CRM成果を高める「狩猟型」「農耕型」マーケティングツールの使い分け


Writer:
山崎雄司
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ビジネスの世界では、時々「狩猟型」「農耕型」という表現で、取り組みの内容をパターン化することがある。そしてこのマーケティングの世界にも、「狩猟型」と「農耕型」の2つのタイプが存在している。 今回は乱立しているマーケティングツールを、「狩猟型」と「農耕型」に分類して理解を深め、自社にマッチするツールをどのように見つけていけば良いのかを考えてみよう。

そもそも「狩猟型」「農耕型」とは?


商品やサービスを売るまでに、顧客にどのようなアプローチをしていくのか。「狩猟型営業」や「農耕型営業」といった言葉を耳にしたことがあるかもしれないが、アプローチにおけるこれらの違いは、以下のように分類される。

1)狩猟型営業


獲物を狩るように、多くの新規顧客にアプローチし、案件を獲得する営業のことを指す。売り込みから成約まで時間があまりかからないことが大きな特徴だ。テレアポや飛び込み営業のような、見込み客と直接対話をする方法が狩猟型営業の典型的なタイプと言える。

2)農耕型営業


狩猟型営業に対して、農作物を育てるように見込みの顧客との関係性をじっくりと育み、案件を獲得する営業のことを指す。アプローチの仕方も、見込み顧客に対して商品情報に関するメールを送るなどの働きかけを行い、相手の反応を待つといった“コミュケーション重視”の方法が主流と言える。成約までに時間がかかることが多いが、成約までの段階で相手との信頼性を築いているため、成約率が高いのも特徴である。
 

マーケティングツールにおける「狩猟型」「農耕型」とは


同じような考え方で、マーケティングツールにおいても「狩猟型」「農耕型」の分類を見ていこう。

1)狩猟型:アクイジション(Acquisition)系


アクイシジョンとは、新規顧客の獲得のこと。つまり、アクイシジョン系マーケティングツールは、顧客開拓型のマーケティングツールを指す。”MA(マーケティングオートメーション)ツール”と言えばこちらをイメージする人が多いのではないだろうか。見込み客を対象とするため、扱うデータが限られているのが特徴である。

2)農耕型:リテンション(Retention)系


リテンション系マーケティングツールとは、その名の通り、顧客の維持や囲い込みを目的としたマーケティングツールのこと。主にBtoCの企業で導入されることが多く、特に通販小売業界との親和性が高いと言われている。機能拡張を重ねるなかで、CRM(Customer Relationship Management/顧客関係管理)と同じようなツールになりつつある。
 

「狩猟型」と「農耕型」どちらが良いか?


一般的に、CRMにおいては「農耕型」で対応した方が良いとされている。確かに、企業の売り上げなどを見ると、新規顧客を獲得するよりも既存顧客の売り上げをキープ・増加させる方が効果的に思える。

しかし、だからといって「農耕型」マーケティングツールがあらゆるケースに最適とは限らない。例えば、既存顧客が定着していないような創業間もない会社であれば、早期に結果が出せる「狩猟型」のマーケティングツールのほうが適しているだろう。

つまり、会社の状況によってマーケティングツールを使い分けるのが最適である。実際に、「農耕型」と「狩猟型」の双方を実現できるようなマーケティングツールも開発されている。

 

「狩猟型」「農耕型」のツールの代表例


マーケティングツールには「狩猟型」「農耕型」と分かれているものだけでなく、一体になっている(どちらもできる)ツールが増えてきている。市場に溢れているマーケティングツールをまずは整理してみよう。


 
このように、縦軸にFITする事業規模、横軸に狩猟型か農耕型かで整理すると、ツールの特徴が分かりやすくなる。ただし、多くのツールは両方の特性を併せ持つものや、規模を問わず使えるものなどもあるため、あくまで編集部にて判断したマップであることをご理解いただきたい。

それでは、いくつか代表的なツールについて紹介していこう。

1)ハイブリッド型


・カスタマーリングス:株式会社プラスアルファコンサルティング


あらゆる顧客データや行動データを、ノンカスタマイズで統合し、ノンプラグラミングで自由に抽出。特徴的な顧客分析機能で「顧客を見える化」し、自社顧客が手に取るようにわかる。誰でも/すぐにデータ抽出やレポート作成、アクション実行が可能で、単純作業からマーケターを解放し、 よりクリエイティブな業務にシフト出来る、CRM/マーケティングオートメーションツールだ。

・b→dash:株式会社フロムスクラッチ


MA、DWH(データ統合)、WEB接客、BI(分析ツール)など、データマーケティングに必要な機能を網羅したツール。かつて発生していたツール同士の連携、統合作業などは不要。また、提供している機能を1度にまとめて利用することも、1つの機能のみを選択することも可能だ。

2)狩猟型


・KARTE:株式会社プレイド


サイト内外の様々な分断されたデータから、「人」を軸にデータを整理し、顧客の経験や感情の変化をわかりやすく整理したマーケティングツールだ。顧客の目線から「適切なアクション」を「適切なタイミング」で実施することが出来る。


・actionlink:株式会社アドブレイブ


Eコマースのリピート売上を増やすことに特化した唯一のCRMプラットフォームだ。数千回のPDCAで証明されたEコマースのリピート増やLTV改善に効果的な鉄板施策を、CRMのノウハウや時間がなくても自動的に実行していく。

3)農耕型


・SalesForce:Sales Force Japan


Salesforceは、世界で最も導入されている、企業と顧客をつなぐ顧客管理ソリューションだ。マーケティングだけでなく、営業、コマース、サービスなどすべての部署で、顧客一人ひとりの情報を一元的に共有できる統合CRMプラットフォームだ。


・Marketo:アドビシステムズ株式会社


世界39か国・6000社以上の企業に導入されているマーケティングツールで、複雑化する顧客の購買プロセスを考慮し、顧客の行動やその背景にある顧客のインサイトを正確に把握、パーソナライズされたコミュニケーションを促し、 長期的な関係を構築することができる。
 

まとめ


「狩猟型」「農耕型」の違いについて、ご理解いただけただろうか。自社に合ったマーケティングツールがどちらなのか、状況に合わせて使い分けたり組み合わせたりしながら、検討してみるのも良いかもしれない。

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