
リードスコアリングとは?意味やスコアリング方法、メリット、事例

- Writer:
- 山崎雄司
リードスコアリングとは、見込み客(リード)の興味関心や購買意欲を一定の基準に基づいて数値化(スコア化)することをいう。リードの関心度に合わせて客観的に順位をつけることで、ステージごとに適切なアプローチを行うことが可能となる。
リードスコアリングとは
リードスコアリング(Lead Scoring)とは、リードと呼ばれる見込み客の興味関心度や購買意欲、商品理解といったさまざまな項目を一定の基準に基づきスコアリングし、客観的な数値で評価するマーケティング手法のひとつ。リードが、製品やサービスを購入したり利用したりする可能性の度合いを評価するために活用される。リードの属性や行動履歴などをもとに興味関心度を数値化することで、それぞれのステージに合ったアプローチを可能にする。「スコアリング」「顧客スコアリング」ということもある。
スコアリングの方法
顧客の属性
顧客の年齢、性別、居住区、勤務先や所属などといった外面的な情報によりスコアリングする。
特にBtoB企業の場合、意思決定権限を有していたり担当の役職者であったりする場合は、成約の可否を大きく左右する要素になりえるため、たとえば役職者には5ポイント、意思決定権限を有する場合は10ポイントなどのように、スコアリングのポイントを高く設定する。また、所属する企業規模や製品への理解度なども重みづけの要素として留意しておく。
顧客の興味
顧客の行動履歴から見受けられる興味関心といった内面的情報によりスコアリングする。
セミナーへの参加やウェビナーの視聴、無料トライアル、サービスページや料金表の閲覧といった行動に対して、それぞれの関心度に合わせたスコアを設定しよう。特にセミナーへの参加や会員登録などといった手間や時間がかかるものについては高いポイントを設定したい。ただしこれらは時間が経つと変わってしまう可能性も高い要素のため、過信は禁物である。評価点に合わせてリードのステージに合った適切なフォローを行うことも重要だ。
顧客の活性度
顧客の行動頻度や営業担当者とのコミュニケーションといった、行動情報のなかでもその活性度をもとにスコアリングする。
顧客の行動が最近のものか古いものかでは、彼らの興味関心度も異なる可能性が非常に高い。Webサイトへのアクセスやメールの開封履歴、購入ページの閲覧履歴といった行動がとられた時期や頻度に注目し、新しい履歴や頻度の高い顧客に高いスコアがつくように設定する。たとえば、直近3日以内であれば10ポイント、1週間以上アクセスがなければ5ポイント減といったように、スコアリングの仕方を工夫するのもひとつの方法である。
リードスコアリングの活用手順
リード情報の収集
まずリードに関するさまざまな情報を収集する。Webサイトの閲覧履歴や資料のダウンロード、メールの開封状況やURLのクリック率、SNS上の行動など、自社とリードとのコミュニケーションに関わる情報すべてが対象となる。また、デモグラフィック情報や業界情報など、リードに関するさまざまな情報も収集しておくことが望ましい。
スコアリング要素の決定
次に、リードの興味関心度や購買意欲などを数値化して評価するためのスコアリング要素を決定する。最初から細かく設定するよりはシンプルなスコア設定からはじめ、運用しながら適宜見直して精度を高めていく。
スコアリングモデルの構築
スコアリング要素を決定したら、これらの要素をもとにスコアリングモデルを構築する。たとえば所属する業界や特定の行動については高い点数をつけるといったように、価値あるリードを見つけるために行うものと心得よう。スコアの基準は業界や商品によって千差万別であり、正解はない。営業とマーケティングチームで協力し、自社にとって最適なスコアリングモデルを構築していきたい。なにを基準にするか迷う場合は、現時点での既存顧客や成約率の高い商談などを参考にするのもいいだろう。その際、行動履歴に重点を置きすぎると競合他社やキーマンの部下などが目立ってしまい、本当に有望な顧客を見逃してしまうこともあるので注意が必要。
スコアの計算
設定したスコアリング要素とスコアリングモデルに基づいて、リードのスコアを計算する。ただしスコアは一度計算したら終わりではない。リードが新しい情報を提供するたびに、スコアリングモデルを使用してリードのスコアを再計算する。CRMに情報が集約されていれば、そこをもとに定点観測を行うのもいいだろう。また、マーケティング担当者や営業担当者ともコミュニケーションを密にし、適切なスコアリングができているかも適宜見直す。
