やマスメディア広告のように費用を支払って広告掲載する「ペイドメディア/Paid Media」と合わせて「トリプルメディア」と呼ばれ、企業のデジタルマーケティング戦略の一つとして重要視されている。
従来型の広告出稿によるPR活動も行われている一方で、広告感が少なく情報の信頼性が高いアーンドメディアの活用も注目されている。


アーンドメディアの代表的な種類


口コミサイト

企業とは関係のない一般的なユーザーの口コミやレビューサイトはアーンドメディアに分類される。たとえば、飲食店では「食べログ」「一休.com」など、美容系では「ホットペッパービューティー」「楽天ビューティ」など、旅行系では「トリップアドバイザー」「じゃらんnet」など、映画系では「映画.com」「Filmarks」などが該当する。また、施設や店舗の口コミ機能が搭載されている「Googleマップ」もアーンドメディアに含まれる。
ゃらんnet」など、映画系では「映画.com」「Filmarks」などが該当する。また、施設や店舗の口コミ機能が搭載されている「Googleマップ」もアーンドメディアに含まれる。

SNS

SNSもアーンドメディアを代表する媒体の一つ。「Instagram」「Twitter」「Facebook」「TikTok」などが該当する。一般のユーザーや影響力のある人物まで、幅広い層が自由に情報発信でき、ユーザーと近い距離でのコミュニケーションを図ることができる媒体である。フォロワーの多いインフルエンサーを起用することで拡散力と信頼性が高まり、より多くのユーザーをターゲットにすることが可能になる。

ブログ、キュレーションメディア

個人のブログもアーンドメディアに含まれる。たとえば、一人のユーザーが、金銭のやりとりが発生していない状況で、とある商品を一年間利用した感想をブログに掲載するケースなどが該当する。
また、Web上の情報がジャンルごとにまとめられているキュレーションメディアもアーンドメディアに含まれる。たとえば「Gunosy」「Newspicks」「Retrip」などのように、表示する内容がユーザーの好みに合わせて変化し、まとめ読みを可能にするサイトが代表例である。

アーンドメディアのメリット


爆発的な情報の拡散が期待できる

アーンドメディアの強みは、情報の拡散力である。影響力のある媒体で商品や店舗が取り上げられることで、多くの人に認知され、さらにユーザーにとって共感性の高いSNSやブログで再拡散される。このように情報が急速に拡散していくことで、いわゆる「バズる」という現象が起きる。この現象により、短期間で自然検索のアクセス数よりも圧倒的に多いアクセス数を獲得することになり、ブランドや店舗の認知拡大や売り上げへの絶大な効果が期待できる。

客観性と信頼

実際に商品やサービスを使ったユーザーや報道機関など、客観的な立場にある第三者がリアルな情報を発信することで、信頼を得やすくなり、ユーザーの購買意欲の向上につながっていく。

商品開発に役立つ

ユーザーのリアルな声が寄せられるため、自社の開発者サイドが気づけなかった商品改善のアイデアや問題点などが見つかることも。客観的な意見を知り、商品開発やサービスの向上などに役立てることができる。

費用が安価

ペイドメディアと比較すると、コストがあまりかからない点もメリットだ。情報の発信元が企業や広告主ではなく、一般のユーザーによる口コミであるため、費用をあまりかけずに商品やサービスの認知度向上を図ることができる。

アーンドメディアのデメリット


情報のコントロールが難しい

アーンドメディアにおける一番のリスクは、拡散する情報をコントロールできない点である。ユーザーの立場で感じた情報が発信されるため、必ずしも企業の意図する情報ではないことも。誤った情報や悪意のある口コミも、「信憑性のある情報」として短時間で広範囲に拡散しかねない。
また、良いと思ってSNSなどで紹介した内容が、何らかの理由でマイナスに作用して拡散してしまうことで、いわゆる「炎上」を引き起こす場合もあるので注意が必要である。

自社の資産として保有できない

アーンドメディアは他社が運営するサービスであるため、オウンドメディアに蓄積された情報と異なり、SNS等でのこれまでの投稿やニュースの記事等を自社の資産として保有することは難しい。また、利用規約やルールを自社の都合で変更することも不可能である。

アーンドメディアのポイント


SNS公式アカウントのフォロワー数を増やす

SNS公式アカウントのフォロワー数を増やせば、より多くのユーザーに情報を届けることができる。ユーザーの関心をひくコンテンツを発信し続けることでフォロワーを増やしていけば、投稿するたびに評判となり、集客の基盤として有効活用することもできるだろう。特に、多くのフォロワーを集めるインフルエンサーがフォロワーとなった場合は、拡散力も高まる。

ブランド力を高める

SNSの積極的な活用により、ブランドの認知拡大が期待できる。さらに、多くの口コミによって信頼性を高めることで、ブランド力はより高くなるだろう。

インフルエンサーの起用

商品やサービスの口コミやレビューを載せてくれるインフルエンサーを探し、協力してもらうことも効果的だ。信頼できるインフルエンサーを適切に選び起用することで、これまで届かなかったターゲット層にも広く情報を伝えることができる。
また、自社の商品やサービスに強い思いや興味関心があり、口コミなどの情報を周りに発信する力のあるユーザーを「アンバサダー」として起用し、自社商品の専属インフルエンサーになってもらう方法もある。アンバサダーを起用することで、商品やブランドにとって有益なフィードバックをしてくれるユーザーの確保にもつながる。

アーンドメディアとオウンドメディアの違い


広告掲載費やスポンサーシップが発生するペイドメディアと異なり、アーンドメディアとオウンドメディアはどちらも無料でコンテンツを表示できるが、主体となるものが異なる。
オウンドメディアの主体となっているのは企業側であり、コンテンツの内容は企業が考え、作成・発信している。ユーザーは企業が作成したコンテンツを閲覧し、企業側の情報はweb等を通して得る。
一方、アーンドメディアにおいて主体となっているのはユーザー側であり、その内容はユーザーから発信される口コミや感想である。そのため、企業側が情報の内容を操作することはできない。

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