コロナ禍によって、OMO(Online Merges with Offline)はどのように変化し、進化していくのか


Writer:
山崎雄司
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ここ数年のマーケティングのトレンドでもあるオンラインと実店舗の取り組みを統合して顧客にアプローチする「OMO(Online Merges with Offline)」。しかし、コロナ禍によって、顧客にとっての店頭とオンラインの使い分けが大きく変わってきている。今回は、こうした状況の中でOMOがどのように変化し、進化を遂げているのか考えていきたい。

コロナ禍におけるマーケティング



新型コロナウィルスが流行している状況下、企業の多くは、接触や密集を避けてサービスを提供することが求められている。特に在宅でも受けられるオンラインサービス需要の高まりを受け、オフラインでのサービスを縮小し、デジタル投資を維持、及び拡大する傾向にある企業。しかし、顧客体験を重視するマーケティングのトレンドが大きく変わることはなく、メインステージがオンラインへ移行しつつある今も、オフラインのような温かみのある接客が求められている。そのため、オフラインもしくはオンラインといった片方のみのアプローチではなく、双方のアプローチによる柔軟なサービスの提供がますます必要とされている。
アメリカの大手リサーチ会社フォレスターが行った世界規模の最近の調査によると、多くの企業がデジタルでの顧客体験(CX)への投資を進める一方、コロナ禍発生以降で、決定的な差別化要因となり得るほどの顧客体験の提供には至っていないことがわかったという。このように多くの企業では依然として、コロナ禍におけるマーケティングの解を見つけることが出来ずにいるようだ。

 

コロナ禍で増すOMO(Online Merges with Offline)の重要性


コロナ禍では、実店舗などで顧客と接するオフラインの機会は減っている一方で、オンラインにおける企業と顧客とのタッチポイントは増加しつつある。そのため、ニューノーマル時代においては、従来オンラインを重視してこなかった企業においても、オンラインでの顧客接点を重要視し、複数のタッチポイントから得られる情報を統合し、顧客の状況を把握していくことが重要となる。そして、これらの顧客情報をもとにターゲティングやプランを練り、顧客のニーズに合ったサービスをオフライン、オンラインを上手に活用し、提供をしていくことが求められる。
このように、オフラインとオンラインのデータを統合し、分析して、顧客の状況に合わせたプランを用意することで、顧客とのコミュニケーションの最適化を行うことは必須となっていくだろう。
例えば、エヌピーディー・ジャパンが行った調査によると、コロナ禍によって、外食のイートインの売上は33%売上が減少した一方で、デリバリーは50%の売上増となるなど、顧客の行動変化にどのように業界が変革していくことが出来るのかは、その他の業界においても非常に重要になってくるはずだ。
 
 

OMOの進化事例


ここでは、コロナ禍以降に、実際にOMO取り組みを進化させている企業の事例を見ていこう。
 

日本マクドナルド株式会社

日本マクドナルドは、スマートフォン向け公式アプリに「モバイルオーダー」機能を拡充。スマートフォンで事前注文とキャッシュレス決済が可能であり、店舗でスピーディーに商品を受け取れるため、非接触および顧客の店内待機時間の短縮に成功している。また、このアプリは店内を利用する顧客だけでなく、テイクアウトやデリバリーの顧客情報も収集できるというメリットも。
このようなモバイルオーダーのサービスは、昨今急激に増えている。自社でのシステム開発が難しい企業でも、モバイルオーダーシステムのサービスを導入するだけで始めることが可能だ。
(参考:マクドナルド公式アプリに「モバイルオーダー」の機能を拡充
 

Google

アメリカをはじめとする諸外国では、オンラインで注文した商品を指定した店舗で受け取るピックアップサービス(BOPIS)が人気だ。Googleでは、小売りチェーンと提携し、Google Mapで顧客がいつ商品を取りに来るのかを把握できるシステムを開発。顧客にとっては、商品の受け取りに最適な店舗とその経路をGoogle Mapで把握でき、店舗側は顧客の現在地を知ることで、スムーズに商品を渡せるよう準備ができる。オンラインとオフラインをよりシームレスにするサービスとして期待されている。
(参考:コロナ禍で米リテールはどう動いたか、Walmart・Amazon・Google・Shopifyに見るニューノーマル
 

Zoff

メガネ専門店のZoffでは、顧客が自分の視力を知っていてもメガネの度数やレンズの種類まで把握できていないという点に着目。そこでECサイトと実店舗の顧客情報を紐付け、顧客がこれまでオーダーしたメガネの度数やレンズの種類、どの店舗で購入したかなど確認できるようにしている。これにより、来店した顧客のスムーズなショッピング体験を実現している。
(参考:【最新事例】OMOとは?担当者が知っておきたい新しい購買体験について
 

株式会社ニトリ

家具およびインテリア用品小売業大手のニトリでは、同社が展開する「ニトリのリフォーム」において、オンライン接客システム「LiveCall」(スピンシェル株式会社提供)を導入。リフォームしたい空間をビデオ通話で映しながら相談できるため、より的確なアドバイスが可能である。また、店舗設置タブレットとウェブサイトでのオンライン接客は共通の基幹システムを利用しているため、店舗内でもリモート接客が可能に。たとえばスタッフがすぐに対応できない場合に、店舗設置のタブレットを通して別のショールームのスタッフに相談できるようになっている。
(参考:「ニトリのリフォーム」LiveCallを活用して”2つの” オンライン接客を実現
 

株式会社ベネクシー

ドイツ発の機能性フットウェアブランド「ビルケンシュトック」のフランチャイズや海外ブランドの卸売、修理/アフターケアなどの事業を手がけるベネクシー。同社は、2016年からCRMを導入し、オンラインとオフラインの分断といった課題に取り組んできた。機能に特化した商品を扱うため、実店舗でのフィッティングなどの顧客体験を大切にしつつも、最初のタッチポイントやアフターケアについてはオフラインを重視。リピート買いとしてECサイト(オンライン)を推奨するなど、店舗とECをシームレスにつなぐ施策を行っている。
(参考:株式会社べネクシーによる、全社横断のデータ活用によるCX向上と独自ブランド育成の取り組み
 
 

ますます求められていくOMO


これらの事例を見てみると、コロナ禍において、実店舗での滞在時間を減らしならがも、オンラインとリアルを分断せず、包括的に取り扱うことで顧客体験を高めていることが分かる。そして、オフラインからオンラインへとメインステージが移りつつある一方で、リアルな体験、をオンラインでも提供できるようなサービス、そしてその真逆のオンラインでの体験を、リアルでも提供できるようなサービスも同時に増えてきている。このような、リアルとデジタル空間の垣根をなくしたシームレスなサービスの実現が、今後はより求められていくだろう。そして、顧客も自然とそのようなサービスを提供している企業への接点を強めていくことになるのではないだろうか。
顧客にとってどのようなサービスが求められているか、改めて考えなおしていく必要があるのかもしれない。


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