「カゴ落ち」対策の基本と応用を理解し、売上アップに結び付けよう
- Writer:
- 山崎雄司
コンバージョン率アップを目指すECサイト運営において、「カゴ落ち」は大きな課題の一つである。「カゴ落ち」とは、カートへ保存された商品が購入されず残されてしまうこと。一説によると、その割合は約70%にものぼるといわれている。しかし言い換えれば、「カゴ落ち」させている顧客は、少なくとも一度はある商品に興味を持ち、購入を検討していたということ。彼らに対し適切なアプローチをし、再度購入のモチベーションを高めることで、「カゴ落ち」を大きな売上に変換し得るともいえるだろう。今回は、こうした「カゴ落ち」の現状を把握し、その改善のためにどのような対策を行うべきか考えていきたい。
「カゴ落ち」とは
「カゴ落ち」とは、顧客がカートに商品を入れたにもかかわらず、購入に至ることなく顧客がサイトから離脱してしまう状態のことで、「カート放棄」とも呼ばれる。ソフトウェア開発会社ユミルリンク株式会社による2019年の調査「ECトップ100社のカゴ落ち対策メールの調査レポート」では、この「カゴ落ち」対策を行う日本国内のEC事業者は22%にとどまるとのこと。欧米に比べて国内ではまだまだ浸透していないのが現状だという。つまりECサイトで現在大きな問題となっている「カゴ落ち」をいかに防ぐかが、コンバージョン率アップのカギであり、売上増加の大きな可能性も見込めるということである。
「カゴ落ち」の原因と一般的な対策
では、「カゴ落ち」の原因はどのようなことが考えられるのだろうか。ここでは、よく見られる「カゴ落ち」の原因5つを挙げ、それぞれの原因に対して行われる一般的な「カゴ落ち」対策を紹介していきたい。
原因1.カートに商品を入れたことを忘れてしまう
・いくつものサイトを比較している間に、カートに商品を入れたことを忘れてしまう。
<対策>
顧客が他サイトへ離脱する前に、「ショッピングカートに追加した商品」などと表示し、「カゴ落ち」している商品をアピールする。または、「商品を買い忘れていませんか?」などのリマインドメールやプッシュッ通知で知らせること。対象商品の値下げのタイミング等で通知することで、購入率の向上に繋がる。
原因2.個人情報の入力が不安
・漠然と見ず知らずのサイトでの入力に拒否反応がある。
<対策>
サイトの安全性を証明する「SSL証明書」を取得し、個人情報を保護している旨を明確にする。定期的にリンク先の状況をチェックし、リンク切れのないようにする。
原因3.購入までの手続きが煩雑
・届け先や支払い情報の入力など、購入までのステップが多い。
・何度もエラーが出る、もしくはなぜか先に進めない。
・「あと○○円で送料無料です」などの表示が出て、送料無料にするのが面倒。
<対策>
・画面遷移を減らすこと。入力項目を少なくし、購入ステップを短縮する。
・エラーは、入力時点でエラー表示を目立たせ、ユーザーに知らせること。また、決済や入力が簡単にできるサービスを導入する。(例:Amazon Payでは住所の入力を省略することが可能)
・価格別検索を設置するなどし、送料無料になる金額の商品を見つけやすいようサイトを整理する。
原因4.注文画面に進むまで、消費税や送料に関して把握していなかった
・他のサイトよりお得だ、この値段なら購入しようとと思って手続きに進んだものの、消費税や送料が加えられて購入意欲が削がれた。
<対策>
税抜き/税込みの明確な表示は当然ながら、送料については、商品検討段階で把握できるよう提示すること。例えばカートボタンの横など、分かりやすい場所に表示しておく。サイト全体で、購入の総額が早めに確認できるデザインにすることが重要。
原因5.欲しい情報が見つからず断念
・商品自体には非常に興味を持ったが、在庫があるのか、どのくらい早く配送してくれるのか、などの情報が掲載されておらず、不安になり購入をあきらめた。
<対策>
送料、返品、届くまでの時間など、よくある質問をまとめたFAQページを見つけやすい位置に配置すること。なお、購入プロセスの途中でもFAQページをすぐに確認できるよう設置したい。AIが質問に対して自動応答してくれるチャットボットの導入も有効。
カゴ落ち対策の基本と応用
これらの主な原因は、皆さんが一消費者としてECサイトを利用する際にも、たびたび感じることではないだろうか。これらの原因を一つ一つ丁寧に解決していくことは非常に重要なことだ。しかし、カゴ落ち対策を行う上で、いくつか問題がある。1つは、ECサイトのカゴ落ち率をしっかり把握できないケースが多いことだ。ショッピングモールや、多くのカートASPでは、カゴ落ち率を標準機能では把握することが出来ないため、そもそも対策を行おうにも、現状でどの程度問題があり、対策をした際にどれほど改善したのかが分からないのだ。そのため、まずは運用しているECサイトのカゴ落ち率の現状をしっかり把握するように、設定を行うことが重要だ。
2点目は、対策を行うためには、手間がかかるケースが多いという点だ。そのため、対策に効果的なツールを適材適所で導入する必要があるだろう。最近では、離脱前にアラートを出すたことのできるWeb接客ツールや、離脱者へのリマインドを行うことができるCRMツール、入力エラーを分かりやすく伝えることができるEFOツール、そして問い合わせをスムーズに対応することができるチャットボットなど、様々なツールがカゴ落ち対策に特化した機能を提供している。また、マーケティングオートメーションツールでは、カゴ落ち状況の把握から、それぞれのターゲットに合わせた施策までを自動的に実行する機能が実装されているケースが多い。
カゴ落ちの原因がどこにあるのかをしっかり見極めたうえで、これらのツールを導入していきたい。
カゴ落ち対策は改善の余地が大きい
コンバージョン率アップや、売上の増加にも直結する「カゴ落ち」対策。最近では、上述したような各種ツールでの改善施策も増えてきているが、まだまだ改善の余地が大きい領域だ。消費者の視点に立って、消費者にとって使いやすいスムーズなサイトを構築していき、カゴ落ちを減らす取り組みを続けていくことをおすすめする。
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