メールを用いたマーケティングシナリオ鉄板施策5選
- Writer:
- 山崎雄司
時代の流れとともにさまざまなマーケティング戦略が登場するなか、以前から存在するメールマーケティングは、未だに一定の効果が認められている。実際に、リピート購入のきっかけの51.8%をメールが占めるという調査結果もある。今回は、こうしたメールを用いたマーケティングシナリオのなかでも、特に“鉄板”と呼ばれる代表的な施策5つを紹介していきたい。
ステップメール
ステップメールとは、メールを用いたマーケティングシナリオのなかで、もっとも多く使われている手法の一つだ。ユーザがとった「あるアクション」をきっかけに、あらかじめ用意していたメールを配信する。この目的は、ユーザとの関係を段階的に構築していき、最終的に購入へと導くことにある。各アクションに応じて、メールの内容や配信タイミング、期間がそれぞれ考慮されているものだ。
ステップメールのメリットとして、見込み客の育成ができるということが挙げられるだろう。自社サイト以外にもユーザとのタッチポイントを持つことができるため、自社や、自社商品を思い出してもらったり、購入してもらったりする可能性を確保できる。メールを通じて、ユーザにとっていかに有益な情報を与えられるかがポイント。的確なタイミングと内容によってユーザとの信頼関係を醸成し、自然な流れで商品の購入を促す仕組みを構築することが成功のカギとなる。
具体的な施策として、たとえば「お試し商品」を購入したユーザに対し、まだ温度が熱いうちにアプローチを開始。その後、状況確認を兼ねてステップメールを送ることで、温度を保ち、次回の購入に導く。さらに定期購入まで展開できれば、大成功であろう。複数回のステップメールによって、定期購入への引上げ率が大幅に上がってくることが理想だ。
このように、顧客の行動に合わせた手段とタイミングでユーザへの接触頻度を増やし、効果的なフォローアップシナリオを作っていく。その際、どのメールに反応したのかを測定することによって、最適化を行うことが大切だ。なお、扱うものがBtoBや不動産、保険など、モノではない商品(サービス)の場合、ユーザからの資料請求後に情報提供し、問合せにつなげていく展開方法もあるだろう。
また、進化系としては、オフラインも意識することや、2回目の購入後の分岐や、結果購入が無い顧客での分岐など、シナリオは細分化していくことで、個客に合わせたフォローが可能になっていく。
バースデーメール
バースデーメールとは、その名の通り、ユーザの誕生月、または誕生日当日に送るグリーティングメールのこと。その目的は、休眠中の顧客に対し、自社の存在を思い起こさせ(リマインド)、購入の動機づけにすることである。特にバースデーは顧客にとっても悪い気分は全くしないもの。そしてそこには確実に顧客のメリットが含まれていることを期待するもののため、メールの開封率も高くなる傾向にある。
一度接点を持ったことのあるこの休眠顧客の掘り起こしは、新規顧客の開拓よりもコストがかからず、効果測定もしやすいのがメリット。休眠中でなく、継続利用しているユーザに対しての、「バースデー割引」としてお買い得なクーポンを提供する方法も、購買につなげやすい。
カート放棄メール
カート放棄とは、ユーザが一度商品をカートに入れたものの、何らかの理由で結局購入に至らない状態を指す。株式会社イー・エージェンシーによる2019年発表の調査では、カート放棄率が約68%というデータがあり、つまり10人に7人弱が購入を断念していることがわかる。こうした事態を防ぐために、カート放棄の事実をユーザに案内するメールが、カート放棄メール(カゴ落ちメール)である。一度商品を買い物かごに入れたということは、少なくともその商品に興味を抱いていたということ。そうしたユーザに対し、メールを使って商品のリマインドを行いながら、購入意欲を呼び戻す施策だ。
ポイント失効のお知らせ
スーパーなどのポイントサービスのように、購入した金額の何%かをポイントやクーポンとして還元しているオンラインショップは珍しくない。このポイントやクーポンには、有効期限を設けているケースも多く、失効前のタイミングで保有ポイント数をお知らせするのも、メールを使ったマーケティング戦略の一つだ。こういったお知らせは、ユーザに有益なものという印象を与えられる可能性も高く、さらに「ポイントを使わないともったいない」という心理がはたらくため、再購入のきっかけとなることも多い。
お気に入り商品の在庫アラート
ECサイトでは、商品をカートに入れる機能だけでなく、興味を持った商品を仕分けるための「お気に入り」の登録機能を設けているショップも増えている。
ブックマークのような役目を果たす「お気に入り」の登録だが、この登録商品について、品切れ直前にお知らせするといった内容のメールも、購入につなげる有効な手法だ。また、「お気に入り」への登録時に在庫切れであった商品については、入荷時にお知らせのメールを送ることで、購入につなげるという効果も見込まれる。
メールを用いたマーケティングシナリオを活用していこう
今回は、メールを用いたマーケティングシナリオの代表的な5つの施策を紹介してきた。昨今では、こうしたメールマーケティングを行うツールも多く登場し、顧客の状況やアクションに応じてシナリオをカスタマイズするなど、柔軟なメール配信が手軽に行えるようになっている。BtoCのビジネスでは、メールのほかにも、SNSのダイレクトメールなどの特性を活かしたアプローチも増えている。企業は、ユーザのセグメントを的確に行いながら、シナリオに則ったアプローチをすることで、自社の潜在顧客の掘り起こしにつなげていきたいものである。