スコアに基づくアクションの実行
リードのスコアに基づいて、適切なアクションを実行する。スコアリングの高低によって必要な対応は異なるはずだ。たとえば、全体での合計スコアの基準値や特定の条件を決め、それを満たした場合にはホットリードとして早急に成約につなげる特定のアクションを実行する。また、基準値以下の場合はマーケティング部門やインサイドセールス部門に情報共有し、購買意欲を高めるアプローチを行う。なお、スコアリングは継続的に採点基準を見直すことも大切である。スコアリングを始めてからは月に1回程度、安定してきたら3か月に1回程度のペースで定期的に確認しよう。
リードスコアリングのメリット
効率的なリード管理
前述の通り、リードの興味関心度に応じて客観的な数値を割り当てられるリードスコアリングは、営業効率を上げる効果が非常に高い。顧客は顕在層よりも潜在層の方が圧倒的に多く、場当たり的な営業をかけていては成果が出ないばかりか、費用の無駄遣いにもなりかねない。スコアリングの低い層には自社の商品やサービスを知ってもらうようなアプローチ、高い層には購買意欲に直結するような情報やサービスを提供するなど、ステージ合った適切なアプローチを行うことで、効率的にリードを管理し、営業効率を大きく改善することができるだろう。
カスタマイズされたアプローチ
リードスコアリングを使用することで、自社の商品やサービスとリードとの関係性がどの程度構築されているかを認識し、それに応じてカスタマイズしたアプローチを行うことができる。リードスコアリングはホットリードを抽出できることが大きな魅力だが、同時に見込みの低いリードも抽出することができる。たとえば属性情報や行動履歴のスコアリングをもとに成約に結びつきやすい層を分析し、特定の条件を満たした場合には特別割引のメールを送るといった案内も可能だろう。いくつかの条件が見つかった場合には、それをMAに組み込むことでマーケティング活動の効率化にも役立てることができる。
ROIの向上
リードスコアリングをもとに期待値の高い層にアプローチしやすくなるため、マーケティングとセールスの効率性が上がり、投資利益率(ROI)の向上が期待できる。費用対効果をリアルタイムで検証することができる昨今では、不特定多数に向けたマーケティングにリソースを割くよりも、質の高いリードへ焦点を当て、効果的な活動を行うことで企業の収益性向上にも貢献できるだろう。
リードスコアリングの活用事例
BtoBセールス
BtoB市場においては営業先の企業の選定が重要だ。自社の製品やサービスを購入する可能性がどの程度なのか、リードスコアリングを用いて客観的な数値で優先順位をつけることは、効果的な営業活動に直結する。セールスチームは工数とリソースを最適化するとともに、適切な営業先にアプローチをすることにより高いコンバージョン率を達成することができる。
インサイドセールス
リードスコアリングは、インサイドセールスにおいても有用な手法である。特に非対面で行われるインサイドセールスにおいては、リードがどの段階にいるのか、どの程度の興味関心度があるのかを客観的に判断することができることは適切なセールス活動を行う上で欠かせない。リードスコアリングをもとに効率的なアプローチを行うことで、セールスプロセスを最適化し収益性を向上させることができる。
マーケティングキャンペーン
リードスコアリングをもとに、マーケティングキャンペーン対象を絞り込むことができる。スコアリングをもとにキャンペーンに対して反応するかどうかの可能性を判断し、効果の高そうなリードをあらかじめセグメント化しておく。そのうえでターゲットを絞ったリードに対してマーケティングキャンペーンを展開することで、個別に効果的なアプローチを行うことができる。
リードジェネレーション
リードスコアリングを使用して効果的なリードジェネレーションを行うことができる。興味関心度の高いリードのスコアリングをもとに、顧客の興味を引くコンテンツやキャンペーンの開発、顧客接点を増やす機会の創出などをおこなうことで、効果的な企画を展開することができる。さらにリードスコアリングが高評価の層から抽出した条件に近いターゲットを絞りアプローチすることで、リード獲得の効率性を向上させ精度の高いリードジェネレーションが可能になる。
