マーケティングROIとは
ROIとは、「Return on Investment」の略で、「投資利益率」や「投資収益率」と訳される。マーケティングROIとは、マーケティングキャンペーンに投資した金額に対し、そのキャンペーンがどの程度の収益を出したか、その成果を示す指標である。
この指標は、マーケティングにおいて、導入するツールを客観的な数値として比較検討する際に参考にしたり、実施した施策の効果を測定したりする場合などに用いられる。マーケティングROIが高いほど収益性や投資の効果が高いことを表す。
マーケティングROIの計算式
マーケティングROIは通常、以下の式を使って計算される。
ROI（%） = (マーケティングから得られた利益) ÷ （マーケティングにかかった費用) × 100
この場合の「マーケティングから得られた利益」とは、マーケティング活動によって生じた売上などの利益のことであり、売上から売上原価を引いた「粗利」から、販売に必要なコスト及び広告などのマーケティング費用（広告など）をすべて差し引いたものである。
また、「マーケティングにかかった費用」とは、広告費用、プロモーション費用、マーケティングキャンペーンの費用、人件費など、マーケティング活動にかかった直接的・間接的な経費の全てを含む。
ROIは一般的にパーセンテージで表され、ROIの数値が高いほど投資効果が高いと評価される。
マーケティングROIの目安・平均
マーケティングROIの目安や平均値は、業界や企業の特性によって異なるため、具体的な数値は算出が難しい。しかし一般的に、ROIが100%超える場合は、利益が費用を上回り投資が効果的であることを示し、それ以下の場合は費用が利益を上回っている状態で、投資が効果的でないことを示す。費用対効果が低い場合は、事業を継続させるために、投資効果を高めてマーケティングROIが100％を上回るよう対策する必要がある。
ただし、同一業界や市場、過去の類似する事例に限っては、複数の平均値を求めることで、業界全体、または類似案件の投資効果の傾向を把握することができる場合も。それぞれの場合や案件の特性に応じて、適切なマーケティングROIの目安や基準を設定することは、マーケティング活動において有効だろう。
マーケティングROIが重視される背景
費用対効果の評価
マーケティングROIは、マーケティング活動に投資した資金がどれだけ効果的に運用され、収益を生み出すかを評価するための具体的な指標である。そのため、多様化するマーケティング業界においては、利益への貢献度を把握するために必要とされてきた。
企業は限られた予算で投資対効果を最大化させ、無駄な支出を最小限に抑える必要があり、マーケティングROIは、財務効率性を評価し、非効率なマーケティング活動を特定するのに役立つ指標である。
収益最大化
マーケティングが多様化している近年、企業は利益を最大化するために、どのマーケティング戦略やキャンペーンが最も効果的かを把握する必要がある。マーケティングROIを算出することで、どのマーケティング活動が最も収益性が高いかが明らかになるため、より利益率の高い施策に企業の資本を集中させることができ、収益を最大化する方向に持って行くことが可能だ。
リソース配分の最適化
組織が限られた予算やリソースを効果的に配分していくためにも、マーケティングROIは重要である。マーケティングROIを算出することで、どのプロジェクトが最も売上向上に効果的であるかを把握できるため、どのマーケティングプロジェクトに予算を割り当てるべきかを判断できる。
競争環境の変化
オンラインショッピング利用の急激な増加に伴い、デジタルマーケティングやオンライン広告が台頭し、マーケティングの方法は絶えず変化し続けている。競争が激化し、広告費用も高騰していくなかで、投資の収益性を客観的に評価する必要があり、マーケティングROIはこうしたマーケティング戦略の最適化にも活用されている。
データ分析の発展
デジタル化が進み、データの収集力や分析能力が向上している。これにより、マーケティング活動の成果を正確かつ詳細に追跡することが可能となり、マーケティングROIの算出に必要なデータを容易に得られるようになった。
マーケティングROIとROASの違い
ROASは「Return On Advertising Spend」の略称で、「広告費用回収率」などと訳される。投資した広告費に対して広告経由でどのぐらい売上に貢献したかを測る指標であり、計算式は以下の通り。
ROAS（％）=広告経由での売上÷広告費×100
ROASとマーケティングROIは、どちらも費用対効果を計る指標であるが、マーケティングROIは企業全体の収益性を評価し、すべてのマーケティング活動にかかる費用を考慮に入れる。一方でROASは、主に広告活動の収益性を評価し、広告からの収益に対する広告費用の効果を示すものである。
